手荷物検査 Hart an der Granze

[税関を通して良いものと良くないものが混ぜこぜになって手札にやってくるので、まぜこぜにしてトランクに突っ込んで蓋をして、「俺はテキーラ三本しか詰めてません」(今でも酒三本免税制ってあるんだっけ?)と言い張りましょう、というゲーム。査察官はターンごとに持ち回りで誰か一人が担当。最も怪しそうなところ一人に対してのみ(使い切りのアイテムを使用した場合のみ複数人可)査察を行います。査察を受けた場合、おとなしく没収されるのではなく、査察官に賄賂を払って合意の上で切り抜けてもよし。手札は常に一定枚数になるようにターンごとに補充。全員が三回査察官を担当した所でゲーム終了、より価値の高いものを通した人の勝ち。]

うーん。楽しいか楽しくないかつうと楽しいんですけどー、なんかルールいろいろ無駄なんじゃないのかなー、という気がしないでもありません。というのは別に余計な枝葉がどうとかいつも愚痴ってるようなことではなくて、なんというか、その、ルールの根幹が。

基本的に額面の小さい物埋めても儲けにはならないってのと、額面の高い物埋めるためには額面の高い物引かないといけなくて、で額面の高い物引くためには手札を回さないといけないので、さらに言えば額面の高い物埋めたってペナルティを受けることはそうそう無いし、となれば基本はみんな全勝負ということに流れがちです。あとは開けるほうが誰か(つまり全勝負をかけてるプレイヤーのうちの誰かということですが)に数回連続で放火して牽制をかけることで、一時的にその放火対象のプレイヤーの全勝負を止めることは可能だと思うんですが、問題はそれやってると他のプレイヤーが、【全勝負を基本スタンスとしていないプレイヤーでも】全勝負に流れるでしょう。そうすると、既に放火していて沈んでるプレイヤーに追い打ちをかけるのは、他のプレイヤーを単に利するだけで(他のプレイヤーは一回も沈まないわけですから)あまり良い姿勢であるとは言えない。そうなるとやっぱり全勝負が基本だよなー、となります。特に周りが全勝負となると、一人だけで地味な態度を取るのは何の意味もない。

一人か二人だけ枚数で突出して目立っていると査察を食らうんでそこでルール上の規制がかかっている、というのがデザイナーの意図なんだろうと思いますが(もしかして期待値換算して一人か二人突出の場合はそっちのが不利、とかやってるのかもしれませんが)、ちょっと不十分なんじゃないのかしら。仮にそういう意図だとして、全員全勝負だとやっぱりどうやったって解消はされないし、そうでないとしても高い物が来たら当然埋める訳で、あとは他の物も埋めて枚数を回して査察上等で勝負するか、高いものだけ埋めて枚数を目立たなくしてそのかわり高い物がくる確率の減少は甘受するか、その二択で戦略を決めてあとは山から引き勝負(ともう一個、ゲームの根幹とはあまり関係ないけど得点上は有用な要素があるんでそっちで勝負)、ということになってしまってそれはデザイナーの選択としてどうなのよ。と。

繰り返しますが、楽しい事は間違いなく楽しいんです。箱にカード詰めて差し出して「俺だけは今回真実です」みたいな目の泳がせ方をする瞬間とか。少なくともそういうプリミティブな楽しさがルールによってスポイルされているってことはないんで、最低限の仁義は切ってあるとは言える以上、「それで充分じゃね?」と納得できるならしてもいいんですが。でも僕としてはこのゲームは少し頼りすぎてるという印象を持っています。

Hart an der Grenze
by Andre Zatz and Sergio Halaban
(Estrela, release date unknown, as Jogo da Fronteira)
(Kosmos, 2006)
★★☆
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by Taiju_SAWADA | 2006-07-10 00:36 | 感想・紹介
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