オイそれは俺の魚だぜ Hey! That's My Fish!

[ヘクスタイルが六十枚くらい。それぞれのタイルには魚が一匹から三匹まで書かれています。これを適当にくっつけてマップにして、各自自分のペンギン駒を置いてゲームスタート。手番には、自分のペンギンを直線で動かせるところまで(マップのへりとかほかの駒にぶつかる直前まで)動かしてから、もといた場所のタイルを取り去り、これに書かれた魚を自分の得点とします。全員動けなくなったらおしまい、得点の多い人の勝ち。2003年の「Pingvinas」のリメイク。]

「テーマ的にもシステム的にもどうしたってNanuuk(G.Cornett / Bambus, 1998)を思い起こさざるを得ないつくりですが、しかしこっちのが数段洗練されてます」という書き出しを考えた後で作者とメーカー確認したらCornettでBambusじゃないすか共作だけど。そーかそーか諦めきれなかったんだねあのシステム(とテーマ)を。俺もあれは何か惜しいと思ってた。

といってもNanuuk自体マイナーなゲームなんで概要をおさらいしておきましょう。ハンターが北極でヘクスマップに散らばったなんやかやの獲物を取得しつつおうちにかえる、というゲームで、ハンターが一歩あるくごとに、元いたマスにつながる通路の一部が遮断されます、というのがゲームのポイント。すごーく似てるでしょ。Nanuukが駄目なのは悪い意味で地味だってことで、ハンターはいっぺんに一歩しか動けないし通路の遮断も徐々にしか行われないしってんで、展望の開け方がとにかくもっさりしてるんです。遊んでるうちにあーなんとなくこーゆー結末を迎えそうですねー、でだんだん輪郭がはっきりしてきて、10分後にはあーやっぱりそーなりましたかー。と。

このゲームではその問題にはっきりとした反省がみえていて、具体的にはプレイヤー駒は直線で遮蔽物に当たるまで自動で進みますし、駒の数も一人複数個持ち、さらに大きな点として、移動が行われたら元いたマスは直ちに全面的に移動禁止になります。このルールが何を意味しているのかというと、これは偏に一手番ごとにかなりドラスティックに局面が変わるということであって、ということはたった今行ったアクションの正否が、早ければ次の手番、遅くともその次の手番には致命的な結果となって現れます(逆に言うと、二手番かかって致命的な結果にならなかったのであれば、問題はなかったものと見なせます)。何をやったか覚えているうちに結果が出るというのが重要なところで、これが空気の茫洋を防いでいます。

あと副次的な効果として、手読みがかなり難しくなっています。一手番くらいはみんな読みますが、二手番読むのはかなりの努力が必要で(しかも無駄になることも多く)、それ以上になると完全に無駄な努力という。これは前段の行動→結果のレスポンスタイムと絶妙にマッチしていて、つまり二手番ぎりぎり読めるかなやっぱ無理かなというあたりの行為を要求していて結果も二手番先ですから、これはちょうど自分の読み(をやったとして、ですが)との答え合わせが常にできることになります。そしてこの面倒な手読みをさぼることもできて、その場合でも半分くらいは問題なく通り、といっていつもさぼっていると必ずどこかでどうしようもない結果に陥る事になります。

そしてうっかりどうしようもない結果に陥った場合の処理なんですが、ほぼそのまま終了します。というのは、ゲーム時間がとにかく短いんですね。なんかやらかしたら即負け内定、で3分後から5分後には正式にゲームセット。この残酷かつ後を引かない爽やかなテンポがとても効いていて、これがあるがために「油断して歩いていたらいきなり死亡」という恐ろしいゲームデザインが平気で許されている訳です。


知恵熱風にも気楽にも遊べる軽量級の傑作。ぜひどうぞ。

Hey! That's My Fish!
by Guenter Cornett and Alvydas Jakeliunas
(Bambus, 2003 as Pingvinas)
(Phalanx, 2005)
★★★☆

※メーカーのスペル間違ってたので修正しました恥ずかしー。あと実はルールも違うという説が濃厚というか少なくともBambusに載ってる英文見る限りでは間違ってる。「直線でぶつかるところまで自動」じゃなくて「直線でぶつかるところまで任意」ですね。ということで上記レビューは取り消しになる可能性が高いです。
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by Taiju_SAWADA | 2006-06-28 23:33 | 感想・紹介
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