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百質3rd

こんかいの設問:
https://tantramachine.hatenablog.com/entry/20190904/1567599483


Q1 ボドゲ歴は何年ですか?
 カテゴリ自体に注目して遊ぶようになってからなら20年くらい。

Q2 初めて遊んだボードゲームは何ですか?
 カテゴリ自体に注目するきっかけになったボードゲームならたぶん「エントデッカー」。
 そうでなければ「モノポリー」じゃないかと。

Q3 誰とボードゲームを遊ぶ事が多いですか?
 最近はクローズドで近しい人達と遊ぶことが多いです。
 
Q4 どこでボードゲームを遊ぶことが多いですか?
 立川B2FGames。

Q5 どれくらいの頻度でボードゲームで遊びますか?
 月2回くらい?

Q6 ボードゲームはいくつくらい持っていますか?
 たぶん大箱100ちょっとくらい?

Q7 あなたのベストボードゲームは?
 一作だけなら「モダンアート」

Q8 好きなゲームデザイナーは誰?
 カサソラ=メルクル, マック・ゲルツ、クリスティアン・アムンゼン・オストビー(でいいのかな発音)、
 ライナー・クニツィア、クラウス・トイバーなど

Q9 嫌いな(苦手な)ゲームデザイナーは?
 とりあえずアレクサンダー・プフィスター。

Q10 好きなメカニクスは?
 オークション。交渉も割とすき

Q11 苦手/嫌いなメカニクスは?
 メカニクスのレベルでは嫌いというほどのものはないです。
 ポイントサラダは嫌いですが、メカニクスとはちょっと違うものだし。

Q12 好きなボードゲームのテーマ/モチーフ/世界観は?
 特にないっす

Q13 嫌いな/避けてしまうボードゲームのテーマ/モチーフ/世界観は?
 強いて挙げれば植民もの。往々にして対象に対するデリカシーの欠如が見られるため。
 でも「避けてしまう」というほどのものでは全くないです。

Q14 人気あるけど好きじゃないゲームはありますか?
 好きじゃない、というか、全く評価できないゲームが山ほどあります。例えばQ9参照。
 「人気があり、たぶん良く出来ていると思われるが、好きとは言えない」ゲーム、となるとちょっと難しくて、うーん、「1830」とか?

Q15 お世辞にも面白いとは言えない/あからさまな欠点がある/万人受けするとは言えないけど、好きなゲームありますか?
 「(例えば作品の成立を危うくする傷があるために)高い評価は出せないが好きなゲーム」は、無い、またはすぐには思いつかないです。大概は留保を付けつつ高く評価しちゃうので。
 「高く評価しているが万人受けはまあしないだろうゲーム」なら、例えばグレートジンバブエとか。

Q16 好きだけど持ってないゲームありますか?
 好きの程度によりますが、本当に好きなもので、多少の金で解決できるものについては解決してきてます。

Q17 好きじゃないけど持っているゲームありますか?
 敢えて言えば「1830」かなあ。後で手離す気がする

Q18 好きなアートワークのボードゲームは?
「エルフェンランド」

Q19 ボードゲームのアートワークやコンポーネントをどの程度重視していますか?
 それほどは重視しません。

Q20 オサレな見た目のボードゲームは好きですか?
 どういうものを指して言っているのかにもよりますが、少なくとも嫌いってことはないです。
 「エルフェンランド」は含まれますか? ゲーム自体も割と好きです。
 「タイムストーリーズ」の箱表も好きです…が、あれ箱裏やボードまでクオリティを維持できてないですよね。なおゲーム自体は全く評価に値しません。
 TANSANFABRIKが「ルールの達人」や「Nage x Nage Portside YOKOHAMA」でやったインスパイアードフロム鈴木英人&永井博も良かったと思います。

Q21 お気に入りのボドゲグッズ、教えてください。
 特にないです

Q22 TRPGゲーマーですか? もしくは経験者ですか?
 経験者です。いまは誘われればNo-GM/No-Prep物をやります程度ですけど

Q23 TCGゲーマーですか? もしくは経験者ですか?
 中3~高1の時に半年~1年間くらいだけMTGをプレイしていたことがあります。Fallen Empire - Ice Ageくらいの時期。

Q24 ソシャゲをプレイしますか?
 ほぼしません。いちばん長くやってたもので「ゴシックは魔法乙女」を半年間くらい。

Q25 アニメやマンガ、コンシューマーゲームなどを好みますか?
 漫画は嫌いではなく時々読みです。
 アニメも別に嫌いではないですがあまり観ません。アニメがどうというより劇映画もドラマもほぼ見ないし観劇もしないので。
 昔はコンシューマーゲームについてははっきりと「好みます」だったんですが、最近はそう言えるほどやってません。3D酔いというものがあってですね…

Q26 ぶっちゃけオタクですか?
 定義によります。個人的には、2019年現在「オタク」という言葉は意味をほとんど失っていると考えています。

Q27 同人ゲーム買いますか?
 時折は。

Q28 国産ゲーム買いますか?
 時々は。

Q29 KickStarterでKickします/しましたか?
 ごく稀に。Keyperとか。

Q30 米アマゾン、独アマゾンを使ってボードゲームを輸入したことがありますか?
 Amazonに限らなければいくらでもやってますが、米or独Amazon限定となると、あるにはあります程度。

Q31 ゲームマーケットに行ったことはありますか?
 あります

Q32 ボドゲカフェに行きますか? 行く人はお気に入りのお店ありますか?
 行ったことはあります、くらい。

Q33 ゲーム会に参加するならオープン派、クローズ派?
 近しい人々がどこか一カ所に集まってゲームするのを「クローズドのゲーム会」と呼ぶのであればクローズ派ではあります。
 でもそういう質問じゃないですよねこれ。「ゲーム会を運営するならオープン派、クローズ派?」なら分かるんだけど…

Q34 実は本名を知らないけどよく遊ぶボドゲ友達がいますか?
 本名を知ってるはずだが忘れたままになってる人、ならいっぱいいます。
 本当に一回も聞いたことがない、となると、一応いることはいるかな、くらい。

Q35 ボドゲのジャケ買いします/したことありますか?
 「タイムストーリーズ」とか。本当に後悔した

Q36 初心者相手のツカミに絶対ウケる! キラーコンテンツ的なボドゲはこれ、というものはありますか?
 無い…というか、そういう意味での「初心者」という集団が存在するとも思えません。

Q37 ボドゲ未経験の初心者(ゲームを普段遊ばない人)にボドゲを遊んで貰うなら、どういうラインナップで攻めますか?
 それゲームしなきゃ駄目すか? 基本ゲームじゃない話をしたほうがいいと思いますが、
 例外的に、向こうが「男もすなるゲームといふものを、我もしてみむとするなり」的な関心を気まぐれで持ったんだとすれば、
 …それでも向こうがどんな人かで全然話が違うと思いますが…「ファブフィブ」「髑髏と薔薇」とか?

