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のいのわーる(未テスト創作)

Neu/Noir


ゲーム概要

O'No99とか101とかNeuとかああいうゲームの面白さが分からない人のための、つまりわたくし自身のための、ああいうゲームの面白さを完全にスポイルしたああいうゲーム。とりあえずNeuの拡張として。タイトルはsac noirのオマージュですが冷静になって考えてみると独仏ちゃんぽんですね。


4-7人用

内容物
・Neu一式(ノイカード58枚、白チップ21枚 http://www.mmjp.or.jp/icarus/neu/neu_rule1.html)
・黒チップ17枚くらい
・プレイヤー担当色表示マーカー 7色各1
・ベットチップ 7色各1


準備

・黒チップをテーブル中央にまとめて置く。
・プレイヤーはそれぞれ担当色1色を決め、その色のマーカーとベットチップを受け取って手元に置く。
 (マーカーとベットチップは少し離して置く)
・各プレイヤーに以下の枚数だけ白チップを配る。配られたら手元に置く。
 4人ゲーム時は各自5枚/5人なら各4枚/6-7人なら各3枚。
・余った白チップ・マーカー・ベットチップはゲームに使わないのでかたづける。
・カードをシャッフルし、各プレイヤーに以下の枚数だけ手札を伏せて配る。
 配られた手札は手に持って自分だけ確認、他人に見せない(喋るのはOK)。
 4人ゲーム時は各自14枚/5人なら各11枚/6人なら各9枚/7人なら各8枚。
・余ったカード(2枚か3枚)は中央に伏せておく。
・スタートプレイヤーを適当な手段で決める。
・「現在値:ゼロ」「進行方向:時計回り」「手番:スタートプレイヤー」でゲーム開始。



流れ

手番が回ってきたプレイヤーは、以下の3つのうち1つを選んで行う。
 1. 手札からカードを最低1枚出す
2. 自分のベットチップを出す
3. ラウンド敗北宣言を行う(ラウンド終了となる)
1か2を選んだ場合、これを実行した後、次のプレイヤーに手番を渡す。
「次のプレイヤー」とは、基本的には現在の進行方向に見て隣に位置するプレイヤーのこと。
ただし、手番プレイヤーが出したカードによっては、そうならない場合がある。



1. 手札からカードを最低1枚出す

複数枚出したければ何枚出しても構わない。その際は出す順番を明確にすること。
数字カードを出すと、その出した数字カードの値のぶんだけ、「現在値」が増える
(マイナスの数の場合は値が減るが、ゼロ未満にはならない)。
現在値が101を超えるような出し方はできない。
101カードを出した場合、現在値が101になる。
指示カードは、出しても現在値は変化しない。指示カードはそれぞれ後述する特殊な効果を持つ。
出したカードは自分の手元に置く。手元に、前回(またはそれ以前)の手番に出したカードが
既にあるのであれば、その上に重ねて置く。



指示カード

Shot:次の手番プレイヤーを任意に指名する。
Turn:進行方向が逆転する。
Double:次の手番プレイヤーは、最低限出さなければいけないカードの枚数が1枚増える。
Pass:Doubleが効いている場合、Doubleの対象が自分ではなく次のプレイヤーになる。

Shot, Passの効果は累積しない。複数枚出しても、1枚だけ出したときと同一の効果。
Turnは偶数枚出すと効果が相殺され、奇数枚出したときのみ効果が発揮される。
Doubleの効果のみ累積する。
複数枚のDoubleが効いている場合でも、Pass1枚だけで
その全てのDoubleの効果が次の手番のプレイヤーに引き渡される。
Doubleが効いていないときのPassは単に「数字の+0」扱い。



2. 自分のベットチップを出す

ベットチップを出す場合は、自分以外のプレイヤーを1人選ぶ。
選んだプレイヤーのマーカーの下に、自分のベットチップを敷く。
既に誰かのベットチップが敷かれている場合、そのようなプレイヤーを対象に選ぶことはできない。
自分以外の全員のマーカーの下にそれぞれベットチップが敷かれているという状態にある場合、
この行動は選択できない。
また、既に自分のベットチップが誰かのマーカーの下に敷かれている場合も、この行動は選べない。

