「重力の儀」発刊にあたって:国分寺秤儀保存会より祝辞

このほど、B2FGames LLC. の方々のご尽力により、東京都国分寺市周辺に伝わる秤の遊戯「秤儀」を、「重力の儀」というゲームとして皆様にお届けできることになりました。国分寺秤儀保存会として、これほど嬉しいことはありません。

秤儀の由来には諸説ありますが、現在最も有力な説と考えられているのは西暦845年、壬生吉志福正による武蔵国分寺七重塔の再建に端を発するというものです。壬生吉志福正はこの再建の事業に際し、その土地に住む者みなが再建の力になるべきとの考えから、宮大工のみならず地元の農民を広く徴用しました。そして農民に日当として支払う銀の計量のため、秤を特別に誂えたのです。壬生吉志福正の公明正大さに感銘を受けた農民は以来、彼が秤の検証のために用いた作法を真似て、「秤儀」として親しむようになったとのことです。

かつては国分寺市・立川市・国立市など史跡近隣の地域では盛んに遊ばれ、また小学校においても課外活動として取り上げられるなどしていたのですが、ここ二十年ほどはテレビゲームなど他の遊びに圧され、衰退の一途を辿っておりました。おそらく B2FGames の方々は、学校で秤儀に触れられた最後の世代でしょう。秤儀に現代の洗練を加えて蘇らせたいというご相談を受けたときには、こんな若い方がと驚きました。

とまれ、秤は上皿天秤から電子天秤に変わり(彼らによれば「電子天秤の方が無責任で良い」のだそうです。デジタル表示であることがかえって無責任であるというのも面白いものですね)、町内会ごとに異なるとも言われていた数々の作法は、席決めの儀を除いて殆どが外されました。古い者として少々の寂しさを覚えないといえば嘘になりますが、しかしこの洗練により、黴臭い遊びであった秤儀が、その本質を変えないままに、瑞々しくも楽しいゲームとして生まれ変わったのですから、やはり寂しさよりも喜びの方が先に立つというものです。

少々お喋りが過ぎたようです。やはりその魅力を感じていただくには、皆様にお手に取っていただくのが一番でしょう。伝統に繋がる楽しみを、そして他の何処にも無い新しい楽しみを、皆様に感じていただければ幸いです。

国分寺秤儀保存会
[PR]
by Taiju_SAWADA | 2008-04-17 00:21 | 創作関連
<< 「The Ritual of ... B2FGames in Nue... >>