Q38 ボドゲ未経験の初心者(ボドゲ以外のゲームは遊ぶ人)にボドゲを遊んで貰うなら、どういうラインナップで攻めますか?
 「ドミニオン」「ハイソサエティ」

Q39 どういうルートでボードゲームを購入する事が多いですか?
 テンデイズゲームズで買うことが多いです。あとはeBayとか。

Q40 中古ゲームの購入に抵抗はありますか?
 全くありません

Q41 遊ばないゲームを手放したことがありますか?
 始終手放してます

Q42 スリーブ入れる派? 入れない派?
 入れない派閥

Q43 アメ(リカン)トラ(ッシュ)派? ユーロ派?
 90sユーロ派

Q44 日本以外のアジアのボードゲームに関心ありますか? 買ったり遊んだりしていますか?
 あります。北京のDICE CONとか高雄の月光卓游節とか行ったりしました。「ポンジスキーム」最高

Q45 レガシー系ゲームで遊んだことはありますか? また、レガシー系ゲームは好きですか?
 「パンデミックレガシー」が10月で止まったままです。
 やりたいことはわかるし、未來がありうるジャンルだとも思いますが…

Q46 人狼やごいたなど(あくまでも例です)の、チーム戦のゲームは好きですか?
 あんま好みません。チーム戦であることよりも「2チーム戦」であることが嫌なのかも。

Q47 一対多、一対一の陣営非対称ゲームは好きですか?
 あんま好みません。これも「2陣営戦」が嫌なんでしょう。

Q48 マーダーミステリーを遊んだことはありますか?
 ないです。あそびたい。

Q49 謎解きや脱出ゲームを遊びますか?
 誘われれば遊びます程度ですが、「Escape from the RED ROOM」はとても良かったです。お勧め。

Q50 萌え絵のボードゲームは持ってますか? 萌えっぽい絵のボードゲームを購入するのに抵抗はありますか?
 買ったことは結構あります。前述の通りひっきりなしに手放すので、いま持ってるものがあるかどうかは定かではありません。
 そういう様式の絵であること自体には抵抗はないですが、絵柄が統一されていなかったり、
 ゲームのキャラクターや想定TPOと合わなかったりするものが時折目に付いて、それは割と嫌です。
 (具体的に言うと「プリンセスワンダー」がかなり嫌でした。みんな忘れてると思いますが「ラブレター」の最初の商業パッケージだったんです)

Q51 海外のボードゲームによくある「エセジャパン」的な世界観のゲームをどう思いますか?
 全然OK…なんですが、鷹揚に構えてたらSuperdryがついったで図に乗った事を抜かしてて大変むかついたので、
 怒ったふりくらいはしておいたほうがいいのかな、とも思っています

Q52 BGGのアカウントを持っていますか? 普段からBGGを見て/利用していますか?
 持ってます。ときどき見てます。メインの利用方法は英語ルールのダウンロードとGeekmarket。

Q53 ボドゲーマのアカウントを持っていますか? 普段からボドゲーマを見て/利用していますか?
 持ってません。意識的には見てませんが、避けているわけではないので、見たいゲームの検索で引っかかれば見ます。

Q54 ゲムマ以外のボドゲフリマなどの即売会イベントに参加した事がありますか?
 DICE CONや月光卓游節、あとエッセンのSpielも即売会イベントなので、その意味ではYESです。
 日本の同人ゲームを含む即売会は、どうだったか記憶に無いです。一回くらいはあったような気もする

Q55 プレイヤーのマイ担当カラーを決めていますか? 決めている人は何色ですか?
 決めてません

Q56 トリックテイキングは好きですか? 好きな人はメイフォローとマストフォローどちらが好きですか?
 特別好きってことは無いですが、普通に遊びます。メイフォローはトリックテイキングではありませんよ…と言いたいところですが、
 「知略悪略」とか嫌いではないです。でもまあ普通にマストフォロー派。

Q57 トランプゲームで遊びますか?
 誘われれば遊びます。

Q58 ワードゲームは好きですか? また、得意ですか?
 好きでも嫌いでも無いですが、「LINQ」はかなり高く買ってます。
 「デクリプト」も(ちょっと「LINQ」に似すぎてる気はしますが)良かったですね。
 ワードゲームであることによって要求されるスキルが一意に決まるわけでは全くないので、それだけでは得意とも不得意とも。

Q59 大喜利ゲームは好きですか?
 このジャンル出来の悪いのがあまりに多くないですかね? それとも今は違う?

Q60 協力ゲームは好きですか?
 ジャンル全体としてはそんな好きではないです。作るの難しいジャンルだと思いますよ。
 個別のタイトルで高く評価しているのは「エスケープ」「スペースアラート」「ザ・ゲーム」など。

Q61 バランスゲームは好きですか?
 割とすき

Q62 紙ペンゲームは好きですか?
 これも何か狙いを持ってゲーム作るのが難しいジャンルじゃないでしょうか。
 個別には「DOODLE CITY」とか高く評価しているゲームはあります。

Q63 ダイスゲームは好きですか?
 これはさすがにちょっと指し示している対象が広すぎませんか。

Q64 ゲームにおける運要素の比率はどれくらいがベストだと思いますか?
 運100のものは別ジャンルなのでプレイや評価の対象と見なしませんが、
 そうでなければゲームにおける狙いとの兼ね合いで個別に決まるものなので、一般論としてどれくらいがベストというのはないです

Q65 アプリ連動型のボードゲームは遊びますか? また、これらをアナログゲームだと言えると思いますか?
 実例としてそれほど遊んだことはないですが、特段避けたり好んだりはしません。
 デジタル表示の秤を使ったゲームを作ったことがありますが、そういうものの一種と考えるべきでしょう。
 「ソビエトキッチン」なんかはアプリを使うことで成立するアナログゲームと言えるんじゃないでしょうか。

Q66 軽ゲー派? 重ゲー派? 中量級?
 中量級。

Q67 2時間以上の重量級ゲームでよく遊びますか?
 わりあい遊びます

Q68 あなたのスマホ/タブレット/PCにはボドゲアプリがインストールされていますか?
 いまはされてません

Q69 有名/定番タイトルなのに、遊んだことがないゲームはありますか?
 いっぱいあります。「スコードリーダー」とかやったこと無いし。
 自分のジャンル(つまりユーロゲーム)に限っても、毎シーズン、結局遊ばなかったゲームが大量に発生します。
 後の設問で出てきますが、赤ポーンのゲームで遊んでないのが10作近くあります

Q70 日本語版を是非出して欲しいと思うゲームはありますか?
 「出して欲しい」と無邪気に言える立場でもないのでパス

Q71 海外ゲームのゲームメーカーによる邦訳の誤訳が気になる/許せない方ですか? また、メーカーのエラッタページはチェックしますか?
 石を投げられる側の立場なのでパス

Q72 海外と日本版でアートワークなどが変わるのは気になる/許せませんか?
 これも同じ理由でパス。つっても翻訳と違ってアートワークまたはそのディレクションに関ったゲームっていくつもないですけど

Q73 同じ内容のゲームでも、アートワークが変わっ(て、それが好みの絵だっ)たら買いますか?
 買って古いのを手放したりします

Q74 リメイク前のゲームを持っていても、リメイクされたらリメイク版も買いますか?
 リメイクの内容次第。

Q75 海外の未翻訳ゲームを自力で翻訳して遊んだことがありますか?
 はい

Q76 レビューや意見、ゲームの考察などで参考にしているボードゲーム関係の個人はいますか?
 参考にしている、程度ならいっぱいいます

Q77 ここで(この)ゲームをやってみたいという場所、ありますか?(実現可能性はおいとく)
 ケイラスで「ケイラス」みたいなべたなやつ。ありますあります。
 「K2」だと実現する遥か手前で確実に死んじゃうのであれですが。

Q78 この人にボードゲームのマンガを描いて欲しいというマンガ家がいますか?
 林正之を現世に呼び戻してください

Q79 ボードゲーム関連の動画を見ますか? お気に入りの動画があったら教えてください。
 テンデイズTVを時折見る程度

Q80 ボドゲのポッドキャストを聞きますか? お気に入りがあれば教えてください。
 テンデイズラジオを時折見る程度。
 ボードゲーム読書会@高田馬場もボードゲームのポッドキャストと強弁できなくもないですが…

Q81 この人とボードゲームを遊んでみたい、この人にボードゲームを遊んで欲しいという人は?(故人、非実在人物、ゲーム業界の人でなくても可)
 シド・サクソン、ジョージ・パーカー(とゲームしてみたくない人なんていないでしょうけど)。

