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ゲーム自作のためのクリップ

重要なことは、価格を適正に押さえることと、なるべく自分の手を汚さないこと。両者はトレードオフの関係を持っています。これに「見栄えのするものを作ること」という第三の条件を加えると、実現可能性という言葉が遠い空に旅立ってしまいます。とはいえ、折角時間をかけて自作するなら格好の付くものにしたいわけで。

※別方面として Cheapass Games のスタイルを取るという手もありますが、 Cheapass のコンポーネント面におけるセンスの良さを再確認して終わるということにもなりかねません。


* リンク集 *

http://spotlightongames.com/list/design.html

お役立ちリンク。極論すればここだけでいいかも。英語。

http://www.silcom.com/~tomjolly/design.htm

Tom Jollyによる「如何にしてゲームを売りに出すか」。当然英語。



* 駒をどうしよう *

小ロットだと厚紙に型抜きで切れ目を入れてという方法よりも、駒にシールを貼ったほうがいいかもしれませんが、実際のところどうなんでしょうか。


Safe-T Products
http://www.highhopes.com/safe-t.html

via [ボードゲームのおもちゃ箱: ゲームマーケット2005レポート さとーの視点から]
http://www.bisyoudou.com/~toybox/esen/gamemarket_2005.html

いろんな種類の駒が用意されていてなかなかすばらしいかもしれない。


Spielmaterial.de

http://www.spielmaterial.de/

使用レポート [moon Gamer: 木製ブロックを探索する]
http://moon.livedoor.biz/archives/21801899.html

ドイツ物で使われている光沢付きの木駒にはやはりあこがれます。


ゲームストアバネスト
http://banesto.cside9.com/

コストはかかりますが数にある程度の融通が利くのと話が早いのがメリット。



* カードは? *

カードはとりわけ大量生産によるコスト削減効果の大きい分野で、ということは小ロットだとかなりきついということでもあります。

ポプルス
http://www.inv.co.jp/~popls/

「同人印刷で行う限りにおいては」という注釈つきですが、たぶん一番安いです。それでも結構するけど。

ほかにもカードを扱っている同人印刷屋は何件かあります。



* 外箱とか *

商品の見た目ということを考えたときに、一番最初に目に入るのは当然外箱と言うことになります。同人で外箱をきちんとデザインしているところは滅多になく、我々レイトとこぶしゲームクラブも無論例外ではない(というか中でも手抜きが酷いほうから数えたほうが早くて、クラフト色剥き出しのトムソン箱に小さいシールを貼って終わりにしたり、ジッパー付きビニール袋に入れるだけにしたりと愛情のないこと甚だしい)のですが、実は箱というのは案外ちゃんとやろうと思えば何とかなる分野なんじゃないかと思います。というのはつまり、小ロットの箱という市場が存在しているから。同人市場とは何の関係もないところに位置している市場なので使用に若干気後れする部分はありますが、そんなことを気にしていても始まりません。

ということで「貼箱」で検索をかけてみますと、いろんなところが引っかかります。

http://www.livebox.jp/

サンプルを見てると楽しいです。

http://www.boxstore.net/index.html

自動で見積もりを取れるので、相場観を掴むのに便利。

100個を単位ロットとしているところが多いのですが、もっと少ないロットからやっているところもあります。
無論箱だけじゃなくて箱の上に何らかの印刷加工をしないといけないんですが、こうなるとちょっと大変で、普通にオフセットでやろうとすると最小ロットが500個だったりするところが殆ど。このへんはまだ同人業界ほど慣れてないというところですか。妥協案として箔押しという手があり、これだと小ロットでもやってくれるみたいです。基本的に単色の線画、しかもあまり大きい面積は取れないということで制約は強いですが、たとえば Reiner Kniziaの Thor (Heidelberger Spieleverlag, 2002) なんかはこの手法で作られてて、地味っちゃ地味ですがすばらしく上品にまとまっています。


* ボードをなんとかできないか *

これも同人印刷屋では扱ってない分野。ボードじゃなくて布地に印刷しようというのでタペストリー印刷という方法はあり、一応これだと同人屋で扱ってるんですが、単価が高くて全く割にあいません。A2一枚2000円オーバー。

