<   2004年 10月 ( 3 )   > この月の画像一覧

評点(★)の説明

そういえば、感想につけている星について説明していなかったような気がするので、いまさらながら書いてみることにします。
1~10までの10段階評価で、★=2pt, ☆=1ptです。但し、気分としては「微調整の効く5段階評価」のつもりでつけています。つまるところ、
★★★★☆以上:   最高レベルのゲーム。滅多につけません。
★★★☆/★★★★: 単に面白いという以上の「お気に入り」ゲーム。時々つけます。
★★☆/★★★:    普通に遊べるゲーム。大概のゲームはここに入る感じ。
★☆/★★:       つまんないゲーム。たまにつけます。
☆/★:          許しがたいゲーム。つけるのにはかなり勇気がいります。
というようなとこです。
[PR]
by Taiju_SAWADA | 2004-10-16 22:15 | サイトについて

レイルロード・ダイス Railroad Dice

[サイコロを振って鉄道会社の株を買ってオーナーになり線路を引いて駅をつくるゲーム。但し「サイコロを振って」は「線路を引いて」のみにかかるのではなく文全体にかかる。つまり、現実には駅を作る行為も株を買う行為も線路を引く行為でも、必要になるのは金銭であるわけで、このゲームではその金銭そのものの代替としてダイスが与えられる。従ってプレイヤーにはターンごとに「資金」としてダイスが複数与えられ、プレイヤーはこれに対してどれだけの資金を使う(=振る)か決める。振ったダイスには「線路引く」とか「株券買う」とか書いてあって、という按配。ちなみに振らなかった資金は駅を建てるためのコストとして使用される。駅を建てた鉄道会社のオーナーには、その数に応じて勝利点が授与されます。]

欠点を書き出していけばそれだけで延々と続けていけるゲームではあって、まず一番の問題は「ルールの説明にかかる時間がゲーム時間(90分)の三分の一」ということになるでしょう。いや、その90分が濃密なものであれば、これは欠点とまでは言えないのでしょうが、このゲームの90分はそういうものではありません。ルール説明の30分は、複雑に絡み合う諸要素の説明に費やされるのではなく、特殊なメカニズムを採用したが故に避けがたく発生してしまう例外事項や注意事項の説明と、ゲームの破綻を避けるために付与された特殊ルールの説明に終始します。

もう一つの欠点は、株式によってオーナーの権利を奪い合うことが志向されているルールであるにもかかわらず、そのような乗っ取りを頻繁に発生させるにはあまりにも株式の流動性が低いこと。これは「そもそもサイコロの中に株券購入の目が1/6しか含まれていない(自由行動の目が1つあるので、株券購入ができる確率は1/3なのですが、自由行動は大変価値の高い目なのであんまり積極的に株券購入に使う気にはなりません)」ことと、「全5社中4社の新株が売り切れるまでは“中古”株は買えない」ことの二点、特に後者が主たる原因でして、後者の条件が満たされるのはゲームの終盤(下手するとゲーム終了まで条件が満たされないことも)ということになってしまいます。この結果、ゲーム序盤に一人一人が1社ずつ過半数の株を買ってオーナー権を確定させ、、残った1社に関する取り合いは発生するにしても、株券をめぐる争いは実質これだけということになってしまいます。せっかく用意されている株のルールがいまいち意味の無いものになってしまい、概ね鉄道を引くだけのゲームというところに落ち着いてしまっているのです。

ならば、まあ引けばいいか、ということで引きますと、ここではかなりの部分が「自由行動の目をどれだけ出せるか?」ということに左右されてしまう、という話が出てきます。これを三つ目の問題とすることもできて、もうちょっとこの部分はなんとかならなかったのかな、という気分は正直なところあります。とはいえ、そもそもダイスを大々的に取り上げているゲームであるという時点で、さほど緻密な戦術が要求されるゲームであることを期待してもしょうがないんで、この点については他の二点に比べれば大きな問題とはならないでしょう。どちらかといえばこの点は、第一の問題点のサブトピックとして扱われるべきもので、「こんなダイスメインの軽いゲームなのになんでルール説明が延々と終わらないのか」という形で(のみ)取り上げられるべきものだと思います。

さて、これだけうんざりするような要素を兼ね備えつつ、それでも捨てきれないだけの魅力をこのゲームは持っています(持っている、と思います、たぶん)。何が楽しいのかと言えば、主にダイスが楽しい。ダイスを「振るのが」ではなく、「ダイスが」です。じゃらじゃらしたダイスを資金として持っておくこと、振ったダイスを線路に見立てて置いていくこと、自由行動の目を使わずに自分の前にリザーブしておいて勢力を誇示すること。無論これは偶々それが楽しかったということではなく、「ダイスの目を線路に見立てる」というところから(おそらくは)出発して、そのようなゲームにおいてダイスはどのように扱われるべきものなのか、という点を正しく組み立てていった結果であると言えます。特に「振った目」が線路(*)であるのに対して、振る前のダイスは「線路にも変えうるもの」であるという点で「資金」として扱われるというアイデアは綺麗で、また新しくもあります。

