アッティカ Attika

[タイル置き。手番になったら、「自分専用のタイル山からタイルを2枚めくる」か、「既にめくってあるタイルを3枚まで置く」か選ぶ。タイルを全部置ききれば勝ち。タイルを置く際にはコストを払う必要があり、置きたいマスに描かれているフリー資源か、または手元のカード(行動をパスすると貰える)で支払いを行う。というわけで良い資源のあるマスを早い者勝ちで奪い合いたいのだが、一方で、「タイルを一定の順番で置くとコストが只になる」というルールがあり、これを狙ってタイルを引き続けるという方針も考えられ、さてどうしたものか。]

「新しい」とまでは言わないものの、現在の主流から外れた(*)システムを意図的に採用し、結果を出していると思います。

派手な一発逆転が存在しないので、終盤にさしかかったあたりで上位とだいぶ離されていたりすると、モチベーションがだいぶ落ちてしまうというのは難点であって、さらに言えば「派手な一発」が存在しないということはそれ自体が「地味」ということにもなってしまうというところはあります。とはいえ、それはこのゲームでは致命的な弱点になってはいません。

点差と言うものが、単に毎ターンの得点差を積み重ねた結果の現れだったとすると、いちいち毎ターンの行動の正否を確認しなければならず、さらに、今回のターンの失敗をリカバーするには、今回のターンと基本的には繋がりのない「次回のターン」の得点をどうにかするしかありません。ということは「今回のターンの負け」は確定事項であって、基本的に取り返しがつかず、そしてその事実は毎回のターン終了直後に突きつけられてしまいます。

アッティカにおける「点差」というのはそういうものではなくて、最初に採用した戦略がタイル引きの結果あるいは他プレイヤーの動向によって変更を余儀なくされる、そのタイミングをどれだけ正しく見積もったのかという成績(いや、単に引きがものすごーく悪かったとか良かったとかそれだけかもしれないんだけど)が、中盤の終わりから終盤にさしかかったあたりで、初めて明確なものとなって現れるのです。もしかすると、得点と言うものが明確なものとして始めて意識される時点を、このゲームにおける終盤の始まりとしてみるべきなのかもしれませんが。いずれにしても、それより手前の時点においては、自分のとった行動の良し悪しは、予感として現れ、それ以上のものには発展しません。予感された失敗の少なくない部分は、何らかの形でリカバーをとることによって「なかったこと」にしてしまえます。

そして結果が現れた時には、プレイヤーは自分の失敗(いや、単に引きが以下略、という考え方も勿論ありだが)を思い返すことになります。それはリカバーに失敗したために顕在化したのかもしれないし、リカバーがそもそもできないような大きな失敗だったのかもしれないし、そもそも戦略自体に無理があったのかもしれないし、単に運が悪かっただけなのかもしれない。でもはっきりしていることは、そこで思い返される失敗というのは「大きなものがひとつかふたつ」という形をとるということです。

前者と後者で何が違うのかというと、今回のゲームの終盤においてやる気がなくなるという意味では別に何も変わらないんだけれども、次回以降のゲームに対するモチベーションが違います。前者だと「なんだか全体的に駄目だったよねー」で終わってしまいますが、後者ならば「今回はここが駄目だったので次回はそのへんを意識してみよう」ということになります(**)。アンチクライマックスは勿論欠点でしょうが、後者の場合にそれが致命的なものとはならないのは、ゲーム自体への信頼までは揺らがないからでしょう。

というわけで比較的健全な上達意欲を喚起するゲーム(***)。ルールも充分に平易で、誰にでも安心して薦められます。メルクレは創作姿勢まで含めて信用できるデザイナーだと思います。

(*)というほど「現在の主流」を追いかけている訳じゃないんですけど、「自分のタイルを(時間コストを払って)手元に引き寄せてから置く」「全部置けば勝ち」という基本ルールを採用したゲームというのは、一見多いように思え、しかし考えてみると全く思いつかなかったのでこう書いてみました

(**)もっとも、そのへんを意識して次回のゲームに臨むと今度は別のところで問題が発生する可能性があり、上達意欲が必ずしも短期において直線的に上達に結びつくかというとそうでもないかもしれない

(***)わざわざ「健全な」と入れたのは、特にこのクラスのゲームにおいては「上達意欲」というものが必ずしも良い方向に作用するとは限らないからです。始まる前から結果の分かっているゲームなぞ誰がやりたいんかね、っつう話。

Attika
by Marcel-Andre Casasola-Merkle
(Hans im Glueck, 2003)
★★★
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by Taiju_SAWADA | 2004-08-15 13:01 | 感想・紹介
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