どちらかというとこれも箱屋のルートから攻めてったほうが良いのではないでしょうか。

http://www.livebox.jp/shohin/hako_et15.html

たとえば箱屋はこういうメニュー台紙なんてものもカタログに用意してたりしますし。


* ゲーム自作関連の文章 *

http://someiyoshino.cool.ne.jp/analog/gecchu/labo.html

自分でレイアウトを組んで断裁指定して、ってやったほうが確かに安いんですよね。どうせカード印刷してもらったところでセット単位にソートするのは自分でやらんといけないわけであって(←ここ重要)

http://www.h6.dion.ne.jp/~fukkou/bod/jis/do/index.htm

駒をどうする、ってんで身近になんかないか探すのは当然みなさんやるわけです。そして都内のダイソーから何かの在庫が消えていく。

http://crocro.com/game/product/space_station/index.html

スペースステーション。全部自作であれ作ったのかー。



* 追記(2005/9/3) カードについて補足 *

カードの値段というのは具体的には100部×50枚だと、cheapass方式(単色刷り角丸無し表面加工無し。紙は色上質紙の超厚口)でも400円を越えます。フルカラー角丸付き表面加工付きにすると1100円。別に高くないじゃないかと言われるかもしれませんけどこれ50枚の値段ですから。ひゃくまいだと単純に倍で2200円。この値段がしかも「最低ライン」で、紙を厚くしたり印刷をトナーからオフセットに変えたりすると更にまた。
(ちなみにポプルスでは、表面ポリプロピレン加工する場合は単色刷り用の紙は使えないとのこと)

とてもじゃないけど出せませんというので何か安くする方法はというと、とりあえずカードのサイズを半分弱にしてみるという方法があります。なんで「弱」かというとカードの裁断誤差吸収用に多少のマチを取っておかないといけないからです。これをやると印刷代および表面加工代は単純に半分になります。裁断量が増えるのと角丸代は理屈上安くなりようがないのでトータル半分までは下がらないでしょうが、1300~1400円くらいにまでは落ちるんじゃないでしょうか。当然このような変形カードのセット扱いは無いので、紹介したリンク先のように自分でレイアウトを組む必要があります。面倒だけどしかたがない。あとスリーブ使えないのも弱点か。

無論のことcheapass方式で押し通せば100枚でも900円で済みますし、さらに小さくすれば100枚で400円台(角丸にすると900円に戻っちゃうけど)。さあどないだ。
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by Taiju_SAWADA | 2005-08-28 22:29 | 創作関連

ブームタウン

[良い金鉱を競り落として金を稼ぐゲーム。金鉱カードには発掘率(1/36~6/36)と発掘成功時の発見量(1~7くらい)が記されており、これに応じて毎ターン収入が入る。競りでは人数分の金鉱が出てきて、当然最後まで競りで残ったプレイヤーが競り値の見返りに一番良い金鉱を獲得するのだが、問題は二番手以下で、普通に想像されるような「競りに居残った順に競り値を払ってよい金鉱を獲得」ではなく、単純に反時計回りに(ゼロコストで)1枚ずつ取っていく、というルールが採用されている。あとはいくつかの特殊ルールカードと、同色の金鉱を多数集めると有利、とかそういうルールが付属。]

「えー?」と素頓狂な声を上げたくなる投槍な競りルール(無論「作者が投槍に決めた」という意味ではないです)がゲームの半分くらいを支配していて、このルールによって何が起きるかと言うと、あんまり競りに出たくなくなります。席順が近いプレイヤーに勝ってもらえれば金を払わずして良い目に遭えるのですから。積極的に打って出ないといけないのは、明らかに利害が対立していたり、一番を取らないとどうにも都合が悪かったり、一番を取りたそうな相手からの席順が絶望的に遠かったり、という事情がある場合でして、いずれにせよあんまり嬉しがるところではないです。金(=勝利点)が遠くに行ってしまうのを嘆きつつ、仕方ないなー、くらいのテンション。特に最後の「席順が遠い」が切実になるので、実際に競りが始まると、最初の1~2順は「とりあえず誰が勝ちたがっているか様子を見ておこう」という微妙なビッドが繰り広げられます。で、明らかに勝ちたがっている人がいて自分と席順が近ければ、あ全然OKっつうので降りて、都合が悪かったりすると、うーん、仕掛ける?、で二人目が仕掛けると、第三者としては最初のプランが崩れる(一人目が勝つならいいんだけど二人目が勝つのはアレ)んで仕方なく勝負に出たり。とにかく微妙なやる気の無さが漂い続ける競りゲームと言えそうです。

この競りシステムを使用すると、「自分で弄れないものとしての」他人の動向次第で完全に運命が決まってしまいます。自分で勝負に出ると基本的には損なので避けたい、最も得になるのは他人Aと他人Bの争いを横で見ていて自分に都合のいい方が勝ってくれること、そしてその争いに第三者の立場で介入することは(競りなので当たり前といえば当たり前なのですが)不可能、というわけで、なるべく自分で運命を切り開かないほうが良い、ということになるからです。もちろんそこにゲーム性を見出すことは可能で、その場合には、見込んだ他プレイヤーがきちんと今回の競りで勝ってくれることに賭けるか、あるいは諦めてローリターンだけど自分で出ることにするか、というギャンブルゲーム的なものとして捉えるのが相応しいと思います。