ベットチップを出した場合、直前にDoubleが効いていたとしても、そのDoubleは無効になる。
ベットチップを出した場合、次は、ベットチップを敷く対象に選んだプレイヤーの手番となる。



3. ラウンド敗北宣言を出す

この行動を選んだら、直ちにラウンド終了となる。
この行動を選んだプレイヤーは、手持ちの白チップを1枚捨てる。

・このプレイヤーのマーカーの下にベットチップが敷かれている場合:
 そのベットチップの所有者は、ラウンドの「勝者」となる。
・このプレイヤーのマーカーの下にベットチップが敷かれていない場合:
 直前の手番を行ったプレイヤーが、ラウンドの「勝者」となる。

ラウンドの勝者は、テーブル中央から黒チップを1枚獲得する。

後述するゲーム終了条件を満たしているか確認する。以下の手順は、
ゲームが続行する場合にのみ行う。

全員、自分のベットチップを回収して手元に置く。

敗北宣言を出したプレイヤーは、自分を含む全員の中から任意の1人を選び、
そのプレイヤーの手元に出され積まれているカードを全て取って手札に加える。
第1ラウンド終了時に限り、中央に伏せて置かれた2-3枚のカードも合わせて取って手札に加える。
なお、手札の補充はこのように敗北宣言を自分で出すことによってしか行えない。
残りのプレイヤーは手札の補充はない。手元に出したカードもそのままにしておく。

新しいラウンドを、この敗北宣言を出したプレイヤーから始める。
現在値はゼロに戻る。進行方向は前のラウンドから変わらない。



終了条件

ラウンド終了時、以下のいずれかが満たされていたら、ゲーム終了となる。

・誰かが規定枚数だけ黒チップを集めた場合。そのプレイヤーの勝利。規定枚数は以下の通り。
 4人ゲーム時は5枚/5人ゲーム時は4枚/6-7人ゲーム時は3枚
・誰かが白チップを全て失った場合。白チップを全て失ったプレイヤーは失格。
 それ以外のプレイヤーの中で、集めた黒チップが最も多いプレイヤーの勝利。
 同点首位が複数いる場合、
 ・その中の誰かが「最後のラウンドの勝者」なのであれば、そのプレイヤーの勝利。
 ・そうでなければ、手元に残した白チップの枚数が多いほうを優位とする。
 ・それでも同点首位が複数いるという場合、その同点首位のプレイヤーだけで、
  延長戦として1ラウンドだけ追加で行う。この延長ラウンドの勝者がゲームの勝者となる。
  延長戦を誰から開始するかは、失格となったプレイヤーが選ぶ。



To Do

・チップ枚数はもう一枚くらい多いほうがいいかもしれない
・三人だとどんなかんじだろうか
・たぶんこのルールだとスキップがあったほうがいい。
 -10と-1は全部スキップ効果を持つとしたほうがいいかも。n枚重ねて出せばn人飛ばし。

・(追記)1人だけベット載せられなくてはぶられることがあって、それは別にいいことにしたんですが、
 やっぱり問題なような気もします。
 解消法としては、ベット使ってないのが残り2人になったときに置く先に制限をかけるとか。
 ただルールがだいぶ汚くなるのが。
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by Taiju_SAWADA | 2011-08-16 00:57 | 創作関連

「いつか王子様が」デザイナーズノート

長いので先にまとめ。本文にはこれ以上の情報はあんまりありません。
・ゲームリンク10号付録ゲーム、根底にあるのは下記の文の実装です→「非ゼロサム http://toccobushi.exblog.jp/945024/ 」
・あと「クレムリン」の性根の腐った感じと、プレーしたことないけど「タリスマン」への妄想でできてます
・二時間クラスなのに運ゲーなのは、趣味の問題と制作技術の問題と両方あります。そういうもんだと思ってください
・ルールの子細には「マチュピチュの王子」とワーカープレースメントを混ぜ入れてますが、結果妙な80年代テイストが現出