Q82 「おじさんがパッケージのボドゲは面白い」という法則を知っていますか? また、真実だと思いますか?
 知らないです。真実だと思える理由がどこにあるのか

Q83 好きな(これくらいの規模で遊びたい、という)プレイ人数は?
 ゲームによりますが、4-5人くらいかなー

Q84 お泊まりボドゲ会を開催したり、参加したことはありますか?
 あります

Q85 ぶっちゃけ、クニツィアディレンマって言う? 言わない?
 「クニツィアが一時期の作品でよく使っていたゲーム理論周辺的なジレンマ」みたいなことは割と言いますが、
 こういうことを言いたい時は大抵「ゲーム理論周辺的な」に重きを置いているので(だいたい例として「ラストパラダイス」の話をする)、
 一言で「クニツィアディレンマ」と言うことはないです。

Q86 リボーク、ミゼール、ディール、ラフ、ディスカード、全部分かる? 普段から使う?
 全部分かりますが、ミゼールは(あんまりやらないので)使わないです。

Q87 上家、下家、対面、先ヅモ、ベタオリ、全部分かる? 普段から使う?
 先ヅモ以外は使います。

Q88 ゲーム中に交渉要素のないゲームで、口プロレス(はったりを仕掛けたり相手を誘導するような発言)はする方ですか?
 それほどはしない方です。ただし、そのようなことを好まない、という意味ではまったくありません。
 そもそも、本来3人以上で遊ぶゲームにおいて「ゲーム中に交渉要素のない」と簡単に言い切れるものではないはずです。

Q89 同席相手がプレイングに悩んでいる際に、求められていなくてもアドバイスしてしまう方ですか?
 前問のような意味を込めて何か言うことはよくあります。
 そういう意図のない純粋なアドバイスは、相手が悩んでいるときはそれほどしません。するのは相手が何か見落としていそうな時とか。

Q90 ボードゲームを遊ぶ時、ハウスルールを導入したことがありますか?
 あります

Q91 ゲームの拡張は買う方ですか? 買った拡張を入れて遊ぶ頻度はどれくらいですか?
 買わないほう(ただし「エルグランデ」には可能な限り「K&I」を入れます)

Q92 赤ポーン(ドイツゲーム大賞受賞作)のゲームは何作くらい遊んでいますか? あなたにとって赤ポーンは意味があるモノですか?
 いま数えてみたら32/41作。2010年代以降意味を失っています

Q93 ゲームマーケット大賞の受賞作を何作くらい遊んでいますか? あなたにとってゲームマーケット大賞は意味があるモノですか?
 遊んだのが2/4作(あと買ったまま積んであるのが1作)。現時点では意味のあるものではありません。

Q94 どれくらい積みゲーしてますか?
 20か30くらい…だと思いますが…

Q95 仲の良い知り合いに頼まれても絶対やらないレベルのNfMゲームありますか?
 私は「Not for me」という言葉を作品に対する強くネガティブな評価の婉曲表現として使うことはないので、
 言葉通りには「絶対やらないレベルのNfMゲーム」という状況は発生しづらいのですが(敢えて言えばスポーツがこれにあたります)、
 「絶対やらないレベルでネガティブな評価をしているゲーム」ならいっぱいあります。
 
Q96 同じゲームを何度も遊ぶ方?
 どっちかといえば遊ばないほう。

Q97 入手が難しいが欲しいゲームありますか?
 あらかた入手したので、いまはもうそんなにはないです。
 
Q98 長考する方ですか? 他人の長考は気になりますか?
 するほう。気にしないほう。

Q99 ボードゲーム以外の趣味は何ですか?
 りょこうにいったりおいしいものをたべたり

Q100 最後に、あなたにとってのボードゲームは、何ですか?
 趣味のひとつ…で済ませるには最近おおごとになってきてる感じがしますが

# by Taiju_SAWADA | 2019-09-09 01:30 | うわごと

A Gamut of Games / シド・サクソンのゲーム大全に関する宣伝文のようなものその他

今週末12月2~3日に開催されるゲームマーケットで、ニューゲームズオーダー社から、Sid Sackson "A Gamut of Games" の邦訳書「シド・サクソンのゲーム大全」(訳:竹田原裕介)が先行発売されます。一般販売は12月中旬ないし下旬になる予定です。本日はこの本の宣伝にあがりました。なんでこの本の宣伝をしたいのかと申しますと、ちょっとした成り行きにより、わたくし本書の編集というか企画というか、つまり雑用全般に関わっておるのでございます。

原著は1969年に初版が発売された、基本的にはゲームのルール集です。シド・サクソンとゆかいな仲間たちが寄ってたかって作り上げた38作が詰まっております。それだけと言ってしまえばそれだけなんですが、ただそれだけだとサイエンティフィック・アメリカン誌の書評で「ゲームと数学的娯楽、双方の分野の文献における真の画期的事件だ」とまで書かれた理由も(ちなみに書いたのはマーチン・ガードナーです)、米国が誇る国立遊戯博物館 The Strong National Museum of Playの博物館ブログで「(2016年)現在でもなお、学者や重篤なゲームプレイヤーにとってマストハブと見なされている」と記されている理由も分かりません。

38個のゲームの平均的な品質が高い。というのは、まあ間違いないところでしょう。後に1982年1981年(20171205 Typo修正)ドイツ・ゲーム・オブ・ザ・イヤーを獲った「フォーカス」、「Choice」の名で製品化されたダイスゲームのクラシック「ソリティア・ダイス」(例えばクニツィアの「ロストシティ」がこのゲームの影響を受けてないと言ったらどう考えても嘘でしょう)、比類無き多人数パーティゲームとして特に名高い「ハグル」など、いまでも名前が失われていない重要なゲームがいくつも載っています。後世の人間である我々の目から見れば品質の高さも当然と言って良く、何しろ主著者がシド・サクソン、ゆかいな仲間たちというのはアレックス・ランドルフにジェームズ・ダニガンに…、と、つまりここにいるのは商業ホビーゲームというものを成立させた人々そのものなわけですから。

そして商業ホビーゲームというものが確立した後の世界で遊ぶ我々にとって、この本が重要なものである更に大きな理由がそこにあります。この本には、そうしたゲームの世界がどのような雰囲気の中でつくられたのか、その空気が保存されているんです。A Gamut of Gamesはルール集としては独特な構成が取られており、どのルールについても、最初に1~2頁程度、「ポーカーって最近ラミーに押されてあまり流行ってないよね」「結婚旅行でヨーロッパ行ったんだけど、ゲーム屋ばっか巡っててさあ」「モノポリーには実際のところ先行作で《地主ゲーム》というのがあってね」みたいな枕が挟まれています。この枕の記述から、ここに載った重要なゲームが何を源流として作られているのか、当時の世の中でゲームというのはどういうものだったのか、諸々を知ることができるのですが、特筆すべきはゲスト作者を紹介する際のサクソンの文章です。商業ホビーゲームはコミュニティをベースとして成立した文化である、というのは他のいくつかの本の記述からも分かることですが(例えば「Playing at the World」「Eurogames」など)、この人はこういうバックグラウンドを持っている人で、こういう形でゲーム仲間として関わってて、と書くサクソンの記述から、この文化の、とりわけ後にドイツゲーム/ユーロゲームまで繋がった部分を担ったコミュニティの内実がどのようなものであったのかが窺うことができるわけです。
加えて、巻末付録に添えられている「1969年/1982年時点で発売中の主要なゲーム各々に対する、シド・サクソンの一言紹介」は、当時のゲーム出版状況を知る上で、これ単体でもちょっとしたものでしょう。また、1982年版と1992年版の序文(どちらも訳出されています)に書かれた仲間達の消息、そしてその序文を「1982年は私が考えるシリアスなゲームの黄金期が終わりを告げた年だった」と締める彼のビターな筆致から、あらゆるコミュニティとあらゆる文化に訪れるであろう結末を思うこともできるかもしれません。

今回の日本語版は、そのユーロゲームまで繋がる流れの起点である3Mブックシェルフシリーズを意識した、函入ハードカバー装となっています(アイデアはタチキタプリントの西山昭憲、実装と函表イラストはNGO社インハウスのデザイナーである西村優子)。装丁にコストを突っ込み過ぎたせいもあり、お値段が4630円+税と少々張るものになっておりますが、そのぶん手元に置いておきたいだけの官能性を持ったものに仕上がっていますので、ご興味のある方は是非お手にとっていただければと思います。