そもそもの競りルールがギャンブルっぽいので、このルールを中心としてパッケージにするとなると、あまりシビアなゲームに仕立てるわけには行かないというのが普通の考え方でしょう。作者もそのように普通に考えたようで、得点のルールをサイコロに従った乱数の強いものにすることによって、競りでの「失敗」がサイコロによっていくらでもカバーされ得る、緩い雰囲気の気楽なゲームとして纏められています。これは実にクレバーなやりかたで、つまりこういうゲームなんですという把握もしやすくはなっているのですが、ただそれによってこの競りルールの奇矯がやや安全な形で漂白されちゃったんじゃないかな? という疑問もちょっとあります。ゲームとしてあるいは商品として成立するものかどうか解りませんが、得点周りを無闇にシビアに作ることで競りの理不尽を強調してみたり(Kniziaっぽい手法と言えなくもない)、あるいは他者同士の競りに第三者として干渉するようなルールをつけてさらにビザールな感を漂わせて見たり、というような冒険をしてもよかったんじゃないでしょうか。現状ではちょっとだけ変わったルールによってコンパクトに纏められた気楽な競りゲーム、という位置づけになりますが、もうちょっとこの変な競りルールに相応しい変な立ち位置があるんじゃないのか、というのは多数派の意見ではないのでしょうけれど。

Boomtown
by Bruno Cathala and Bruno Faidutti
(Face 2 Face Games, 2004)
沢田★★★
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by taiju_SAWADA | 2005-08-22 00:28 | 感想・紹介

マングローブ密林からの脱出 Flucht aus Mangrovia

Flucht aus Mangrovia

[一人2駒持ちのレースゲーム。手札から色の書かれたカードを出して、現在位置から最も近い、カードに書かれた色のマスに移動する。また、カードには、移動先の色のほかに「チップを置く色」というものが指定されており、カードを出すたびに対応する色のマスにチップが置かれていく(全てのマスにチップが置かれている場合、ゴールに一番近いマスのチップが剥がされる)。このチップは何かと言うと要するに道で、チップが置かれていないマスには移動も通過もできない。両方の駒を最初に上がらせたプレイヤーの勝ち。]

(ゲームの最終盤。ゴールマスの色であり、従って上がりのためのキーである「赤」を誰も引かずに悶々とプレイを続けること四十分。そして)
吉田「お。上がった?上がった。上がりー
向井「やっとおわったー
沢田「何分かかった?
山根「九十分
向井「表示は?
沢田「三十分。
向井「えー。ダメだろうこれは
沢田「いやー、序盤は楽しかったよねえ
吉田「ほんとに遥か昔の思い出に思える
向井「何が問題だったんだろうか。結局赤って何枚あるの?
山根「五枚は無いと思う...って六枚あるのか。誰だ複数枚溜め込んでたのは。
沢田「はい。
吉田「はい。そりゃあ溜めるよ。自然に気づくでしょ。赤溜めないと勝てないって。
沢田「ルールに書いてあるんだもん。『赤溜めましょう』って。んー。どーすりゃ面白くなるんだろうね。
吉田「つまるところ勝とうとすると回らなくなるゲームなんだよね。赤が出回らなくなるから。勝とうとしてはいけない。
沢田「それはもはやゲームではありません。
山根「何かないかね。ゴール二色にしよう。いやむしろここ(と言ってコースの終盤に差し掛かったあたりを指差す)ゴールにしよう。
沢田「そこゴールにするとそのまますとーんとゴールに行っちゃわない?
吉田「多少止まって欲しいし多少上がって欲しい、くらいじゃないと。
沢田「じゃあ他の全員が象(というチェックポイントが数箇所用意されているのです)を越えたらラストランナーは象のとこまで来ていいとか。
吉田「あーなるほど。何者なんだ象という感じでもあるけど
沢田「あるいは、このゲームで一番面白いのは中盤のつり橋のあたりでしょう。もちょっとコースを長くして、つり橋2箇所くらい設けて、ゴールのほうは緩くするとか。
山根「チップ剥がしていくってルールもどうなんだろう。
吉田「確かに。気分悪いし。剥がしてステイ、剥がしてステイ。
沢田「ルールに序盤から中盤までは何の意味も無い。終盤にしか意味が無くて、終盤になると急に重くチップ剥がしがのしかかる
山根「オールマイティのカードを用意するとか
吉田「そしたらオールマイティ握りだすでしょう
山根「握るものが増えれば多少楽になるでしょ
(しばらくの沈黙の後)
沢田「いいよもう。考えるだけ無駄。捨てちゃえこんなくそげー
吉田「まあ、ダメでした、ということで。
向井「面白げな気配はあったのにねえ。
沢田「中盤までは楽しかったよ、とだけは言っておきます。
吉田「中盤で終わろうか。鰻の臭いだけで楽しむような感じで。
沢田「その鰻はたぶん食うと不味いです。
山根「しかし中盤まで楽しんでおいて最後にここまで評価が反転するゲームも無いよな

