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Characteristics Of Games 2章のレジュメのようなもの

読書会で Elias, Garfield, Gutschera "Characteristics Of Games" (The MIT Press, 2012) を読んでて、2章のプレゼン担当になったので、レジュメの代わりに。
時間なかったので文体とか全く整理してませんが、読書会はオフィシャルなものでもないので特段気にしない方向で。
最後に短めの感想文をつけてます。眠い頭で無理やり書いたのでたぶん一層読みづらいものになっていると思われます。言ってること自体は普段とあんまり変わりません。

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#2「マルチプレイヤー」
おおむね、負け抜けの問題と、マルチゲームのポリティクスの問題と、チームゲームで発生する問題とについて語られています。



定義「マルチサイド・ゲーム (multisided games)」
3陣営以上に分かれて実施するゲーム。
2陣営マルチプレイヤー(多くのスポーツとか)とか1陣営マルチプレイヤー(パーティプレイのゲーム。WoWとかモンハンとか)というのもあって、これはこれでチームワークの問題とかあります。

1陣営が死んでもゲームが続く!
2つの陣営で結託して1陣営をぼこる!(ポリティクス!)
どの陣営が勝つか最後に決めるのは負け犬陣営だ!(キングメーカー!)

というわけでマルチプレイヤーゲームでは(以下めんどいので区別する必要がない限りは「マルチプレイヤーゲーム」でいきます)いろんなインタラクションがいろんな違いを産み出すのです。

定義「レース(競走:races)」「ブロウル(喧嘩:brawls)」【Rules Of Playに同様の定義有り】
レースはマルチサイドで行う1人ゲーム。ブロウルは2人ゲームをコアに置いて(1人でやる喧嘩とか無いよね?)n人目をそこに放り込んだようなゲーム。
ふつう、ゲームはこの2極の間を(時にはエージェンシャルな理由で)揺れ動くものです。マリオカートにも甲羅あるし。
ちなみにブロウル式マルチはクラシカルなゲームやスポーツではあまり見かけません。
(つってもこういう分け方で考えてもなあ、というゲームもポーカーとか色々あります)


#2-1. プレイヤーの排除

排除というのはつまり、一般に言う「負け抜け」というあれ(時には勝ち抜けとかもありますが)。
排除には、
・ほんとうにゲームの場から外される「狭義の排除(厳密な意味での排除:strictly)」と、
・プレーは続けるけど勝ち目がゼロになる「広義の排除(論理的な意味での排除:logically)」
があります。あとは
・「主観的な意味での(perceived, または事実上の effective)排除」というのも。勝ち目が極端に薄い場合、これをゼロとみなすかどうかという。
このへんの取扱はゲームの楽しさにおいて大変重要です。

■1陣営ゲーム
基本的には後述の2陣営ゲームと同様。
ちなみにコンピュータ相手でのゲームの場合、コンピュータは「広義の排除」に関して鈍感だとか、途中で止めても誰も怒らないのであんま気にしなくていいとか。

■2陣営ゲーム
2陣営だと「狭義の排除」は単なるゲームエンドなので基本的には問題にはならない(例外として、2陣営マルチで1チームのうち1人だけ排除される場合とか)。
広義の排除はちょっと問題あるんだけど、まあ投了すればいいわけです。でも仮にプレイヤーが投了しないとしたら、その理由として考えられるのは
・負けてることに気づいてない。このケースだと勝ってる方(大概は技量が上なほう)は苛つくけど、負けてる方自身は別に問題なし。
・投了しないで最後までやることが正義、みたいな。お互いそう思ってるなら別にフラストレーションはたまらないけど、片方しかそう認識してないと色々とアレ。
 (※面白いのは、伝統ゲームだと投了タイミングについてプロトコルみたいのがあって、それ無視するとざわついたり)
・勝ってる相手を苛つかせたい。特にオンゲだとこれ問題になります。「農場隠し(hide the farm)」っつって、RTSで誰にも見つからない所に生産地作って「まだ負けてない」。
 こういうの何とかするには、「広義」を速やかに「狭義」に移行させる仕組みをルールに盛り込んでおくとよいです。