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ここからは宣伝とは全く関係の無い、ちょっとした成り行きの話を。

わたくしにとっては、この企画のそもそもの始まりは2014年初まで遡ります。当時のわたくしは「パラノイア【トラブルシューターズ】」の翻訳権がほぼ取れるだろうことが内定したというくらいの状況で、毎日会社から帰っては翻訳を進めつつ、ついったなどで「翻訳を進めてる本があって、もうすぐ発表できます」みたいな事を述べたりしておりました。そうすると2月の11日、Boardgamegeek の geekmail に竹田原裕介さんという方からのメールがあり、その中身は「その翻訳を進めてる本というのはSid Sackson "A Gamut of Games"だったりしますか?」という内容のものでした。この時点で既に竹田原さんは全文の翻訳の初稿を個人的に上げていて、「翻訳がバッティングしていたらどうしようか」という趣旨からの問い合わせだったんですね。で、そのときは、いや今こっちで翻訳してるのはRPGなんでバッティングはしてないです、A Gamut of Gamesの翻訳なら俺は読みたいし仮に電子書籍で出すなら5000円くらいの値付けであれば高いとは思わないですよ、くらいのことを返しただけでおしまいだったんですが、そこから1年半くらい経って、そういえばあの話どうなったんだろう、版権交渉が難航してるなら十年留保使って出しちゃってもいいんではないすか、みたいな気持ちでメールを出してみたところ、「図版を色々載せたいので(十年留保は図版には適用されません)やっぱり出版社と交渉しようかと」との返信をいただき、交渉ごとで何か面倒があったらご連絡もらえればサポートしますよー、と返して、これもここでおしまいになりました。

それから数ヶ月。竹田原さんから再びご連絡をいただいたのは2016年の3月末でした。ええと、そのー、何か面倒があったわけですね。子細は省きますが、トラブルということでは全くなく、単純に果てしなく、やってらんないくらい面倒なプロセスがあったんです。それで、(BGGを見ていなかったのでだいぶ返信が遅れてしまったんですが)ああ、これはサポートしたほうがいいですね、差し支えなければこちらで出版する形をとりましょうか、ということで、企画がわたくしの手持ちになったのが6月のこと。ニューゲームズオーダー社に企画持ってったらファンディングしてもらえることになったので、じゃあ版権交渉を片付けましょうか、と先方(Dover社)に連絡をして……連絡をして……連絡をして……

気がつくと町にはトナカイとシュトーレンが溢れていたのです。途中で向こうの担当者が会社辞めたおかげで一時期は完全な連絡不能状態になったり、まあ思い出したくもない様々な形態の待ちぼうけがあったのですが、最終的にはこちらのうざいプッシュの束に折れた向こうが翻訳エージェント(日本ユニエージェンシー)を立ててくれたおかげで話がスムーズにまとまるようになり、ようやく契約に漕ぎ着けました。

何しろ原稿は2014年2月の段階で初稿が上がっているわけですから、そちらのほうは(わたくしとInDesign CCの素晴らしい連携により、修正したはずのレイアウトずれが三倍になって返ってくるなどの諸々の失態を重ねながらも)順調に進み、装丁の方もハードカバー版を出したいという竹田原さんのご希望(原著も今はペーパーバックですが初版はハードカバーだったんです)に沿って愛蔵版のハードカバーと普及版の電子書籍と……みたいなプランで進めていたところ、契約に盛り込まれていたはずの電子書籍出版の権利が諸事情によりキャンセルにされて我々とエージェントの方が一緒にうんざりする事態が発生し、急遽実施されたニウゲームズオーダー井戸端会議、そんならもう仕方ないから凝るだけ凝った装丁の函装上製本一本で行こうぜという結論になり、函入ハードカバーのコストの高さと納期の長さに戦きつつもなんとか昨日11月28日に刷り上がったわけでございます。間に合った!

**

最後に。図版はDover版と同様、シド・サクソン自身の手書きをスキャンしたものを用いています。製作側としては、印刷に耐えるクオリティのものにならないかもしれないという心配があり、当初はAdobe Illustratorで描き直す方向で考えていたのですが、やはり上記のようなこの本の特性を鑑みてハンドドローイングを用いるべき、という竹田原さんのご意向を受け、元の版と同じものに戻しました。どれくらいのクオリティで出来てくるものか100%の確信が持てず、刷り上がった本の頁を開くのはちょっとしたスリルでしたが……これならOKだと思います印刷屋さんありがとう! というわけで楽しんでね!

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# by Taiju_SAWADA | 2017-11-29 23:58 | 感想・紹介

たらちねの母、フィードバックの遅れ

【20170916追記:最終の一つ前の段落を追加しました。勢いで書きすぎて説明が全く足りてなかったためです】

《以下で説明するのは、知ってる人にとっては「なんで今更そんな基本的かつトリビアルなことを大事なこと風に書いてるんですか」ということでもあるんですけど。でも「ルールズ・オブ・プレイ」がわざわざ書いていて、しかも書き漏らしている以上、やっぱり大事なことだし書いておかなければいけないんじゃないかな、と。》

とりあえず、まずはお手元の「ルールズ・オブ・プレイ(上巻)」18章「サイバネティックシステムとしてのゲーム」を開いてください。この章のトピックは下記の四つとなっております。

・サイバネティックなフィードバックループ
・正のフィードバック
・負のフィードバック
・動的な難易度調整

サイバネティクスといってもここで触れているのはフィードバックループの話だけなので(最後の「動的な難易度調整」というのもフィードバックの概念を難易度調整に適用する話なので、結局同じ事です)、別にサイバネティクスじゃなくて制御工学でも全然構わないんですが(※)、それはそれとして。

負のフィードバック(ループ)というのは、同書の例をそのまま使うと、センサーで部屋の温度を拾って、設定温度と比較して、その差が無くなるような形で温風ないし冷風を吹く、で部屋の温度が変わるので、またその変わった温度をセンサーで拾って、というもので、これを繰り返していくと、基本的には、部屋の温度と設定された温度に差が無くなり、その状態が保たれるようになります。差を減らすようにするので「負の(ネガティブ)」と呼びます。逆に「正の(ポジティブ)」フィードバックだと、設定温度との差が広がるように温風なり冷風が出てくることになります(このへんでエアコンのたとえに無理がでてくる)。

ルールズ・オブ・プレイでは、プレイヤー間の差を埋めるような形でネガティブフィードバックを使い、ゲームを収束させるためにポジティブフィードバックを使う、あとは難易度調整のために色々と、くらいの話をして終わってしまうので、うんまあそれはそうよね、以上の感想を抱きづらいと思います。ですが、ここでは書いていない重要なことが一点ありまして。フィードバックループの話をするときは、必ず「遅延」の話をセットでしないといけないんです。

遅延、または遅れの話は制御工学の教科書には必ずみっちり書いてあるので、詳細はそっちを読んでもらうとして、この話の文脈で必要なぶんだけ書くとですね、まず部屋の温度が下がったのをセンサーが感知するのも一瞬とは言えず(やっぱり例に無理が…)、さらに冷風を吹いてもすぐにびたっと適温まで下がるわけじゃなくて(そうだったらループなんていらないですよね)、まあ時間がかるわけです。さらにセンサーがぽんこつだったりすると(諦めて恣意的な状況設定に変えました)、ちゃんと冷えてきたことを認識するまでに時間がかかって、おらーまだ冷えてねえぞーってんでがしがし冷風を吹き込みまくって、気がついたらなんかめっちゃ部屋寒くて、あ、やばい、温風温風、みたいな。なんかこの部屋温度が上がったり下がったりで中々ちょうど快適な温度にならないんですけど。と。もっと言うと、今は部屋の温度がエアコン以外では変わらない、という前提でしたが、実際のところは外の天気の都合で部屋の温度も当然変わりますから、夕立降ってきたんで外気温が下がってるのに冷風回ったままだから冷え過ぎちゃって、ということも当然ございます。