(*)もっと厳密には、振った目は線路そのものというよりは「線路を引く」という事業というか行為を示していると解釈するほうが妥当です。そのため、線路を引くという事業について、トンネルを掘る必要があるなど通常以上の困難が発生する場合には、追加の費用が発生し、そしてこの追加費用は(単なる線路である「振った目」ではなく)資金そのもの、つまり振る前のダイスで支払わなければいけません。単に「追加でもう一本線路が要る」としなかったところが素敵だな、と思うわけです。

新しさに価値はあるのか? という話もありますが、ここでは、「このゲームの新しさには価値がある」と言いきってしまってよいと思います。単に珍奇であるというのではなく確かに筋の通った新しさであること、その新しさを核に据えて一つのゲームを(あるいは、このゲームに触発されて現れるかもしれない複数のゲームを)充分に支えきれることは、大きく評価されてしかるべきことです。デザイナー一人で立ち上げているような小メーカーのゲームには、やっぱりこういったものを期待したいなー、と。

Railroad Dice
by Jens Kappe
(Wassertal Spielverlag, 2003)
★★★
[PR]
by Taiju_SAWADA | 2004-10-16 22:06 | 感想・紹介

The Penguin Ultimatum

[得点カードの周りに権利カードを置いていって、得点カードの周りが埋まると決算。置いた権利カードの数字に応じて点数が入る。但し、得点を入手するためには、先に得点カードの上に「チップ」を置いておかないといけない。一枚の得点カードの上には一枚のチップしか置けないので他のプレイヤーとの競争になるのだが、プレイヤーは3枚しかチップを持っていないので、あまり早い段階で置いてしまうと延々と得点が入らないまま焦らされることになる。あとは権利カードを置く際の細かいルールとか、ボーナスポイント関連のルールがいくつか。]


そもそもこういう「最初に入った人にだけ権利があるんだけどできるならなるべく遅いタイミングで入りたい」もののゲームと相性が合わない、というのは確かにあるかもしれません。詰まらないとは思わないんですけど、どのゲームも同じにしか見えないのです。

このゲームは同系統の他のゲームに比べると、ややそのあたりのジレンマは薄めにできているのかな、という気がします。ここではジレンマのきつさというのは概ね「入りたいところに先に入られた際のどうしようもなさ」によって規定されるのですが(但し、これを強くしすぎて「なるべく遅く入りたい」が消えてしまうとゲームとして成立しなくなります)、このゲームはそこそこ逃げられる...んじゃない? というくらいの取り方になっています。まあ他のところで勝負すればいいか、とか、別のチップで稼いでるからいいかなー(ほんとは良くないんですけど、気分として)、という。その代わり「なるべく遅く」の部分もそんなに強くない。得点カードの上に置いたチップが複数あり、しかもチップの移動についても多少の制限はあるものの、まあ問題なくできる。

で、ジレンマ自体は比較的弱めにできていて、そうすると他にどういう遊びかたがあるのかといいますと、プレイヤー同士の潰しあいということになりましょう。権利カードの配置によって各プレイヤーに有利っぽい範囲みたいなものができてくるのですが、それを如何に効果的に潰していくか。どっちかというとそちらが主となると思いますので、プレーの感覚はプレイヤーがどれくらい好戦的かによってたぶん変わってくるんじゃないでしょうか。守備的なプレイヤーが多くなると、ちょっと地味目のファミリーゲーム、という臭いが強くなります。今回はそういうゲームになって「うーん地味ー」という感想でした。面白いのは好戦的なプレイヤーが集まったプレーだと思いますが、ただ戦略上どっちが有利か(つまりゲームの印象がどっちに収束するか)、となると微妙ですね。

あと、ゲーム自体とは関係ないっちゃ関係ない不満なんですが、なんでこのゲームを出したかったのか、というのがいまひとつ見えない、という点があります。プロフェッショナルが作って大手メーカーが出しているゲームならば、シンプルに金のため、で何の問題も無いんですが、Eight Foot Llamaって同人メーカーでしょう。世の中に腐るほどゲームが存在する中で敢えてアマチュアが更なるゲームを世に出す、というときには、何らかの「このゲームを出さなければならなかった」という理由が必要なのではないか。そして(プロダクトの品質は低く、完成度への期待もさほどは持てない)同人ゲームをプレーすることの楽しみというのは、第一にはそのデザイナーの問題意識をシステムから伺うことにあると思うのです。ところがこのゲームのシステムは「早乗り系」の一言で片付くもので、プレー感覚も「地味目のファミリーゲーム」という、平たく言って上記の期待とは真逆をいくものです。このゲームを作った理由がシステムからは分からない。いや、これが堂々たる完成度を誇る傑作というのであれば、そういうことは気にしなくても構わないかもしれないんですけども、別にそんなに凄いゲームってわけでもないんで。

The Penguin Ultimatum
by Jim Doherty
(Eight Foot Llama, 2003)
★★
[PR]
by Taiju_SAWADA | 2004-10-05 00:36 | 感想・紹介