■マルチ陣営
さて本題。狭義の意味で排除されるのはつまんないし、広義の意味で排除される(特にレースだとそこに気づきやすいですね)のはもっとつまんないことも多いんで。
どっちがマシかはゲームの種類にもよって、参加してることが重要なパーティゲームで狭義の排除は大変まずいことになります。
何にせよ、どの意味にしろ排除しないほうが良いんで、ゲームの最後まで一発逆転のチャンスを残しとくデザインというのはよくあります。
ただこれも問題になる場合があり、というのは結局道中関係なしに最後だけやればよくね? とか、一発逆転のムーブが何故か最初に発動しちゃって大変とか。
あとは、勝ち抜け式(勝つと気分がいいので排除の問題が和らぎます)や、1人負け確定でゲーム終了などという方法もあります。

この問題を潰す一つの方法として、ゲームごとにポイント集計するとか、もっと直接的には金賭けるとかあります。
単発ゲームでもスコアとか順位とかを活用して擬似的にそういう効果を狙う場合もありますね。
社会的慣行として「そういうの狙いなさい」みたいな場合もあって、これはそうしないと負けプレイヤーが影響力を求めてキングメーカー方向に走りだすという問題が(後述)。

■オンゲ
オンゲだと対面のマナーとか知ったこっちゃなくなるというデメリットがある一方、狭義の排除を気楽に使えるというメリットもあります
(同じ面子で複数回やる必要がある場合は辛いことになるけど。この場合はオンゲっても対面と変わんないですね)。

Exercise 2.1-2.4


#2-2. インタラクティビティという特性

定義「インタラクティビティ(相互作用性)」プレイヤーが自陣営以外の状況に影響を及ぼせること。(※コンピュータゲームでの一般的な定義とは違うので注意)
レースでも(特に長丁場のは)相手の状況を見て自分の戦略を変えるとかあるんで、インタラクティビティが無いわけじゃないです。

インタラクティビティは1人ゲームでは存在しないし2人ゲームでは良いものなので、問題になりうるのは専らマルチにおいてです。

インタラクティビティについては量だけじゃなくて種類についても気にしましょう。まず、「狙い撃ち式」のインタラクティビティ、というのがあります。
(必ずしも攻撃的なものだけを意味してるわけじゃなくて、誰か1人にトスを上げるようなものもここに入れます)

Exercise 2.5-2.7


#2-3, ポリティクス

定義「ポリティクス」他のプレイヤー(達)を恣意的に対象にして、その対象者のゲーム状況を差別的に変えてしまえる(プラス方向かマイナス方向か問わず)、ということ。

■チップテイキング
全員10チップ持ってスタート。手番は時計回り。手番には誰か一人を指名し、その人のチップを1枚捨てる。チップが無くなったら負け抜け。最後の1人に残ったら勝ち。
(ポリティクスのうち、狙い撃ちで他者を攻撃できる面を強調した表現)

このゲームを長いこと楽しむのはまあ厳しいでしょう。ここにはスキルっつうもんがありません。
敢えて言うなら自分のチップを取らせないよう説得するスキルとかでしょうが、そのスキルに気づかれたらまあ最初に丸裸にされますわね。

で問題は、多くのマルチゲームが最終的にこのチップテイキングに帰着してしまうという。狙い撃ち式の強いインタラクティビティがあるゲームはみんなここに帰着する危険があります。
例えば、手番には誰か一人を指名してチェスをやる、手番プレイヤーがチェスに勝ったら相手は2枚没収、負けたら相手は1枚没収と。まあカスパロフでもこれ勝てないよと。