* * *

ゲーム作るたびにデザイナーズノート書いていけばブログのねたになって素敵かと思いきやここの放置ぶりはそういうことを考える必要もない程に進行していたのです

* * *

ゲームリンク誌の10号には「いつか王子様が」というゲームがおまけで付いてて、これはわたくしがルール書いたゲームなんですけど、当初はデザイナーズノートも一緒に同誌に載せる予定だったのがルールが妙に長くなってしまって当然のようにデザイナーズノートのスペースなどは真っ先にカットしたりした都合上、あとゲーム同人界隈でブログにデザイナーズノート書くのが流行ってるような気がするので、こっちで何か書くことにしました。紙面の制約がないので無駄に長くなります。

ボードゲーム制作同人としてのわたくしは過去に何作かゲームを作っていて、その多くには共通する特徴があります。ざっくり言うと「なんか変なルール」「テーマ設定や枝葉のルールがほとんど無い」の二点で、これはどっちも意図的な選択によってそうなっています。前者については、正統的なルール構成を持った面白いゲームであれば普通にショップでいくらでも買えるので、わざわざ同人が作らんでもよかろう、というのが理由。後者については、商業的アピールとか別にしなくていいんだし興味ある部分だけ作り込めばいいや、どうせ作り込まないんだからぞんざいな形で存在するよか存在自体を削ったほうがいいよね、という、まあ開き直りですね。
(あと「自分と直接関係しない誰かと誰かのどさくさでいつの間にかゲームが決まっている」ことも、複数のゲームに共通する特徴と言えるかも知れません。これは単純に、そういう理不尽とか、そこを制御しにかかる電波大戦とか、そういうものが好きだというだけの話です)

で、今回なんですが、いつものアレとはうってかわって、いいのかこれってくらいに長いルール(じっさい編集サイドからNGが出たので頑張って削ってはいるのですが)。それも多くはテーマ的な正統性のために導入されているルールであって、戦術や戦略のどうこうには別に寄与していません。そもそもこのゲーム、長いルールで二時間クラスの割に、肝心なところは運で決まります。いわゆるチット引いてせーのドン。たとえば引き運でなく心理戦的な処理にしてスキル感を演出したりすることも、やろうと思えば別にそれほどは難しくないんですけど(ルール読んで「なんでそうしないの?」と思う方もいらっしゃるかと思います)、今回はそーゆーの無し、本当に運です。

何でそうしたのかというと、ひとつには、それくらいにしておかないとプレイヤーにも作者にも負荷が高すぎるから、というのが回答になります。雑誌付録ゲームは実験的なものであるべきという、冷静に考えると全く根拠のない信念のもと、今回のゲームは基本のところが実験的なものになっています。なのでそれ以外のところはなるべくイージーにしておきたかった、という意味です。このサイトで随分前に書いたことがあるのですが、「ひとつのゲームシステムの中で複数の卓が立ち、互いの卓の間で相互作用が発生する」というのが、「いつか王子様が」の根元にあるコンセプトです。その随分前に書いたエントリというのはこれ→「非ゼロサム http://toccobushi.exblog.jp/945024/ 」で、2004年8月に書いたものなので、7年越しの実装ということになります。なんでこういうのを作りたかったのかという点についてはエントリに概ね書いてある通りですが、2004〜2006年くらいにかけてはこういうことばかり考えていて、似たようなエントリがいくつもあります。背後にあった問題意識は明確で、ボードゲームにおいて可能な表現の範囲を拡張するということを考えたときに、現行のいわゆるボードゲーム的ルールの内部は相当に掘り進められていて「ドミニオン」や「ケイラス」級の天才的アイデアを提出できないとどうもならんのに対し、「協力ゲーム」とか「非協力ゲーム」とかそういう、ゲームの一番外側の骨格の部分には手付かずのフロンティアがあるんではないかと(2005年の「キャメロットを覆う影」や2008年の「スペース・アラート」は、そういう意味で重要なゲームだと思います)。

