2008年 01月 21日 ( 1 )

イベント・ドリブン

90年代のドイツ物ゲームからは「70-80年代にはもう絶対戻らない」という堅い固い決意を感じて、例えばそれが何に現れているかというとイベントの扱いだったりします。イベントカードの山を出してくるゲームを見るとああ昔だなあという感慨にふけるのは、90年代のドイツがそれをかなり強い態度で忌避していたからなんじゃないかと。実際70年代とか80年代のイベントカードって最悪ゲームの腰を叩き折るようなものだったり、そこまで行かなくても何のために存在するのか全く理解できないようなものだったりしていたのでして、そりゃイベントは敵って発想には当然なるよね俺もなるし。90年代でイベントめいた山札を見る度に起きる反応は失笑。ま当然ですわね。

一方で伝え聞く話によれば90年代のウォーシムではイベントの扱いに関して長足の進歩があったらしく、そういうことを耳にするたびに、あー嫌いなジャンルでも手をつけるくらいのことは本当はしなきゃいけないんだよなー、とちょっと憂鬱になったりしたのでした。結局手は付けないんだけど。先約いっぱいあるし。

さてそんな90年代を通過して。イベントと比較的近しい概念である特殊能力についてはドイツ物も一応縁を切らずにやってきていて、 Ursuppe (1997) あたりを嚆矢として超能力バトルものにもおっかなびっくり手を出したりしつつ、それでもイベントカードとは絶交したままだったわけですが。ドイツ的洗練という方法論の終焉がいよいよもって目の前に迫ってきた感のある2007-2008シーズン、ついに来たかという感じでドイツ系にもイベント・ドリブンがやってきたようです。

Richard Breese は Morgenland なんかを見る限りでは元々そっち系に興味を持っていた人なんじゃないかと思います。今回の Key Harvest は満を持してというところかもしれません。ゲームシステム自体は土地タイルを巡る変則競りで、タイルは袋から乱数引きなので勝ち負けが引き運に極端に左右されるという問題があります。ドイツ的方法論だと、ゲームを軽くするか運の要素を取り除くかという二択になるわけですが、ここで Breese はどちらでもなくイベントを使ってさらにゲームを揺さぶるという選択を行った。競りのゲームである以上に、必ず全員に平等に大量に振ってくる(用意されたイベントは、順序の差はあれその大多数がゲームに登場します)妙な状況にいかに対処するか、というゲームになるわけです。ある意味では Ursuppe の環境カードに近い使い方ではありますが、このゲームを見た後だと Ursuppe はそれでもドイツ的洗練を意識していたんだな、というように見えます。

Key Harvest 自体がこの試みに成功しているか否かはここでは述べません(まだ三人ゲーム一回しかやってないのよー)。しかしこの方法は明らかに汎用性のあるもので(なにしろウォーシムの人には経験があるはずだし)、まあパラダイムの変換というほどのものは無いにしても、方法論の内部改革とその結果としての五年程度の延命には繋がるんじゃないか、という期待は感じさせてくれます。
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by Taiju_SAWADA | 2008-01-21 01:51 | 感想・紹介