カタンとかだとポリティクスを「誰かを選んで得させる」方向で働かせたりとかしてます。ルールやら社会的慣行やらでポリティクスを和らげるとかありますね。

■投票ゲーム
誰が勝つか決める。具体的には毎ラウンド、誰か1人を投票で排除する。で最後に残った2人の勝ち。
(ポリティクスのうち、勝者がプレイヤーのスキルと関係ないところで決まる点を強調した表現)

クラシカルなゲームやスポーツではポリティクスは滅多に見られません。現代のゲームの特性と言えます。

Exercise 2.8


■ポリティカルなゲームにおける戦略
・目立たないように潜伏
・他の人々同士を戦わせて仕上げのところだけかっさらう
・おだてたり泣き落としたりしてこっちを攻撃しないようにしてもらう
・ゲームの外のことを持ち出す「コーラ奢るから」「月のない夜は以下略」
・直前に攻撃してきた奴を攻撃する
・…と脅してこっちに攻撃がこないようにする
・相手も自分も共に沈むような行動を故意に取ることで「こいつの脅しは本物だ」と思わせる
・攻撃対象を順番に変えたりランダムに選ぶことでフェア感を演出
・攻撃対象に対して攻撃理由とこれが最適解であることを合理的に説明する
・相手がこっちを攻撃しようとしてきた時に、それが相手にとって最適解ではないことをプレゼンする
・自分以外の誰かが「お仕事」(首位のプレイヤーを止めるための自己犠牲的行動)をやるべきと主張
 (Fall on the Grenade。「俺が爆弾を抱いて死ぬ」みたいな?)
・首位を攻撃する機会を意図的にサボって、首位の直前のプレイヤーにお仕事を強制する

■ポリティクスの何が問題か
ポリティクスの問題は、別につまらないってことじゃなくて(ポリティクスがそもそも嫌いなプレイヤーはいるでしょうが)。
ゲームの他の部分を圧倒してしまって、どれ見ても「これポリティクスのゲームよね」と。ゲーム固有のスキルを磨いても集団でぼこられるだけじゃないすかと。
グループによっては、ポリティカルなゲームにおけるヒューリスティックス・ツリーの登り方は面白いものになりえるのは確かです。ポジション把握が困難を極めるので。
その部分でポリティカルな問題が軽減されるとも言えます。逆に言えば、ポジション把握を済ませてしまえば、あとは単なる投票ゲームになっちゃうわけですけど。
あとは前述の戦略のところで分かる通り、不毛な議論が起きがちでもあります(マルチ特有の利他行為による問題ですね)。
※「議論=ポリティクス」じゃないところに注意。RTSとかチップテイキングとか、議論なしでも普通にポリティクスは成り立ちます。逆に人狼は2陣営物なんでポリティクス無いです。

■ポリティクスの利点
スキルの低いプレイヤーがなんとかできる余地があるというのは無論利点でもあります。そうじゃないと対戦相手集めるの大変だし。
ゲーム終了まで誰が勝つか分からないとか(最後だけやりゃいいじゃん的な問題もありますけど)。
このてのインタラクションそのものが好き、というプレイヤーもいっぱいいます。
あとはポリティクスを中心にフィーチャーしておけばゲームを成り立たせるためのややこいルールを排除できてオーディエンスにも分かりやすいとか(Diplomacyみたいに)。
現代ゲームのデザインではこのオーディエンスのことを意識する必要があるというのが重要で。
スキルで勝負させたいなら究極的には2人ゲームにするのが最も良く、そうでなくてもインタラクションは抑えて個人攻撃要素を無くすとか。
カジュアルなプレイヤーを相手にするならポリティクスを突っ込んだほうがプレイヤー層が広がってよいです。

■狙い撃ち式インタラクションがある場合の戦略解析の難しさ -- 風船ゲームの実例
まあこれは必ずしもポリティクスに関する問題そのものということでもないんですが。
3人ゲームで全員風船を背につけてます。3人同時にダーツで誰かの風船を狙って投げます。最後まで割れずに残った1人の勝ち。
Aは60%, Bは50%, Cは40%の確率で風船に当てられるとしましょう。B, Cは共にAを狙えばいい、かとおもいきや実はBはC狙いに変えたほうが勝率が上がります。
で、こういうのにAが明示的なりなんとなくなり気づいていると、フラストレーションが溜まって、こういう構造のゲームを避けるようになります。

