「The Ritual of Gravity」再販します。

はい。表題通りです。「 Elements みたいな最近のゲームなんか当然持ってるに決まってんじゃんよー、もっと手に入りづらいゲーム再販しろよー」という内外の声にお応えすべく、ヨーロッパまで出かけて版権を手に入れて参りました。こないだの映像ではニュルンベルグから直接日本に帰ったみたいになってますがほんとはあれは編集のマジックでして、実際にはあのあとロンドンに寄っていたのです。

極端にマイナーなゲームなので背景を説明しておきましょう。現在ではボードゲームというのは当然のように専業メーカーの領分なわけですが、かつては別にそういうものと何の関係もなさそうなメーカーがボードゲームを出していました。代表はなんと言っても「ファミリーストラテジー」の領域を事実上定義づけた 3M 、他にも Sigma File のリメイクなどを出したペリカンあたりは有名でしょう。まあ現代でも KOSMOS なんかは異業種参入組と言えるわけですが。

そして、その 3M やらペリカンやらがボードゲーム屋として存在していた 60-70 年代というのは、アメリカで整備されたファミリーストラテジーのジャンルがイギリスに移って小さいながらも美しい花を咲かせた時代でもありました。先に挙げた Sigma File だったり、 Election (ElectionX) や Hare and Tortoise、 Formula 1 などが代表的なところでしょうか。 無論これらはみなボードゲームメーカーから出版されたゲームではあります。しかし、イギリスにも異業種組がいなかったわけではありません。

ハビタ (Habitat) をご存じでしょうか。テレンス・コンランが 1964 年に開いたインテリアショップで、日本の無印良品に極めて強い影響を与えたことでも知られています。ハビタは生活全体をデザインするというコンセプトのもと、子供向けの玩具なども独自に企画・販売していました(あ、過去形じゃ間違いですね。現在でも行っています)。このハビタ、公にはされていませんが、 60 年代末から 70 年代前半にかけて、ボードゲームの販売を試みた形跡があるのです。その証拠と言えるのが、今回再販する Habita Games の 1973 年作品、 "The Ritual of Gravity" です。

そう Habitat ではなく Habita なんです。一応両者の間には何の関係もないことになっています。しかしオリエント趣味を前面に出したインテリアグッズとしても通りそうな強いデザイン性、銘こそ削られているもののどうみても当時の Habitat 台所小物そのものといっていい造形のキッチンスケール。その関係は明白でしょう。ゲーム自体も「物の重さを推測し、計量する」という、専業メーカーからは出てこないような風変わりなアイデアを軸にしたコンセプチュアルなものでした。

Habita Games はその後間もなくして活動を停止し、このメーカーの名前と共に、このユニークなゲームも歴史の中に埋もれてしまいました。元々パイロット的な出版であったために出回っている数も極端に少なく、完全に幻のゲームと化していたのですが、どうしてもあの変なゲームをもう一度紹介したいということで、 20 部だけではありますが(版権とゆうのは面倒なもんなのです。特に今回みたいなケースでは)ゲームマーケットにて販売できることになりました。

予算の都合上、元のゲームのコンポーネントをそのまま再現するのは叶いませんが(秤だけでも一万近くしそうだし)、それでもオリエント風という全体のテイストは可能な限り守るように作れたのではないかと思います。ついでなのでタイトルも「重力の儀」と和訳してみました。外箱については Habitat よりもむしろ、 Habitat に影響を受けた無印良品のデザインにちょっと近かったりするのですが、これは元々 Late Toccobushi Game Club のプロダクトは無印を意識していたのでして、仕方ないということにさせてください。

ともあれ、当時を知る方もご存じない方も、楽しんでいただければと思います。
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by Taiju_SAWADA | 2008-04-20 00:07 | 創作関連
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