さて、ここまではエアコンの話でしたが、わたくしは別段いまダイキンなりキヤリアなりを称えたいわけではなくて、ゲームの話、それもマルチプレイヤーズゲームの話をしたいのです。リチャード・ガーフィールドet al.が「Characteristics of Games」でdisを加えておりますとおり、マルチゲームにはある種の本質として、トップ叩きによってみんなが横一線に並んで最後にたまたまぴょんと鼻だけ飛び出した奴が勝つ、みんな同じじゃないか、という話があります。このマルチゲームにおけるトップ叩きというのはもちろんネガティブフィードバック機構です。同書では各マルチゲームのオリジナリティについて、このトップ叩き性をどれくらいまでブレンドし、どれくらい技術の巧拙が強く出るようにするのか、という方向に話が進み、というかあまりマルチゲームに興味を持ってない感じがするんですが、マルチゲーム愛好者としては、技術の巧拙はマルチゲーム性=ネガティブフィードバック性の中には存在せず別の所から足し込んでいかないといけないんだ、という論調には賛同しません。マルチゲームにおけるプレイヤーの技量は、ネガティブフィードバック性の中にこそ存在するべきであって、また、実際にも存在します。つまり、遅れを前提とした制御の巧拙です。

各時点でトップの位置にいるプレイヤーは他プレイヤーとの差を増大させる方向でゲーム状態に働きかけるのに対して、他の全員が、その時点でのトップとの差を縮小させる方向に働きかけます。マルチゲームの定義上、力の数は1 vs N(N≧2)ですから、ゲームシステムの作りによる部分も当然あるとはいえ、基本的な構造としては、ゲーム全体としては、トップとそれ以外との差を縮小させる方向にコントロールが働くことになります。これがマルチゲームにおけるネガティブフィードバックの基本です。しかし当然ここにはセンサーの問題と冷風機の性能の問題が存在します。たとえば勝利点を稼ぐゲームにおいて、本来モニターしたい指標は「ゲーム終了時点における勝利点」ではあるものの、これは言うまでも無くゲーム中に観察できる指標ではない以上、センサーたる各プレイヤーは何らかの代替指標を使わざるを得ないわけですが、この場合に何が相応しいかというのは、これは各プレイヤーの解釈に委ねられ、しかも動的です。加えて、各プレイヤーに対して、ゲームシステムの側からは、その指標に直接働きかけることのできる冷風機は用意されていません。プレイヤー達は初期状態では怪しげなセンサーと怪しげな冷風機しか持っておらず、これは容易に発散してどうしようもなってしまうわけですが、それでもプレイヤー達はセンサーと冷風機をなんとか改善し、部屋の温度は千鳥足気味ながら設定温度にふらふら近づいていきます。

結局のところマルチプレイヤーズゲームにおいても、ゲームプレイというのはパズルプレイがそうであるのと本質的に同じ意味においてゲームを解く課程なので、それがまともなゲームである限りにおいて、確かに部屋の温度は設定温度に近づいてはいきます。しかし、これは逆に言うと、ネガティブフィードバックがきちんとかかった、部屋の温度が設定温度に張り付いた状態というのは、あくまでもそのゲームがジグソーパズルや○×ゲームのように「解かれた」最終形でしかない、ということです。解かれていない、つまり遊べる状態にある各マルチゲームにはそれぞれ固有の部屋とセンサと冷風機と外気があり、従って固有の遅延の構造を持ちます。それぞれはシステムそのもの、あるいはシステムを解釈した各プレイヤーの思惑によって設置されるものであり、つまりゲームデザイナーにとってはデザインの対象になります。そしてプレイヤーにとっては、これらはもちろん操作の対象であり、つまりは攻略の対象、そして鑑賞の対象になるわけです。


※この話がルールズ・オブ・プレイにおいて「制御工学の対象としてのゲーム」ではなく「サイバネティックシステムとしてのゲーム」と書かれているのは(おそらく)理由があります。制御工学は工学であり、あくまでも厳密に、巻き尺と秤で量った数字を微分方程式で処せるものだけを対象としているんですが、サイバネティクスや、サイバネティクスと密接な関係にあるシステム思考/システム理論の領域はそうでもなくて、上でやったように、定量的な世界のものを「系(システム)ってくくりで見れば一緒だろ」というので、会社組織とかゲームシステムとかにも平然と定性的に適用しちゃったりします。というかシステム思考というのは色んな学問分野からシステムに関する諸問題を括りだした学際領域なので必然とそうなります。あんまり無定見に濫用すると怪しげなコンサル喋りみたいになってソーカル&ブリグモンが警笛を持って寄ってきますが(ちなみに怪しげコンサルタントのバイブルとして知られる「ライト、ついてますか」と「コンサルタントの秘密」の著者ジェラルド・ワインバーグはシステム思考の代表的な教科書「一般システム思考入門」の著者でもあります)、適用可能な範囲を意識して運用する限りにおいては充分に有用だとわたくしは考えております。
# by Taiju_SAWADA | 2017-09-14 23:52 | うわごと

素人の素人による素人のための2009/48/ECアンドEN71メモ(※ボードゲーム同人専用

《ディスクレーマー:本文書は素人が書いた文章であり、記載内容について何ら責任を負うものではありません。At your own riskでお読みください。いや言うまでもないとは思うんですけどね》


EUで玩具を売る際は、規制をクリアして、その証明としていろんな文書の作成と、加えて製品自体にCEマークを付与する必要がある。EUの定義ではAges 14+のマニア向けコレクターズアイテムは玩具に含まれないはずで、日本からEssenに百部限で持って行く怪しげなカードゲームなどは実態としてマニア向けコレクターズアイテム以外の何物でも無いはずなんだが、なぜか今年からドイツの官憲が点数稼ぎだかなんだか不明の理由によりこれは断固として玩具であると言い張るようになったらしく、まあ仕方ないのでCEマークを頑張ってつける必要があるのだが、百部限のものに一々検査機関なんか通してられるか自分でなんとかしたる。

という人のためのいんたーねっとりそーすへのポインタです。

このプロセスは一般に「CEマーキング」と呼ばれており、玩具に限らず、全体の流れはこんな感じになります(都立産業技術研究センターのページ)。
http://www.iri-tokyo.jp/site/mtep/ce-general.html


まず規制の根拠となる指令そのもの、2009/48/ECはこちらです。
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2009:170:0001:0037:en:PDF
ちなみに、「2009/48/EC 和訳」とかで検索すると、和訳を売ってる人もいることがわかります。

で、作らないといけないドキュメントは下記の2つ。
・自己宣言書 Declaration of Conformity
・技術文書 Technical Document
これをいつでもすぐ官憲に見せられるようにしなきゃいけないわけですね(厳密に言うと技術文書の一部はすぐじゃなくていいんですけど、まあでも、どうせDropboxあたりに入れて管理するんだし一緒でしょう)。10年間保存マストです。

自己宣言書は、私どものこの製品はEUのこの規制(2009/48/EC)、具体的にはこの文書(EN71の諸々)で書かれたていることに適合しておりますよ、という宣言ペーパーです。一枚物の紙で、書かないといけないことは決まってますが、フォーマットは定まってません。
技術文書は、その宣言の裏付けとなる内容です。内容物の詳細な説明とか製造過程の説明とかテスト内容とかそういうやつ。こっちも書くべき事は決まってますがフォーマットは定まっていません。

この件に関するEU当局謹製の解説。それぞれgoogle検索すると出てきます。
Toy Safety Directive 2009/48/EC An explanatory guidance document
Toy Safety Directive 2009/48/EC Technical documentation


まずは自己宣言書ですが、勝手がわからないのでサンプル自己宣言書がほしいところです。さっきの当局謹製解説にも載ってたはずですが、EN71 Declaration/of/Conformity でGoogle検索するといろんな会社のDeclarationがいっぱい出てくるので、適当なものをまねるとよい。です。