Exercise 2.10-12


#2-4. キングメーカー問題

キングメーカー問題の要は、これが狙い撃ち式インタラクションそのものであり、広義の排除によって発生するものだってことで、ポリティクスの明白な問題点なわけです。
キングメーカー以外のチップテイキング問題については、他プレイヤーを攻撃する理由を提供するメカニズムがあれば概ね抑えられるんですけど、キングメーカーはそういうわけにいかんのです。
他のプレイヤーを攻撃する理由ってのはゲーム内で勝ち目を作るための理屈なので、広義の排除がされた後だと、金銭みたいなゲーム外の理屈を作らない限り、理屈に従う理由がないのですね。
和らげるテクニックとしては、キングメークの選択をした時点では誰を選んだか分からないようにしておくとか、コンピュータゲームならリアルタイム性を導入するとか。

ポリティクスが強すぎると単なるチップテイキングのヴァリアントになってしまうので、マルチゲームは大概なんらかポリティクスを抑制する仕組を入れるもんです。
もちろん一番分かりやすいのは2陣営ゲームにすることですが、マルチ陣営だとすれば、インタラクティビティの制限という方向に行きます。つまり、
他のプレイヤーの運命にどれだけ手出しできるか。誰を狙い撃ちして攻撃するかについて何かしらの制限がついているか。
制限が無いとすれば、攻撃対象を選択するにあたって明白に勝利と結びついた指標が与えられているか。
究極的な例はレースで、ほぼ何のインタラクティビティも無いです。つっても完全なレースってあまり無くて、レースを基礎にしてインタラクティビティをのっけるデザインのがよくあります。
(典型的にはユーロゲームの得点制とか)
ブロウルでも、インタラクションの対象の選択に制限をかけるという方法があります。よくあるのが地政学的な「近くにいる奴しか殴れません」。
これは意識的な選択と言うよりもテーマ的な(フレーバー的な)要請であることが多いんですが、フレーバーがメカニクスに及ぼす影響に意識的になるというのは良いことです。

あとは、そこに制限を掛けないとして、特定の誰かを殴ることについてゲーム的なメリットを明示するというのもあります。土をガメてる奴に盗賊を、という。フェア感はありますよね。
誰かを殴るのをみんながためらうような状況というのはゲームを硬直させて大変良くないんで、攻撃にインセンティブを出すようなシステムもありです。攻撃にごぼうびを出すとか。
それでもこの方法ではキングメーカーは抑えられないので(何やっても勝てないならもう関係ないのです)、広義の排除を受けたプレイヤーはゲームに影響を及ぼせないようにしたり、
広義の排除から狭義の排除に速やかに移行させたり、すくなくとも対象の選択にリミットをかけるくらいはしないといけません。

インタラクションそのものに制限かけてるわけじゃないけども、負けプレイヤーがゲームに及ぼせる影響を抑えてキングメーカー問題を潰す方法があります。
たとえばQuakeとかだと、負けてるプレイヤーというのは下手なプレイヤーなので、ゲームに影響をそうそう及ぼせないのですね。
スキルの問題でなくても、RTSだと負けかけのプレイヤーはリソースをぼこすか奪われて殆どなんもできなくなってますね。