Flucht aus Mangrovia
by Roland Siegers
(Mattel, 1989)
沢田★
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by Taiju_SAWADA | 2005-08-08 01:01 | 感想・紹介

オルトレマーレ

[商品カードを山札から手札に移して手札から自分の船(まあ場札ですが)に積み込むと得点になる。但し、同じ種類の商品カードを一定枚数連続で積み込まないとまともな得点にはならない。ということで交渉で他プレイヤーと手札を遣り取りすることになる(手札枚数に制限がかかっているという事情も、交渉の頻度に拍車をかける)。あと、商品カードには一緒に、船に積み込むときに自動的に発生する「余計にもらえる得点」「貰える手札」「受けるペナルティ」「所有特殊能力の変更」というようなイベントが書いてあり、そしてこのイベントは各プレイヤーが現時点で持っている所有特殊能力により強化したり回避したりできるので、積み込みたい商品カードによって特殊能力をうまいこと切り替えていくのが肝要。]

強烈な制限がかかっている中で手札を処理しないといけなくてそのために交渉が必要になるゲーム、と言えばこれはもう明らかに「ボーナンザ」な訳ですが(そしてこれだけの説明でボーナンザと言い切ってしまえるというのがボーナンザの名作振りを示しているのですが)、ボーナンザでは交渉による契約の成立がそのまま双方にとって確実に利益になるというデザインがなされているために牧歌的な雰囲気を纏わせているのに対し、このゲームの交渉は遥かに重いものとなっています。いや、やっていることが難しいというわけではありません。単にカードを交換したり、勝利点を使って売ったり買ったりするだけです。何が問題かというと、カードという資源を持っているということが場合によってはマイナスに働く可能性があるというところで、要は手札制限を越えるとペナルティが来るということなんですけれども。手札制限を越えないにしても、カードを積み込む際に素で受けるペナルティというものもあり、つまるところ何も考えずにカードを集めているだけでは全然儲からないということで、従って迂闊に交渉に応じて変なカードを得るわけにはいかない。とりあえず交渉に応じておけばいい、ということにはならないのです。

この、互いの事情というものを肌で感じながら身を削るようにして行う交渉というもの、これがやってみるとかなり新鮮なものと感じます。つまりはやること自体は(利害調整というよりも嘆願という気分を基にした交渉という意味で)弄らないままボーナンザのプレー感覚を表裏完全に引っくり返したものになっていて、この一手番をどうやって乗り切っていきましょうか、そしてすぐに襲い来る次の一手番にどう備えましょうかという、ちょっと悲壮と言えなくもないくらいに覚悟めいた気分で臨むのが独特の楽しさを産んでいます。実際のところゲームを左右するのはむしろ特殊能力(ペナルティ無効とかボーナス勝利点とか)をどう手元の商品カードに合わせていくのかという部分のほうが大きいのではないかと思うのですが、そうは言ってもそれは交渉を一定の水準でこなした上の話であって、交渉から(ということはこの覚悟を要するほどの閉塞から)逃れられるということにはなりません。

きついことは間違いなくきついので、好き嫌いは明確に分かれるゲームだと思いますが、そういうことを面白がるゲームであるという前提に立てば、概ね問題のない品質に仕上がっています。ひとつ難点を挙げるとすればゲームの長さで、これは3人ゲームだったからということなのかもしれませんが少し長すぎる気がします。特にこのゲームは手番ごとの正否を積み上げて最終結果とするタイプの時間管理を行っており起承転結を持った構造ではないため、ゲーム時間を短くしようと思えばカード枚数を減らすだけで至極簡単に行えます。行えるものが敢えて行われていないということから、そこにデザイナーの意図を読み取るべきではあるのですが、しかし個人的にはゲームの長さを倍に取ることによってこのゲームに新たに生まれるものは何も無いと考えます。一本調子の閉塞感を2時間弱に渡って繰り返していると流石に不毛な疲労感を感じないでもありません。

OltreMare
by Emanuele Ornella (Mind the Move, 2004)
沢田★★★/山根★★★★/吉田★★★☆
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by Taiju_SAWADA | 2005-08-01 23:07 | 感想・紹介