サンプルとしては、見た中ではここのがわかりやすかったです。
https://www.logo.ee/et/product/getdocument/10025584/P940.55%20CE_Declaration.pdf

hobbycraft.co.ukなる親切なイギリスの手芸店的なところが、なんと玩具を作りたい人のために簡単な解説と自己宣言書のテンプレを用意しています。そのまま取ってきましょう。
http://www.hobbycraft.co.uk/toy-safety
http://www.hobbycraft.co.uk/supplyimages/WF1041/toysafety-declaration.doc

ようは大体以下のようなものを書けばよいと。

******

EU DECLARATION OF CONFORMITY


[This declaration of conformity is issued under the sole responsibility of:]

Manufacturer/Distributer's Name: Late Toccobushi Game Club
Manufacturer's Address: 2-28-8 Midori-machi, Musashino-shi, Tokyo, 180-0012 Japan (※これは東京都武蔵野市役所の住所なので真似して書かないように)


[Product Identification]

Product Name: Square on Sale
Product Number: TCBS-001
Product Description: An intellectual board game of auctions, mainly for adults (Ages 14 and up). Children of ages 12-13 also able to play with appropriate adult's guidance.


[The products mentioned in this declaration are in conformity with:]

EU Conformity Legislation:
2009/48/EC Toy Safety Directive (TSD)
Relevant harmonised standards:
EN71-1:2014
EN71-2:2011+A1:2014
EN71-3:2013+A1:2014
EN71-9:2005+A1:2007
Other specifications:
(none)
Notified body (where applicable) [公認機関]:
(Not applicable)
Additional information:
(none)

[Signed for and on behalf of:]
Place and date of issue: Tokyo, 01-Aug-2017
Signature [署名]:
Name and Title: Taiju Sawada, President
Company Name: Late Toccobushi Game Club

*****

上記を見ると、EN71というのがひとつではないことに気づくと思います。現在EN71はpart1からpart14までに分かれています。
1: 機械的・物理的特性
2: 可燃性
3: 特定物質が手とか口とかに移ることについて
4: 化学実験器具とかそういうやつについて
5: 実験器具じゃない化学玩具について
6: 警告用ラベルに関する規定
7: フィンガーペイント(指で描く絵の具)
8: ブランコとか滑り台とかそういうやつ
9: 有機化合物(要件)
10: 有機化合物(サンプルの用意)
11: 有機化合物(分析方法)
12: ニトロソアミン(発癌性物質のひとつ。口に入れるもの)
13: 匂いを嗅ぐ系ボードゲーム、化粧品、味覚に関するゲーム
14: トランポリン系

まあこれを見ると、匂いを嗅がない系のボードゲームであれば、関係しそうなのは1, 2, 3, 6, 9~11くらいかな、となるでしょう。
実際その通りなんですが、6のラベルの規定(かの有名な3歳児以下絶対禁止マークがこれですね)は今は別のpartのところに書いてあるので、
このpart6自体は欠番になっています。
それはいいとして、「EN71-2:2011+A1:2014」みたいに、[2011+A1:2014]とかよけいな何かがくっついたりしてますが、これは規制文書のバージョンです。割と頻繁にアップデートがかかるんですね。とりあえず上記のは2017年現在での1, 2, 3, 9 の最新版です。

いまどの文書が最新かというのは調べ方はいろいろありますが、とりあえずは英国規格協会の規制文書販売サイト(「販売」!)
https://shop.bsigroup.com/
で「EN71-1」とか検索するといろんなバージョンが出てくるので、名前からして最新、というものをピックアップすればよいです。
ちなみに上記の通り英国では公の組織がくそ高いお値段で売ってる一方、「EN71-1 PDF」とかで検索すると、なんか普通にダウンロードできたりするんですが、これは別にいいんでしょうか本当はよくないんでしょうか。民間の文書なら明らかに良くないわけですが、でもこれEUの規制文書だしなあ。日本で言えば内閣府令が3万払わないと読めないみたいなやつでしょ? それはどうなんだ。

ところでチェックする対象となる指令は本当に2009/48/ECだけでいいんでしょうか。実際の所よくない場合があります。巨大な音を出したり鉛的な金属を使ってそうだったり、電気仕掛けだったり(RoHS!)、まあ諸々の理由がある場合、それ用の指令も満たす必要があります。でもまあ、いわゆるごく普通のボードゲームであれば、2009/48/ECだけでいいんじゃないでしょうか。この点についてはまたあとで触れます。

とりあえず自己宣言書の話は終わったので技術文書のほうにいきましょう。
前掲「Toy Safety Directive 2009/48/EC Technical documentation」に説明されている(特にp18-19の表とそこからのリンク)ので、それを読めばいいんですが、

検査機関に全面的にお願いするのではなく概ね自分でなんとかすることに決めた場合、技術文書というのは以下のものを含んでる必要があります。
・デザインと製造に関する詳細説明。各コンポーネントのリスト(ボードゲームの説明書に書いてあるやつ)、そのリストされた物品のそれぞれについて、材質とか、あとケミカル的な要素を含む場合は安全性に関するデータシートとか。説明書自体もこれに含みます。印刷所に出してる場合は印刷所に出した仕様とか。
・安全性評価シート。これは前述のhobbycraft.co.ukが実例を用意してくれています。たいへんわかりやすいのでありがたく使うとよいです。http://www.hobbycraft.co.uk/supplyimages/WF1041/toysafety-assessmenttemplate.xls
・製造場所と保管場所の住所。立ち入り検査するためでしょう。
・自己申告書のコピーも技術文書に含めます。
・検査機関も使ってる場合は当然、検査機関によるOKとかレポートとか、あと検査機関に提出したものとか。
・適合性評価について、実施した手続き(デザイン編)。
・適合性評価について、実施した手続き(生産編)。

技術文書の書き方は、玩具以外のCEマーキングについてならば、日本語でもいろいろな情報があります。
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/reports/H25_sc_tyousa4.pdf
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07001771/cemarking_201403.pdf
上は経産省、下はジェトロの文書です。基本的にこのひとたちは玩具などというどうでもいいものには振り向いてくれないんですが、それでもジェトロの文書の37頁から39頁は、だいたいどういうものを用意すればいいか書いてあるので読むといいでしょう。

でもってこの規制の話全体の本編が「適合性について、実施した手続き(デザイン編)(生産編)」です。ちなみに、印刷所とかに生産(でもデザインでも)を丸投げした場合でも、このドキュメントを製作する責任はあくまでも依頼者側にあります。
デザイン編では、生産者は
・必要な要件がどれであるか同定する
・適切な分析とリスクアセスメントを行う
必要があります。
生産編では、生産者は
・それに沿うことによって生産物が法の要求を遵守している、生産プロセスがそのようなものであることを確保するために必要なあらゆる手段を取り
・詳細なテストとコントロールを行い
・製品のアウトプットが要求通りのものになっているかモニタする
必要があります。
当然、その中で、ブツがまともであることを確認するために行ったテストのレポートも、ドキュメントの一部として必要になります。

このふたつのうち、デザイン編はそれでもがんばって書こうという感じの起きるものですが、生産編はどうしたもんかって感じが漂います。生産管理がしっかりしていれば、仮に事故が起きてリコールになった場合でもリコールの範囲を特定できるが、そうでなければ全部リコールになるのだ、みたいなことが前掲のガイダンスに書かれているんですが、もうこの記述自体が、同人ボードゲームなどというものを全く想定していないことを顕わにしているわけで。こっちは一回500部刷ったら次の刷はどんなに早くても半年後だよ、というね。どんな小さなリコールだって500個ってこたないだろうと。まあそんな訳なので、第何刷かをパッケージにきちんと記載するということをデザイン的に確保した上で、
「刷ごとに、いつ刷るか、自分で組み立てるならどこのパーツをどこからいくつ買って作るか、印刷があるならどこの印刷所に投げたか記録して保存する」
「刷と刷の間は最低3ヶ月あけることにより、ごっちゃになることがないようにする」
「印刷所を使う場合、刷り上がったものについては2~3個ランダムサンプリングで開封し、清潔さのチェック、要求仕様通りであることの確認、物理的形状に危険の無いことの確認を行う」
「EN71-2/3/9の対象物をパーツとして含む場合、パーツの供給元から証明を受け取るか、あるいは自ら検査機関にかけてチェックする」
あたりを書いておけばいいんじゃないかと。

