コンペティション「東京ドイツゲーム賞」について

えっとどうもこんにちは、沢田といいます。そのへんで会社員やっております。あとプライベートでボードゲームの和訳とかもやってます。
今回、テンデイズゲームズとニューゲームズオーダーの二社に公募ゲームコンペの企画を持ち込みまして、両社の主催で「東京ドイツゲーム賞」という間抜けなタイトルのコンテストを実施することになりました。わたくしも副賞金出す人として審査員の末席に加えさせていただくことになっております。よろしくお願いいたします。
(なお「末席」というのは謙譲的な表現ではなく、最終選考での発言力でいうと最弱扱いなんじゃないかなーという予測によるものです)

さて、お前のことはどうでもいいが副賞20万円ならもらってやらんこともないので傾向と対策を説明しなさい、という話ですね。テンデイズTV ( http://www.ustream.tv/recorded/24516660 )で基本的なコンセプトは説明していて、そこでは「ドイツゲーム」=「1990年代に勃興し2000年代後半に黄昏時を迎えたある種のスタイル」というのを割と強く押し出していたのですが、実際のところ、じゃあ「これは何ツィアですか?」みたいな投稿作品の山に埋もれてみたいのかというと別にそんなことはないのでして。たとえばこの賞が2007年くらいに実施されていたとして、そこにドミニオンが送られてきたら「これはドイツゲームじゃないよね」とか言って落とす訳がありませんよね常識的に考えて。なのでまあ、もちろん私個人としては「基本的には多主体複雑系的ゲームのほうを強弱解析系ゲームよりいくらか上に取りたいです」くらいの思いはありますが(なんでそう思っているかについてはこのウェブログの過去のエントリをご参照ください)、それは単に陸上競技のハードルみたいなもので、そういうのどうでもいいから俺のゲームを見ろ、くらいのボルテージで飛び越えて送ってきて頂くのはむしろ大変ありがたい。なので送ってきて頂く皆様におかれましては、選考上の細かい有利不利は置いといてレギュレーションとしては「いくら Vlaada Chvatil でも Mage Knight Board Game みたいにルール40頁に加えてカード全テキストとかだとさすがに体力的に拾えないような気がしてます」くらいのものだと解釈していただければ全く問題ありません。

それよりも審査の上で重視しておきたいところがありまして、これ放送あとで見返してみたらきちんと伝えられてなくて拙かったなと反省したところなんですが、とくに一次の審査ではプレゼンテーションは重要な要素になります。なんならルールよりも重要と言っても構いません。そこまではいいとして、問題は「何を」プレゼンテーションしてほしいのかということで、つくりの善し悪しとか資料が凝ってるか凝ってないかというところは全くどうでもよく、「何故このゲームは面白いと言えるのか/どの部分が面白いゲームなのか/どこを遊ぶべきか」「何故ほかのゲームでなくこのゲームを遊ばなければならないのか」、つまり構造と独自性について説明してほしいのです。ルールというのは必ずしもゲームの構造や独自性を説明するのに最適な媒体だとは限らないので、その部分を補足/強調するものとしてプレゼンテーションを使っていただきたいと考えています。

具体例を挙げると、たとえば放送でも挙げたタイトル「いかさまゴキブリ」なら、「UNOみたいに手札を無くしていくタイプのゲームですが、他の人が見ていない隙を狙って自分の手札をテーブルの下に捨ててしまうようなイカサマを有りとします。というかそういうイカサマで遊ぶゲームです。以上」とだけ書いてもらえればプレゼン資料として充分です。「ポラリティ」なら、例の傾いた磁石を写真で写して「こういうのを相手よりいっぱい作ったひとが勝ちです」でOKです。「騎兵ゴルフ」なら何と言ってもプレイ動画でしょう。まあこのへんはルールのみプレゼン資料なしでも充分に意味がわかるゲームなので、もう少し本流ゲーム的な作品で言うと、今年の重い方のSdJ作品「村の人生(ヴィレッジ)」であれば、「一応ワーカープレースメントですが、ワーカーというのは労働者でありつまり人なのでそのうち死にます。ワーカーが死ぬ、というところに焦点を当てたゲームで、誰を殺そう、どこで殺そう、ここの墓地の定員もう残り1人だけどどうする、あと1人殺せばキルボーナスが手に入る、とか言ってたら殺しすぎて人が足りなくなったのでもう少し産んでおこう、ていうかこいつら産まれて死んでるだけで碌に働いてねえけど、というような遊びをワーカープレースメントの枠組の中で行います」という感じでしょうか。このように単純に表せるものであればそれでよいのですが、逆に、このウェブログで前にやった捏造ボードゲーム史みたいなものを書いて「この歴史上このゲームはここに位置づけられるべきである」みたいなことをしてみる方向もあるでしょう。

プレゼン資料を重視するということは、ひとつには、作者に対して「自分が作っているゲームがどういうものであるか分かっている」ことを求める、という意味があります。あともうひとつ「プレゼン資料が書けるゲームである」ことを求めるということでもあります。これはある種の制限でもあって、凡庸なパーツを凡庸に組み合わせただけのゲームでありながら何だかやたらと面白い、しかしこの面白さを説明できない、というゲームが世の中には当然あるんですが、こういうゲームはコンペティション上どうしてもかなり不利な扱いになってしまいます。これはもう申し訳ないとしか言いようがないのですが、なんとかうまいことプレゼンして頂けませんでしょうか。

ということで、何卒よろしくお願いいたします。
[PR]
by Taiju_SAWADA | 2012-08-07 13:01 | 創作関連
<< 短く! カードを破いてみよう >>