2008年 09月 18日 ( 1 )

教育ゲームまたは金融についての私見

教育ゲームという勢力があって。それを遊ぶことによって何かを学ぶことができます、みたいな。別にその意図についてどうこう言う気はないのですけど、その実装を見ると大概の場合に若干の憤りを覚えるのは、まあゲームとしてつまんないという話はおいとくとして、本当にそれで学んだことになるのか、という疑問が出てくるのですね。例えば株式の売買に関する教育ゲームがあったとして、取引所があって板があって値動きのしくみがこうなっていて、という手順は再現されていても、それが誰にとって何を意味するのかという本質が描かれていない、ということが往々にしてあります。というか、そんなんばっかり。当然、本質なるものの捉え方は一様ではなく、また仮に一様ではあったとしてもゲームの中でその全てを現せるはずもなく、だからこそどの観点から教育を行うかという作者の選択が重要になるのですが。ゲーム舐めてねえか、というのは別にいいとしても、教育舐めてねえか、という話になると教育ゲームとしては拙いでしょう。

というようなことをある時考えていて、なんか金融っぽい教育ゲームみたいの作れないかなー、というのでルールを書いたところ、これどうやって遊ぶんだろうみたいな妙な物ができてしまったとのことです。勿体ないので一部修正の上ここに転載。実プレーには耐えられないと思いますが思考実験としてならそれなりに楽しいかもしれません。あと金融に対する俺の偏見を感じ取れるかも。

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「勝利権」

大人用。五六人くらいがたぶんベスト。そんなに長くはかかりません。

【内容物】
◆コイン:一人十枚◆競り札:[10][0]〜[50]くらいまで各1枚ずつ(この札には「裏」の概念はない)[10Oct2008修正:0〜9までの札も一応あったほうがよさそう]◆砂時計:n秒x1(たぶん1分くらいが無難)◆大きめのポストイット:一人一色(一冊)◆鉛筆:各人に◆時計(ストップウォッチ)x1

【ゲームの概要または勝利条件】
「勝利権」を競り落として購入した人が勝ち。「勝利権」を競り落としたのに購入する金がなかった人は負け抜け。一人だけ負け抜けずに残った場合はその人が勝ち。

【ゲームの準備】
各人にコインとポストイットと鉛筆を配る。じゃんけんか何かでファーストビッダーを決める。ファーストビッダーは、競り札[10]を取って自分の前に置く。それ以外の競り札は中央に並べて置く。落ちきった砂時計も中央に置く。ストップウォッチを起動し、砂時計をひっくり返して中央に戻し、ゲームスタート。

【ゲームの流れ】
このゲームには手番の概念がない。適当に仲良くやっていただきたい。ゲームの中で、プレイヤーは「勝利権」を落札するためにビッドを出すか、あるいはそのビッドのために誰かから金を借りるか、または貸すか、というようなことを行う。最後に誰かがビッドを行ってから一定時間が経つと、落札ということになり、ゲームはたぶん終了する。

【競り札の役割】
競り札は、「勝利権」を落札するためのビッドを意味する。従って、ゲーム開始時には、誰かが10でビッドを出していることになる。
競り札を取る(つまり、その額でビッドを出す)時は、声でそのビッドを明確に宣言すること。既に出ているビッドよりも低いビッドは行ってはならないビッドは0以上の整数でなければならず、また、自分が既に出しているビッドよりも低いビッドは行ってはならない[10Oct2008:ルール間違ってたので修正]。手持ちのコインより多い枚数をビッドしても構わない。
アウトビッドされた場合も、取った競り札は置いたままにしておく。二回目以降のビッドの場合、取った競り札は、以前取った競り札の上に重ねて置く。
同時同額ビッドの場合、先に競り札を取ったほうが優先。かるたの要領で。