で作り始めるわけですが、すぐにどうしていいか解らなくなり、これは補助線が要るなー、ということになりました。作っててそうなるんだから遊ぶほうもたぶん補助線が要るでしょうきっと。そうに違いない。というので、大きいテーマを別のところから持ってくることにしました。この場合、テーマはシステムの補助線として使うものなので、前述のコンセプトを説明できるものでなければならない。と同時に、そのコンセプトというのが今回の場合はプレーに支障をきたすレベルで変なので、その部分に一定の補正をかける、つまりプレーにある種の指針を与えるものでなければいけません。さらに、この引いた補助線は制作者にとっても補助線なのであって、いったんテーマが設定されたらそのテーマに沿ってシステムの残りを組み立てていくわけですから、システムの組み方が解らなくなるようなテーマであっては意味がありません。そういうことで補助線に対する要求自体が重いので、補助線も引けないまま放ったらかしになっていたです。話の再開は2009年の夏。ゲームリンク誌から雑誌付録ゲームの話を頂いて(当時のゲームリンクでは雑誌付録ゲームについては公募もしていたくらいで、同人界隈を含め広いところから色々拾っていこうというスタンスだったものと思われます。なんでゲームリンクに同人ゲームが載ってるの、という疑問については、以上がお答えとなります。ちなみにこのスタンスが変わるのは4号のKnizia特集のあたりからで、この方針転換にはわたくしも少しだけ関わっているのですが、それは別の話として)、先方のリクエストが「フルサイズのゲーム」だったので、であればもう一度アレを考えてみようか、となったのがきっかけです。

さて雑誌付録となるといつもの同人スタンスからは若干軌道を修正する必要があり、前述した実験の部分は自動的にクリアしてるとしても(そしてよくよく考えるとクリアする必要のまったくない条件だったことも前述のとおり)、テーマにおいてある種のキャッチーな感じが欲しくなります。余計に条件が増えてるわけですけど、この「キャッチー」というお題がむしろアイデアの展開には助けになっていて、「複数の陣営が存在する + キャッチー → 男女 → ロマンチックラブなんとか」。結婚を基本テーマとして前述のコンセプトを説明できるような設定を考えると、まあ陣営としては「男」「女」の2つ、で「付き合ってる彼氏/彼女を他の女/男に自慢する」という話になるかなあ、と。コンセプトの説明としては充分でしょう。むしろ「ひとつのシステムの中に複数のゲーム」という構成になってることに気付かれない可能性があり、それはそれで問題なのですが(このゲームの場合、コンセプトを意識して遊んでもらわないと遊びどころが分からなくなりそうなんで)、他にキャッチーなテーマとか思いつきそうにもないし、これでいいかと思いまして。

さて、このテーマはシステム作成上の補助線でもあったわけですが、このテーマであんまりスキル重視のものにする気も起きないわけで、元々このコンセプトの上でスキルを要求するゲームをどう作ったものか考えあぐねていたこともあり(何しろそういうゲームを作ったことも遊んだこともないわけですから)、そっちには行かない、という判断を行います。単にわたくしが元々マルチゲームに競技性を根っこの部分で求めていないプレイヤーだというだけのことでもありますけれども。ともあれ、ではどのへんの所にゲームを落とし込んでいこうか、ファミリー寄りのファミリーストラテジーにするにはテーマにえぐみが強いし、ライトゲームにするにはそもそものコンセプトが重すぎるし、とぼんやり考えていると、別のゲームのことが頭に浮かびました。「クレムリン」と、あとは何といっていいか微妙ですが、まあ「タリスマン」です。

