エグザクティカ Xactika

[ノートランプマストフォローの宣言ジャスト狙い系トリックテイキング。特徴はカードに記載されたスートが複数(12スート存在し、うち4スートが記載)。カード出すときに、そのカードに書かれた四つのスートのうちひとつだけ指定。ルールは以上です。]

結論だけ先に書くと面白かったんですけど、どう面白かったかという話になると説明がしづらくて。一つ言えるのはとにかく解りやすいゲームだということですかね。そもそもトリックテイキングは歴史の古さとかルール自体の構造とか複数の理由により御作法化しがちであり、かつプレー人口の多さとかドイツ人がアレだとかそういう理由により変態化しがちでもあって、結論としてどうなるかというと楽しみ方が込み入りがち。きちんとこうなってああなってそれがどうなるからつまりはそうなるからなるほどこれは確かに最高に素晴らしい、って遠くに行き過ぎです帰ってきてください。無論そこでお前らがこっちまで来いという論を立てる事も可能ではあるんですが、ことトリックテイキングに関して言えばそこまで行くの面倒だし入り口付近で遊んでいたいなあというのが個人的な事情でもあります(別にどのジャンルだって入り口に愉快なアトラクションが置いてあるのがきーわーめーてー大事だってことに変わりはないんですけど)。

さて何が解りやすいかというと、必ずしもルールが解りやすいというわけではなく、いやルールだってトリックテイキング知ってれば全然解りやすい部類だとは思いますがそれでもホイストもブリッジもブラックレディもルールなら十分解りやすいんで、ここで言いたいのは遊びどころ、というか悶えどころ。「このトリックは取れるけど取っていいんだろうか取ったけどこれでよかったのか」「トリックを取ったのでリードなんだけど次のトリックは取りに行くべきだろうか、あるいはここは降りて他人のリードを掬うべきだろうか」「そろそろトリック取れないと展開的に不味いけど取れるのかなあ」「ここでトリック取らされるのは早すぎるんじゃねえのか」「最終トリックは一応負けられそうな(あるいは勝てそうな)カードを残せたけど実際どうなるかは祈るしか無いし」と、まあ宣言ジャストものであればそうあるべきである、というような要素はきちんと一通り【誰にでも解る形で】用意されています。

用意されているだけでなく、あるべき形で用意されている、というところが大事で。つまり、コントロールできそうな部分と祈るしかない部分の配合が正しく行われており、トリックごとの状況の変化が急すぎず緩すぎず、とりわけ、早い段階における突然死ないし勝ち確定がほぼ無いので全員が最終トリック近くまで不安ないし期待を持ちつづけることができます。

ルールとして効いているのは、まず複数スート選択制であることを生かした数値の配分。あるスートは低めの数値に寄っていて別のスートは高めの数値に寄っているので、同じカードでも、勝ちに行きたい使い方と負けに行きたい使い方のどっちにするか悩む事ができます。無論マストフォローの縛りによってカードは変なところで徴発されますし、ノートランプなんで微妙な数値のカードでも結構勝てたり(勝ててしまったり)して、コントロール可能/不能感の演出がされているあたりは如何にも正統的なトリックテイキングちゅうか。当然このあたりのルールが生きているのはジャスト宣言物を選択しているからということでもあります。そして何より大きいのは、同値カード後出し優位の法則。このゲームは同値カードが割と大量にあるんで、トリック数のコントロールのために、リードを取ったけど一旦抜けて後で他人のリードを掬いに行こう、という選択がかなり効きます。逆にこのルールにより、別にそれほど強いわけでもないカードなのに手番の関係でうっかり拾ってしまったり、というナイスな事態も発生するでしょう。

総じて(複数スート選択制というゲームの根幹を除いては)奇を衒うようなルールは排除されており、その上でトリックテイキング標準ルールオプション選択チェックシートの中から全ての分岐で正しい選択肢にマルをつけているなー、という印象を受けました。トリックテイキング特有の技量がどうこうという点に囚われず誰でも楽しく気軽に悶えましょう、という視点で堅く作られたウェルメイドな傑作だと思います。

Xactika
designer unknown
(SET Enterprises, 2002)
★★★☆
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by Taiju_SAWADA | 2006-07-10 00:36 | 感想・紹介
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