ということで生産編はてきとうにお茶を濁してデザイン編です。
デザイン編でまずやるべきことは、まず自分の作るものがEN71-1/2/3/9以外の対象に明らかにならないこと、また2009/48/EC以外の対象に明らかにならないことを確認し、それを記すことです。これは材料上のコンセプトとプレイ上のコンセプトを決めてしまうことでわりあい容易に達成できます(シュリンクとか、駒を梱包しておくビニールとかは、一回開封したら捨てるものであることを前提として、規制対象外になります)。
・比較的高度な算術や推論を要する知的なボードゲームであり、8歳未満の児童が遊ぶには明らかに適さないものにする
・電気的なものは使わない
・粘土とかそういう引っ付くものは使わない(ゲーム上使う場合もコンポーネントには含めず、ユーザに用意させる)
・嗅いだり口に入れたりとか論外
・鉛筆とかクレヨンとかも同様
・体(とくに頭)なにか近づけたり巻いたり着けたりとかしない
・原則として印刷された紙(ニスまたはポリプロピレンのコーティングを含む)と厚紙のみを用いる
・補助的に、ガラス、木材(ペイントを含む)、アクリル樹脂、ユリア樹脂を用いる(この辺は増やせば増やすだけ検査が面倒なので注意)
・長辺が10cm未満のジップロック袋は用いてよいが、10cm以上のものは使わない(というかジップロックは入れない方がいい)
・巾着袋はできれば入れないほうがいい(紐の長さに関するテストが必要)。チット引きをやる場合でも、外箱を使わせるか、紐の無い袋を用いたほうがベター。
・金属は一切使わない(説明書は規制の対象に含まれないが、コンセプトは貫いたほうがいいので、ステープラーも使わない)

特に、一切が紙と厚紙だけでできているように設計されていると、ほぼ何も検査しなくてよくなるので、話がとても楽になります(紙のコーティングに何を使ったかと、インクが何インクであるかを聞いておく必要があるかな、くらいですかね)


上記のコンセプトを決めることで、なにゆえ2009/48/ECだけでいいのか、なぜEN71-1/2/3/9だけでいいのか、ということを書くことができます。
ということで書いてみましょう。

2009/48/ECは「ニューアプローチ指令」というものの一部です。さっきのジェトロの文書のp.10-11に、ニューアプローチ指令の一覧がありますので、この中で自分のプロダクトが明らかに2009/48/ECのみ適用で問題ないことを示しましょう。

1. 2009/48/EC 玩具安全: 対象
2. 89/686/EEC 身体保護用具: 明らかにボードゲームには関係ない
3. 90/385/EEC 埋め込み式農道医療機器: 明らかにボードゲームには関係ない
(中略)、
16. 2006/42/EC 機械: 機械的な機構を含まないタイプのボードゲームなので関係ない
17. 低電圧電気機器: 電気機器を含まないタイプのボードゲームなので関係ない
(後略)

こんな感じのことを英語で書いておくとよいと思います。同様のことをEN71-nについてもやりましょう。

それではEN71-1/2/3/9について見ていきます。

EN71-1は8章+Appendixの構成ですが、基本的には第4章、第6章、第7章だけ見ていればよく、残りは必要に応じて参照すればよいです。4章が一般的な要件、6章がパッケージに関する要件、7章が警告表示に関する要件です。

4.1 物品の清潔。検品のときのチェック項目に入れましょう。
4.2 組み立て玩具。ボードゲームでも型抜きとかこの厚紙とこの厚紙を組み合わせてくらいのことはやりますが、ここで書かれているのはそういうことではなくもっとがっちりしたおもちゃのことなので、ボードゲームである限り通常は無関係です。無関係だと宣言しましょう。
4.3 プラスチックシート(ビニールシート)。基本的には(裏張りされてない)ビニールシートについての要件ですが、10cm x 10cmより大きいプラスチックシートについては規制の対象になります。ということは、ジップロックも規制の対象になるわけですね。10x10というのが面積を言っているのかちょっとでもはみだしたらということなのかは不明ですが、ここではより厳格に、長辺が10cmを超えるそういうものを入れないようにしましょう。で、入ってません、と宣言します。
4.4 トイ・バッグ 開口部が38cm(直径ではなく周辺の長さです)以上の場合、ちょっと面倒なことになります(かぶって窒息しないのが眼目なので、不織布みたいに空気を通す素材でできてればOKです)。そういう大きい巾着袋などは基本用意しないようにして、その旨を宣言しましょう。3歳以下の子が使う場合は巾着袋の紐の長さも問題になりますが、3歳以下の子のことは今は考えないことにしているので、紐の話は忘れてよいです。
4.5 ガラス ガラスのマーブルを使う場合は落下試験と耐衝撃試験ををやる必要があります。ガラスは化学試験をやらなくていいという意味では優秀な素材なので、落下試験をやる価値はあります。落下試験は、4mm厚の鉄板の上に、ショアA硬度(という指標が世の中にはあるんですが)70-80のゴム2mm厚を敷いて、その上に80-90cmの高さから5回落としてなんともないことを見る、みたいなことをやります。耐衝撃テストは、鉄板の上にテスト対象物の一番もろそうな箇所を向けて置いて、その上に高さ1mのところから1kgの分銅的なものを落っことす、みたいな感じです(8.5, 8.7節に記載)。テストしたならそのテストの詳細な記録、ガラス入れないならその旨を書きましょう。
4.6 伸びる系の物品。入れないようにしましょう。
4.7 カドとかジョイントとかファスナーやらネジやら締め付け系の物品。カドは金属やガラスのときに問題になりますが、ボードゲームでガラスったらおはじきとかそういうやつですから問題にはならないでしょう。というようなことを書きます。
4.8 先端とか金属線。入れてませんね。
4.9 傘の先みたいな突き出た形状のパーツ。ボードゲームでたまにそういうの使うことが無いとは言いませんが、ここでは無いものとみなして次にいきます。ある人は記載に従ってテストがんばりましょう。
4.10.1 スライドしたり折りたたんだりする機構。ボードゲームのボードは四つ折りだったりしますが、ここで想定されているのは折りたたみ乳母車てきなやつなので、我々には関係ありません。
4.10.2 運転に関する機構。関係ありません。
4.10.3 ヒンジ。ごくまれにヒンジが出てくるボードゲームもありますが、まあ関係ないでしょう。
4.10.4 バネ。これもまれに出てくるゲームがありますが、関係ないことにしましょう。
4.10.5 お口に含むもの。含めてはいけません。当然っちゃ当然ですが、お口に含むものについては、検査内容はかなり厳しくなります。
4.12 風船。入れないように。
4.13 凧とかその他空を飛ばす玩具の紐。これは紐ではなくて凧が主眼の項目なので、関係しません。
4.14.1 子供が中に入れる系のでかい玩具。関係ないですね。
4.14.2 マスクとヘルメット。関係なし。
4.15 子供の重量を支えられる系の玩具。すごい長い節ですが言うまでも無く関係ありません。
4.16 重い、動かない玩具。関係ないです。
4.17 射出系。ボードゲームで射出機構があるものはたまに見ますが、そういうものをエッセンにもってくのはやめましょう。
4.18 水がらみのおもちゃ、(水を吸ってとかで)ふくらむおもちゃ。関係ございません。
4.19 撃発雷管…えっと、何ですかそれ??
4.20 楽器系。でかい音がなるやつ。無くもないですけどねこれも。まあやめといてください。
4.21 熱源(非電気的な手段による)を含む玩具。関係あるわけ無い。
4.22 小さいボール。久しぶりに関係あるやつです。直径4.45cmの孔をくぐれるボールが該当します(ただし、ぬいぐるみ的なふにゃけたやつは対象外らしい)。なんか色んなテストをしないといけなくなるので、どうしても作品上必要でない限りは、ビー玉とか入れないほうがいいと思います。
4.23 磁石。これも時々つかうゲームありますが、磁石入れてると磁石に関する検査が必要になりますので、入れない方が楽です。
4.24 ヨーヨー。これを使うボードゲームはさすがにないですよね。
4.25 食玩系。食玩は止めましょう。