Exercise 2.13-16



#2-5. チームワーク

こっからは別の話。チームプレーにおけるプレイヤーの役割とコミュニケーションに焦点を当てて、チームメンバー間の力学を議論します。

■役割
チームゲームのプレイヤーには、普通のプレイヤーとしての欲求に加えて「チームに貢献したい」という欲求があります。そこでチームにおける役割(ロール)という話になるんですが。
まずチームにおける各プレイヤーのロールについては、全員が同一のロールを持つ場合(対称 - シンメトリカル)と、異なる役割を持つ場合があります。
異なる役割を持つ、というのはシステミックな場合もあればエージェンシャルな場合もあります。野球のポジションはシステミックですけどサッカーはキーパー以外はエージェンシャルです。
システミックなロールの上にエージェンシャルなロールが築かれる場合もあります。例えば種族制のゲームで、種族の上にエージェンシャルなロールが(攻撃役・治癒役etc)乗るなど。
全員の貢献欲を満たすには2通りあって、ひとつは能力をバランスさせる方法、もうひとつは全員に別々の特殊能力を割り振ることです。
能力をバランスさせた場合、貢献機会は自動的にイーブンですが、結果としての貢献度合いは当然ながらスキルに左右されます。
異なる役割を振る場合、デザイナーズゲームなら普通は全員同程度の貢献になるよう作るものですが、スポーツはそういうの気にしません(いや一人で全部はできないようになってますが)。
特別なロールとして「リーダー」には言及しておく必要があるでしょう。ルールには定義されてないことも多いですが(でもルール上の何かと結びついてたりはしますね。クオーターバックとか)。

■協力的インタラクション
って言葉はちょっと問題が合って、これ必ずしも協力ゲームに限ったものでもないし、逆に協力ゲームに協力的インタラクションが皆無ってこともあるんですが、それはそれとして。
つまり相方のパフォーマンスに影響を及ぼせる度合いのことです。水泳のメドレーとかだと殆どゼロ、
テニスのダブルスはかなりインタラクティブですがそれでもボール打ち返すのは一人で可能、
アメフトとかだとどんないいパス投げても相方が取ってくれないとなんにもなりません。
人間は社会的生物ってことで、基本的には協力的インタラクションってのは良きものです(勿論オーディエンスの話はここでも有効で、メドレー程度が丁度いい人もいっぱいいます)。
面白いヒューリスティックス・ツリーも構築できるし。ただ、インタラクションの度合いによっては副作用もあります。
具体的に言うと、まずはド下手くそな相方がむかつく問題。水泳とかみたいに相手関係なく自分自身のスコアを計れるものだとそうでもないですが、
ボール取ってくれないキャッチャーとだとそもそも野球できないんで。でまあ、オンゲで極端に雰囲気悪いゲームとかあるじゃないすか。ああいう弊害がね。

Exercise 2.18

■奉行問題(チームメートに何をすべきか口出しするということ)
インタラクションで起きる問題以外にも、チームメンバー間のコミュニケーションがOKであるようなゲームでは、奉行問題が発生し得ます。
つまり、初心者に対して先輩が口を出し過ぎるので事実上初心者がゲームから排除されているという。
口出しは適度におさめてれば悪くないものだし、場合によっては初心者の側が全く言うこと聞かないということもありますが、まあ大人だと普通そういう圧力には従うでしょう。
これを防ぐには。まずコミュニケーションを制限するというのは当然あります。ブリッジだとビッディングシステムに従ってしかパートナーとコミュニケーションとれないとか。
あとは実行スキルの概念があれば、これも制限として働きます。
カスパロフに「次ルークを2マス前へ」と言われれば誰でもその通りに実行出来ますけど、ジョーダンに「そこでダンク」とか言われても出来ないものは出来ないわけです。
似たような制限方法としては時間の概念を持ち出すというのがあります。時間制限がそのままコミュニケーションと実行の制限として働くのですね。
情報を一部伏せるというのもありでしょう。あと、場合によってはロールプレイが解になることもあります。賢者は全てを教えるのですが、蛮族は聞く耳を持たないよと。

