2005年 08月 01日 ( 1 )

オルトレマーレ

[商品カードを山札から手札に移して手札から自分の船(まあ場札ですが)に積み込むと得点になる。但し、同じ種類の商品カードを一定枚数連続で積み込まないとまともな得点にはならない。ということで交渉で他プレイヤーと手札を遣り取りすることになる(手札枚数に制限がかかっているという事情も、交渉の頻度に拍車をかける)。あと、商品カードには一緒に、船に積み込むときに自動的に発生する「余計にもらえる得点」「貰える手札」「受けるペナルティ」「所有特殊能力の変更」というようなイベントが書いてあり、そしてこのイベントは各プレイヤーが現時点で持っている所有特殊能力により強化したり回避したりできるので、積み込みたい商品カードによって特殊能力をうまいこと切り替えていくのが肝要。]

強烈な制限がかかっている中で手札を処理しないといけなくてそのために交渉が必要になるゲーム、と言えばこれはもう明らかに「ボーナンザ」な訳ですが(そしてこれだけの説明でボーナンザと言い切ってしまえるというのがボーナンザの名作振りを示しているのですが)、ボーナンザでは交渉による契約の成立がそのまま双方にとって確実に利益になるというデザインがなされているために牧歌的な雰囲気を纏わせているのに対し、このゲームの交渉は遥かに重いものとなっています。いや、やっていることが難しいというわけではありません。単にカードを交換したり、勝利点を使って売ったり買ったりするだけです。何が問題かというと、カードという資源を持っているということが場合によってはマイナスに働く可能性があるというところで、要は手札制限を越えるとペナルティが来るということなんですけれども。手札制限を越えないにしても、カードを積み込む際に素で受けるペナルティというものもあり、つまるところ何も考えずにカードを集めているだけでは全然儲からないということで、従って迂闊に交渉に応じて変なカードを得るわけにはいかない。とりあえず交渉に応じておけばいい、ということにはならないのです。

この、互いの事情というものを肌で感じながら身を削るようにして行う交渉というもの、これがやってみるとかなり新鮮なものと感じます。つまりはやること自体は(利害調整というよりも嘆願という気分を基にした交渉という意味で)弄らないままボーナンザのプレー感覚を表裏完全に引っくり返したものになっていて、この一手番をどうやって乗り切っていきましょうか、そしてすぐに襲い来る次の一手番にどう備えましょうかという、ちょっと悲壮と言えなくもないくらいに覚悟めいた気分で臨むのが独特の楽しさを産んでいます。実際のところゲームを左右するのはむしろ特殊能力(ペナルティ無効とかボーナス勝利点とか)をどう手元の商品カードに合わせていくのかという部分のほうが大きいのではないかと思うのですが、そうは言ってもそれは交渉を一定の水準でこなした上の話であって、交渉から(ということはこの覚悟を要するほどの閉塞から)逃れられるということにはなりません。

きついことは間違いなくきついので、好き嫌いは明確に分かれるゲームだと思いますが、そういうことを面白がるゲームであるという前提に立てば、概ね問題のない品質に仕上がっています。ひとつ難点を挙げるとすればゲームの長さで、これは3人ゲームだったからということなのかもしれませんが少し長すぎる気がします。特にこのゲームは手番ごとの正否を積み上げて最終結果とするタイプの時間管理を行っており起承転結を持った構造ではないため、ゲーム時間を短くしようと思えばカード枚数を減らすだけで至極簡単に行えます。行えるものが敢えて行われていないということから、そこにデザイナーの意図を読み取るべきではあるのですが、しかし個人的にはゲームの長さを倍に取ることによってこのゲームに新たに生まれるものは何も無いと考えます。一本調子の閉塞感を2時間弱に渡って繰り返していると流石に不毛な疲労感を感じないでもありません。

OltreMare
by Emanuele Ornella (Mind the Move, 2004)
沢田★★★/山根★★★★/吉田★★★☆
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by Taiju_SAWADA | 2005-08-01 23:07 | 感想・紹介