「クレムリン」はソ連の偉い人を操って政敵を延々とパージするという内容で、普通のゲームとして充分楽しめつつ、プレイヤーに性根の腐ったことをさせて性根の腐り具合をみんなで笑うという性根の腐ったコンセプトを持った、ゲーム史上で独特なポジションに位置づけられる傑作です。どういうポジションかといえば文字通り性根の腐ったゲームの系譜ということなんですけども。現在のゲームシーンは基本的にラベンスバーガー・ワールドの延長線上に位置していて、あんまりこういう性根の腐ったゲームの居場所がない感じなので(「クレムリン」はスイスのゲームなので本来はドイツの色を強く受け継いでいてしかるべきなんですが、たぶん作者のホステトラーが基本的にそういうの好きな人なんだと思います。比較的最近の作品である「百万回のダイブ」も、題材がサッカーワールドカップというところまではいいとして、主にやることが審判を欺くシミュレーション=ダイビング、というあたり)、ではそういうシーンから遠く離れた関係のないところで勝手に作ってしまおうと。テーマとの相性もよさそうですし。えっと、所詮リア充などというものはみんな性根が腐った連中なのですよ、みたいな。しらねえけど。

一方で「タリスマン」というのは、わたくしこのゲームやったことないのでどんなゲームか知らないのです。なんかうすぼんやりと聞く限りでは、勇者がクエストをこなして成長してラスボスを最初に倒した人が勝ち、なんですかね? クレムリンについてはテーマとの整合性からある程度出るべくして出てきたタイトルだと思うのですが、タリスマンについては本当に単に思い浮かんだだけなので(それも明確にタイトルとして思い浮かんだわけじゃなく、「勇者がクエストをこなしてラスボス」という大枠だけ思い浮かんだのであって、その思いつきに「タリスマン」という言葉が与えられたのはゲームの制作が後半に入ってからです)、どうにも合理的な説明ができず、単に同じ時期に「勇者30」を遊んでたから、というだけのような気もするんですけど、ともかく、そういう勇者ゲーがなんか結婚とか性根の腐った感じとかと相性よさそうに思えたんですよね何故か。勇者が自らを鍛えてクエストをこなして名声を集めたらラスボスを倒さずに異性のところにいってプロポーズしようとすると先客がいて乱闘。うん。完璧じゃないか。文章に起こしてみると何が完璧なのか全くわかんないにせよ、その時は完璧だと思ったのです。

ここまで出来るとあとはストーリーに沿ってルールを作っていくだけで、恋愛したり裏切ったりの部分はとうぜん慎重に(というのはつまり、恋愛したり裏切ったり決闘したりすることが男陣営と女陣営の交わりのメインになるので、ここで熱が出るようにしないとテーマ上もコンセプト上も何にもならないからです)作るとして、「タリスマン」的パートについてはどっちにしろそこで遊ぶゲームじゃないので別のところから拾ってくればいいかと思い、拾ってくることにしたのですが、そもそも「タリスマン」のことを全然知らないので、じゃあというので多少の試行錯誤の後、個人的に大好きな「マチュピチュの王子」に、個人的にはあんま好きじゃないワーカープレースメント的な早乗りエッセンスを加えてみたところ、なんかマチュピチュの王子の匂いもワーカープレースメントの匂いもしない、そのかわり何だか80年代の匂いが濃厚にする、妙なブレンド結果になってしまったことです。なんでそんなことになったかというと、元々ワーカープレースメントというのはゲームの機能を抽象化して具象から切り離す、というところから始まります。一方でマチュピチュの王子は通称「俺ロンデル」、つまり抽象的な機能から抽象的な機能へと自分の駒を動かしていくゲームです。こうして見る限りではこのふたつは何の問題もなくくっつきそうに見えるんですが、一方でワーカープレースメントには基本のところで「早乗りである」ということ、またマチュピチュの王子には「主役である駒=王子が、各地を渡り歩いていく」というテーマ的前提があるわけです。これらを妄想タリスマンとブレンドすると、出てくる結果は「王子たちが各町に用意されたクエストを早い者勝ちで取り合う」という何だか実にクラシカルなものに。結局のところ、ひとつのクラシカルな具象的ルールを別々の方法で抽象化した2システムがあり、それをもう一度くっつけるための糊として具象化を使っている(より正確に言えばロンデル→マチュピチュの段階で既に1段具象化されてるわけですけども)ので、最終的にできたものは元のクラシカルなルール、に何か変なツイストのかかったキメラ、ということなんじゃないかと思われます。よくわかんない。どっちにしろシステムとして機能してればそれ以上の要求はここにはにないので、これでOKということにしました。機能してればというのはつまり、普通に早乗りのシステムとして成立していること、それにより各プレイヤーがそれぞれ異なる形にビルドアップしていくことが保証されること、あとはビルドアップのルートの違いが、各プレイヤー間の位置取りや初期配置等の割とささやかな条件を噛ませることである程度の有利不利に変換されること、まあそんな感じのことです。一言で言えばそれっぽければ別によいということですね。