■協力ゲーム
近年まで協力ゲームというのは割とレアなものでした。対戦相手というのはゲームに多くのものをもたらしますし、対戦相手がいなければ一人用ゲームを遊ぶしか無いんで。
事情を変えたのは勿論コンピュータとネットです。
協力ゲームは基本的にはチームワーク付きの一人ゲームです。複数陣営におけるチームワークと比べると、問題の種類は同じですがより難儀になります。
本来コミュニケーションに制限がかかってるゲームで奉行をやると、複数陣営ゲームなら対戦相手から「おいそこの糞チート野郎」と来るわけですが、協力ゲームだとその声が出てきません。
協力ゲームに関する他の問題としては、リプレイアビリティの問題もあります。MMOでチームメイトのために同じシナリオを2度やる人がでてきたりとか。
とりあえずここで重要なのは、こういうメリットやデメリットは、1陣営ゲームであることから湧いてくる問題、チームプレイから湧いてくる問題、インタラクションから湧いてくる問題、
というような形で理解することが可能だ、ってことです。

Exercise 2.19-24.


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内容は以上です。

排除の問題については概念の整理が主になってて、特段どうということは無いと思います。
協力ゲームの問題については、もう少し突っ込んだ詳細に入って行くとどうなるかわかんないですが、このレベルの議論としてはごく穏当、というかこれも紹介的な内容。
我々面倒くさいボードゲームプレイヤーにとって大いに議論の対象になるのはポリティクスの話で。
ただ確認しておかないといけないのは、この議論はユーロゲーム界隈を離れてゲーム一般で考えるとごく正統的なものだってことです。
そもそもマルチというのは鬼っ子であって、というのは本文が(明確にそうとまでは言ってないけど)強く匂わせてるところで。
特にこの本の立場だと、基本的にはゲームの楽しみというのはヒューリスティックス・ツリーの構築にあるので。
マルチでは自己言及性の問題から素直なヒューリスティックス・ツリーが描けないので、まっとうなアゴーンのゲームは造れない。正統なアゴーンのゲームってのはいつでも2陣営用です。
オンゲ以降のマルチプレイヤー物には本文中のテクニックを駆使してマルチ性をぐっと抑制したゲームというのがありますが、そういうものについては根源的な問題が付きまといます。
つまり、なんでマルチじゃないといけないのかと。この点に関する著者たちの立場というのは、フレーバーとして振りかける程度の使用ならマルチ(この場合は≒ポリティクス)も
悪くないものだ、というもので、だからこそポリティクスの「コントロール」という言葉を「デザイン」の類義語ではなく「抑制」の類義語として使ってます。
これはここ数年のユーロにも共通する立場で、モダンユーロというのはルールの本質的にはレースを志向していて、ルールに載せてるインタラクションは
本書の意味でのインタラクションと言うより、n人が一同に介して同じ席に付いているという状態におけるコミュニケーション推進、が意図されていることが多いです。
ゲームとしてはレースのがいいんだけどそれはそれとしてコミュニケーターが必要だと。
一方で英米マルチ〜90sユーロを基準に考える立場からすると、このような抑制の対象としてのポリティクスという議論はいかにも曖昧に思えます。それなら2人ゲームやってりゃいいよねと。
英米マルチ〜90sユーロでは、ポリティクスこそをデザインの対象としています。
サブゲーム内でのポリティクスを絡め合わせて一つのメタゲーム系を作り上げる、というのがユーロ(面倒なので「英米マルチ〜」は省略)の本質の一つとしてあり、
そこでは当然ヒューリスティックス・ツリーは登ろうとすると自己言及性によって変な方向に折れ曲がる。
その折れ曲がり方は、巨視的に書いてしまえば全部本文中の「ポリティカルなゲームにおける戦略」でおしまいなんですが、ここをミクロに見ると色々面白い差異があり、
その差異を鑑賞する(別の言い方をするなら、折れ曲がるヒューリスティックス・ツリーの折れ曲がり方を楽しむ)のがユーロのプレイヤーの【非正統的な】立場なのですよ、
ということは述べておきたい。です。
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by Taiju_SAWADA | 2013-02-21 00:58 | 感想・紹介