The Penguin Ultimatum

[得点カードの周りに権利カードを置いていって、得点カードの周りが埋まると決算。置いた権利カードの数字に応じて点数が入る。但し、得点を入手するためには、先に得点カードの上に「チップ」を置いておかないといけない。一枚の得点カードの上には一枚のチップしか置けないので他のプレイヤーとの競争になるのだが、プレイヤーは3枚しかチップを持っていないので、あまり早い段階で置いてしまうと延々と得点が入らないまま焦らされることになる。あとは権利カードを置く際の細かいルールとか、ボーナスポイント関連のルールがいくつか。]


そもそもこういう「最初に入った人にだけ権利があるんだけどできるならなるべく遅いタイミングで入りたい」もののゲームと相性が合わない、というのは確かにあるかもしれません。詰まらないとは思わないんですけど、どのゲームも同じにしか見えないのです。

このゲームは同系統の他のゲームに比べると、ややそのあたりのジレンマは薄めにできているのかな、という気がします。ここではジレンマのきつさというのは概ね「入りたいところに先に入られた際のどうしようもなさ」によって規定されるのですが(但し、これを強くしすぎて「なるべく遅く入りたい」が消えてしまうとゲームとして成立しなくなります)、このゲームはそこそこ逃げられる...んじゃない? というくらいの取り方になっています。まあ他のところで勝負すればいいか、とか、別のチップで稼いでるからいいかなー(ほんとは良くないんですけど、気分として)、という。その代わり「なるべく遅く」の部分もそんなに強くない。得点カードの上に置いたチップが複数あり、しかもチップの移動についても多少の制限はあるものの、まあ問題なくできる。

で、ジレンマ自体は比較的弱めにできていて、そうすると他にどういう遊びかたがあるのかといいますと、プレイヤー同士の潰しあいということになりましょう。権利カードの配置によって各プレイヤーに有利っぽい範囲みたいなものができてくるのですが、それを如何に効果的に潰していくか。どっちかというとそちらが主となると思いますので、プレーの感覚はプレイヤーがどれくらい好戦的かによってたぶん変わってくるんじゃないでしょうか。守備的なプレイヤーが多くなると、ちょっと地味目のファミリーゲーム、という臭いが強くなります。今回はそういうゲームになって「うーん地味ー」という感想でした。面白いのは好戦的なプレイヤーが集まったプレーだと思いますが、ただ戦略上どっちが有利か(つまりゲームの印象がどっちに収束するか)、となると微妙ですね。

あと、ゲーム自体とは関係ないっちゃ関係ない不満なんですが、なんでこのゲームを出したかったのか、というのがいまひとつ見えない、という点があります。プロフェッショナルが作って大手メーカーが出しているゲームならば、シンプルに金のため、で何の問題も無いんですが、Eight Foot Llamaって同人メーカーでしょう。世の中に腐るほどゲームが存在する中で敢えてアマチュアが更なるゲームを世に出す、というときには、何らかの「このゲームを出さなければならなかった」という理由が必要なのではないか。そして(プロダクトの品質は低く、完成度への期待もさほどは持てない)同人ゲームをプレーすることの楽しみというのは、第一にはそのデザイナーの問題意識をシステムから伺うことにあると思うのです。ところがこのゲームのシステムは「早乗り系」の一言で片付くもので、プレー感覚も「地味目のファミリーゲーム」という、平たく言って上記の期待とは真逆をいくものです。このゲームを作った理由がシステムからは分からない。いや、これが堂々たる完成度を誇る傑作というのであれば、そういうことは気にしなくても構わないかもしれないんですけども、別にそんなに凄いゲームってわけでもないんで。

The Penguin Ultimatum
by Jim Doherty
(Eight Foot Llama, 2003)
★★
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by Taiju_SAWADA | 2004-10-05 00:36 | 感想・紹介
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