あとはバランスとったりバランス壊したり、前述の通り膨らんだルールをなんとかして4ページに収めるべくがりがり削ったり、という作業により、現在のゲームができあがりました。できあがっていると思います。出来栄えについては遊ばれた個々の方が個々に感想をお持ちになるものと思いますのでわたくしの方からは何も言うべきことはないのですが、ただそういう出来不出来の面とは別に、「一つのシステム、複数のゲーム」の着想を7年越しでともかく実装にはこぎ着けたということ、あと性根の部分についてはかなり腐った感じに仕上げることができた(ご家庭で遊ぶのは少々ためらわれるんじゃないか、という程度には)という点で、個人的には満足しています。個人的なことついでで言えば、あと嬉しいのはプレイヤーが動かす駒である王子王女のキャライラストが付いてるってことで、ジュブナイルの主人公面したこの6名の美麗な少年少女の性根が全員揃いも揃って腐りきっている、ってのは中々素敵でちょっとときめいております。

* * *

ここからは枝葉末節の話。


・結局なんでチット引いてドンなのか。本当に単にイージーにしたかっただけ?

まず前提として、他者との関係性に関するゲームにしたかったというのがあります。一方で今回のゲームの場合、あまり多人数で遊ぶことを想定はできず、せいぜい4-6人程度だろうというのがあり、その中で他者との関係性のダイナミズムを表現する場合、とにかく展開が常に激しく動かないといけない。そして展開を無理矢理ぶん回すには乱数というのは最もイージーな解決法ではあるわけです。


・乱数のデメリットについて一度でも真面目に考えたことがあるのか?

前述の通り競技ゲームにはしないということにしたわけですが、とはいえゲーム序盤の乱数でゲーム結果が確定してしまうという乱数ファミリーストラテジーにものすごくありがちな結末は当然避けなければいけません。そこは強く意識しているのですが、ただ実際それほど周到に手を打つ必要はあまりなくて、そもそもゲームの基本構造の都合により、最後は自分ではなくパートナーの都合で勝敗が決まるので、どんだけ道中ひどいことになってもそれなりに何とかなる道が残されるようになっています。それって結局どんな展開になっても最後は乱数で決まるってことだよね、という点に関しては、「そこで遊ぶゲームではない」ということのプレゼンテーションは充分に行えているものと思います。それこそ乱数をこれ見よがしに提示しているのでして。


・乱数ってもいろいろあるはずだが何故チットなのか? あとあの10って何?

ほんとうはチットではなくダイスを使いたかったのですが、依頼を受けたときのレギュレーション(雑誌付録のパーツだけでゲームが完結すること。チーパス的手法の禁止)のためダイスが使えなかったのです。ダイスには大きく2点の特徴があり、ひとつは(もちろん!)宗教的な高揚が得られること、そしてもうひとつは、しばしば極めて無慈悲かつ無責任な結果を招くことです。今回のゲームではこの両方とも必要な効果なので、ダイスを使えなくてもなるべく類似の効果が得られるよう「同時チット引き」を使うことにしました。つまり、「10」はダイス無しでも無責任な結果が得られることを担保するためのものです。なお、チット引きで宗教的な高揚を得る場合、本来は袋から二者が同時にチットを引く必要があり、さらにはチットの両面に内容が書かれている必要があります(チットを引くという行為とチット引きの結果が判明するまでのレスポンスタイムの短さが最重要課題なのです、という話はなんだかボードゲームというよりコンピュータ絡みのUI話みたいですが)。コストその他の都合により袋無し/チット片面印刷になってるので、袋は各自でご用意頂き、乱数チットの裏面にはマジックか何かで表面と同じ数字を書いておいていただくようお願いいたします。


・競技ゲームにしないなら、手番割り込みシステムってルール長くするだけで要らなくない?