【契約書】
このゲームでは交渉は自由。コインの貸し借りや譲渡、契約書の貸し借りや譲渡も交渉者の合意の上でなら自由。但し、取った競り札は譲渡できない。
一般には「モノAとモノBを同時に交換する」形式以外の約束において、約束を守る必要は無い。
但し例外的に、このゲームでは、「守らなければいけない契約」を結ぶことができる。このような契約は契約書に記載する。契約書は基本的には以下の形を取る。
「状況 X が発生したとき、コイン n 枚支払う」
これを、 X -> n と記述する。
状況 X または条件 としては、基本的には以下の形を取る。
・時刻がT0〜T1の間である。「T: T0〜T1」と記述する。
 T0以降であることのみを示す場合「T T0〜」または単に「T T0」と記述する。
 T1以前であることのみを示す場合「T 〜T1」と記述する。
・最高値ビッドがMからNの間である。「BID M〜N」と記述する。
 M以上であることのみを示す場合「BID M〜」または単に「BID M」と記述する。
 N以下であることのみを示す場合「BID 〜N」と記述する。
組み合わせの状況や条件を作りたい場合は、個々の条件を()でくくり、and または or で組み合わせる。但し、基本的には、契約の当事者間で合意の取れている内容の記述ならどのようなものでも構わない。契約の内容についても同様。
契約書は、状況 X が発生している状態であればいつでも、契約書受理者によって行使されうる。行使された場合、発行者が受理者にコインを n 枚支払う(この時、発行者が十分なコインを有していない場合に限り、発行者は手元にある全てのコインを受理者に払えば、それ以上の債務は免責される)。

※一般には、受理者は契約書発行時に発行者に対してコインを支払うか、別の契約書を発行する。但し、これに縛られる必要はない。

【砂時計】
 砂時計(およびストップウォッチ)の操作は、下記に示すルールにより、原則としてその時点での最高値ビッダーが行う。但し、最高値ビッダーがこれを行いたがらない場合、誰が行っても構わない(早い者勝ち)。砂時計に一旦触れたプレイヤーは、操作を五秒以内に完了させなければならない。
・現時点での最高値ビッダー以外のプレイヤーの元に砂時計がある場合
  →砂時計を中央に戻す。
   望むなら砂時計をひっくり返してから戻してもよい。
・砂時計が中央にあり、砂が落ちきっていない場合
  →誰もこの砂時計に触ってはならない
・砂時計が中央にあり、砂が落ちきっている場合
  →砂時計をひっくり返して最高値ビッダーの元に置く。
・現時点での最高値ビッダーの元に砂時計があり、砂が落ちきっていない場合
  →誰もこの砂時計に触ってはならない
・現時点での最高値ビッダーの元に砂時計があり、砂が落ちきっている場合
  →ストップウォッチを止める。

【ストップウォッチが止まったら】
 誰かがストップウォッチを止めたら、一旦ゲームを停止する。この間、誰もビッドを出してはならない。
 最高値ビッダーは、ビッドした分のコインを支払う。このとき、他のプレイヤーとの契約により、他のプレイヤーからコインを得る権利がある場合、これを全て行使してよい。他のプレイヤーも権利の行使を(行いたければ)全て行える。但し、行使の順序は全て最高値ビッダーが指定する。
 最高値ビッダーは、全ての権利の行使の後、ビッド分のコインを支払う。
 問題なく支払えたなら、そのプレイヤーの勝利となる。
 ビッド分が支払えない場合、そのプレイヤーは失格、退場となる。そのプレイヤーのコインは全て没収(ゲームから消える)。そのプレイヤーが出した契約書も全て無効となる。競り札と砂時計はそのまま置いておく砂時計は中央に戻し(ひっくり返さない)、競り札も中央に戻す[10Oct2008:こっちのがよさそうなので修正]。この段階で、最高値ビッダーは「手元にある(一番上の)競り札の値が最も大きいプレイヤー」に移る。ストップウォッチを再開させ、ゲームも再開させる。

【ルールの拡張】
 契約書の書式を増やすことで容易に拡張可能。代表的な条件は、契約書発行者の所持金(Pay M〜N)や契約書受理者の所持金(Rec M〜N)など。


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by Taiju_SAWADA | 2008-09-18 01:51 | 創作関連