言い訳的な理由としては、展開の多様性の保証と、混乱の現出のためというのがあります。個人的な思い入れから言えば、"Keytown"(Richard Breese作)へのオマージュです。ですが、まあ、実際的な理由としては、専らダウンタイムの低減のためのものとお考えください。競技ゲームではダウンタイムの長さはあまりうるさく言われるべきではないと思いますが、このゲームは競技ゲームではないので(テーマ的に「ファミリー」ストラテジーとも言い難いですけど)、ダウンタイムの低減は死活的な問題です。(戦闘がひっきりなしに起きるのも、ゲームコンセプト上の必然性に加えて、ダウンタイム低減効果を意識したものでもあります)


・一部の魔法とか初期配置とかバランス変じゃない?

これは意図的に崩してます、というか、乱数の強いマルチプレイの非競技ゲームでは基本的にバランスはある程度崩れていたほうが面白くなります。ゲームシステム的なところから言うならば、マルチプレイ構造が本質的に持つバランス効果をゲーム序盤から効かせられるためです。もっともこのゲームは素直なマルチプレイ構造ではないので、典型的なアメリカゲーほど激しい崩し方はできません。それでもこれくらいの崩しはスパイスとしてあったほうがよいかと。あと当然フレーバー上の理由もあります。


・何故いろいろ平仮名?

たいした理由ではないんですが、プロトタイプ版のテーマが「8bit RPGのパロディ」だったためです。最終版については、プロトタイプ版を編集部に渡した上で制作を完全にお任せしておりまして、実際「これ平仮名でないほうが」という意見もいただいたりして、こちらも「グラフィック描き直すならそうかもしれない」と回答もしたのですが、結局平仮名のままという判断になったみたいです。たぶんスケジュール的な問題から、そこのテーマの再構成に時間をかけるのも勿体ないという意思決定がなされたものと思われます。そういえば最終版のグラフィックは16bitくらいになってますね。それも部分的にPC9801入ってるような気が。
(プロトタイプ版はこんなんでした)
a0026478_94132.png





・初期配置はいいとして、マップ自体の構成には何か意図あるの?

ないです。敢えて言うなら最初のプロトタイプ版ではElfenlandのボードをそのまま使ってたので、Elfenlandっぽい感じのマップ構成になってます。


・なんで6人までなの?

雑誌付録レギュレーションの都合です。チットが増やせなかったのあれ以上。


・なんで王子王女のスタート都市は固定なの?

雑誌付録レギュレーションの都合です。選択制にするとチットが増えちゃうの。


・ステータスボードって個人ボードのほうがわかりやすくない?

雑誌付録レギュレーションの都合です。個人ボードとか無理だから。


・ルールの不明瞭点とかバリエーションとか

どんな場合でも、「4.残手番の減少」が終わったら、手番はその左隣のプレイヤーに移ります。手番スキップが入ったからといって、スキップを入れたプレイヤーの手番が終わったら飛ばされた人のところに手番が戻る、というわけではありません。スキップを入れたプレイヤーの左隣の人に移ります。
バリエーションルールはあまりないのですが、最後の最後で他人の都合だけで自分の順位が決まるのが許し難いという場合は、残手番数全消費時の「ひょうばんチェック」を、独身のキャラのみ行うものとしてください。このルールを使う場合、結婚していたらホームタウンからどれだけ離れていてもひょうばんは下がりません(元々このルールが本線だったんですが、他人の都合で自分の順位が決まることの強調のためと、ルールの長さの都合上、途中で削ったです)。あとはスタート時のひょうばんを8-13じゃなくて9-14にするくらいでしょうか。
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by Taiju_SAWADA | 2011-08-13 08:49 | 創作関連