以上が4章です。チェックシート形式で関係ないことを証明していくとよいと思います。
5章は3歳未満向け玩具用の特別考慮。無関係。

6章はパッケージ。ただし、シュリンクとか、すぐ捨てちゃうやつは規制の対象外です。下記の通りで、まあ4章で触れたことと基本同じ。あと外箱はだまって普通の紙箱にしときましょう。そいで、この規制は適用対象外、こっちのはごらんの通り(写真か何かを持ってくる)満たしてます、みたいにやっていきます。
a) (10x10cm以上の大きさの)プラスチックシートとかバッグについては、一定以上の厚みを持ってる必要があり、テストの対象になります。避けましょう。
b) 38cm以上の大きさのビニール(プラスチック)バッグについては、紐で縛る巾着袋形式を取ってはいけません。
c) 球体状のパッケージ(ガチャみたいなやつ)については、ボールに関する規制がそのまま適用されます。
d) パッケージに玉みたいのがくっついてる場合も同様。
e) 3歳以下向けのおもちゃの場合は、半球状のパッケージをしていたら、3歳向け半球に関する規制がそのまま適用。

7章は警告表示。パッケージと説明書に書く必要があります。売る国の言葉で書かれていないといけません。ドイツで売るならドイツ語が必須ということになりますね(ドイツ語の説明書も必須ということに)。その上で、ここに書いてあります、あるいはこういう理由で書かなくていいのです、と宣言していくことになります。
7.2 三歳未満絶対禁止マークと「“Warning. Not suitable for children under 36 months. Small parts”」とかの表示に関する規定。ほぼあらゆるボードゲームに書いてありますから、そのまままねして書きましょう。
7.3 ゴム風船に関する警告表示。ゴム風船は入ってないはずなので関係ないです。
7.4 水かんけいのおもちゃに関する警告表示。関係なし。
7.5 機能玩具、おもちゃのミシンみたいに実際になにかしら出来ちゃう系のおもちゃ、に関する警告表示。関係ないですね。
7.6 先端とかがある場合の警告表示。ないようにしましょう。
7.7 射出がある場合の警告表示。ないようにしましょう。
7.8 マスクとかヘルメットがある場合の警告表示。ないようにしましょう。
7.9 凧の警告表示。かんけいないです。
7.10 ローラースケートとかその手のやつの警告表示。その手のやつじゃ無いです。
7.11 ゆりかごとか檻とかにくっつけたりする系のおもちゃに関する警告表示。何を言っているんだ。
7.12 液体のつまったおしゃぶりに関する。本当に訳はこれでいいんだろうか。いずれにせよ全く関係ない。
7.13 撃発雷管に関する。だからなんだそれは。
7.14 楽器系に関する。楽器系じゃ無い。
7.15 おもちゃの自転車に。じゃない。
7.16 子供の重量を支える系のあれに。あれじゃない。
7.17 モノフィラメント・ファイバーで作られる玩具に。おお、シャドウラン!(ちがいます) 
7.18 おもちゃのスクーターに。
7.19 木馬系。
7.20 磁石とか電気をつかう実験用おもちゃ。そういうものでないようにしましょう。
7.21 電気ケーブルの入ったおもちゃ。これも関係ないようにしましょう。
7.22 紐とかが入ったおもちゃで、1.5歳から3歳向けのもの。向けのものではありません。

8章はテスト方法なので無関係です。

続いてEN71-2. 可燃性チェック。これも要件は4章に書いてあります。
4.1
・セルロイド禁止(ただしニスとかペンキとか糊とかで使われてる場合と、卓球のボールで使う場合だけは許す)
・セルロイドと同じ感じで燃えるようなやつは禁止。ここが重要でしょうね。セルロイドと同じ感じで燃えないためには、(用途がニスとかでなくてたとえばダイスで)プラスチックを使ってる場合、それが何の素材であるか把握し、書いておく必要があります(これはユリア樹脂だからそれほど燃えないんです、みたいな)。ここがプラスチック駒の難点。木はまあ木なので、セルロイドと同じような感じではさすがに燃えません(MDFはちょっと微妙。使わない方が賢明でしょう)。
・ベルベットみたいに毛羽立った素材はチェックの対象になります。使わないように。
・当然ですが燃える液体とか燃えるガスとかそういうのについては厳格に使用量規制があります。が、ボードゲームについては関係ないです。
4.2 頭にくっつける系のおもちゃにおける特殊要件。まあバンドを頭に巻くゲームとかありますけどね。
4.3 コスプレ衣装とか身につける類いの。かんけいないです。
4.4 子供が中に入って遊ぶ系。かんけいないです。
4.5 ぬいぐるみ系。まあ関係ないでしょう。

そしてEN71-3.化学検査ですね。ここで見るべきは4章ではなく、対象を書いた1章です。
「予期される使い方において、吸ったりなめたりしゃぶったり長い時間肌と接触したり、そういうようなことが無い玩具は、本文書の対象外とする。」
「ただし、6歳までの子供を対象年齢に含む場合、6歳までの子供はそういうことをするもんなので、対象に含む」
ボードゲームはもちろん吸ったりなめたりしゃぶったりするものではありません。駒を取って置くか、カードを手に持つくらいですから、長い時間肌と何かが触れる、というほどのこともないでしょう。そしてエッセンに持って行くようなボードゲームといえば普通は8+かもっと上です。なので、わたくしはEN71-3、スキップしてかまわないと考えます。
(なお、対象年齢に関する考え方として、欧州ではCEN CR 14379という文書が定められているんですが、すくなくともこの文書の2002年版では、3歳までのことは色々書いてあっても、6歳という判断基準については何も書いてありませんでした。どうすんだこれ。あんまり役に立つとも考えづらいですが、米国の同様の文書である、 CPSCという機関が出してるAge Determination GUidelinesには、そのへんの基準が書いてあります)

最後にEN71-9. 有機化合物。ここではチェックの対象となる項目および材質が26組、表の形で挙げられています。★と☆のやつだけ気にする必要があります。
1. 3歳以下で口に含む以下略。
2-4. 3歳以下が手に取って以下略。
5-6. 3歳以下略。
6-9. 口に含む系おもちゃのマウスピース。
10. 水を吸って膨らむ系
11-13. 口とか鼻とかにくっつける系のおもちゃ
14-15. 子供が中に入れる系
☆16. おもちゃとして売られてたりおもちゃの中に含まれる、お絵かき系のもの(くれよんとか)。これはぼーっとしてると引っかかりますので、そういうものが必要な場合はユーザーに用意してもらうようにしましょう。
★17. おもちゃのコンポーネントで、触れる部分にあるもの。インドアユース。材質:木材。はい。ここで木材が引っかかります。これってシックハウス症候群的な話が意識されてるはずだから、ボードゲームの駒みたいのは気にしなくていいと思うんですけど、まあ言っても仕方ないことです。主に防腐剤関連でいくつか指定化学物質があり、何かしらの検査結果の記載が求められます。化学物質含有に関するテストなので、ちょっと素人の手には負えないですね。ちなみに定義上、紙は木材ではありません。
18. 17のアウトドア版。
19. にせ食い物。
20. 痕を残すための堅いもの。
21. おもちゃの中の、さわれる液体。色つき。
22. 21の色なし版
☆23. 粘土とか。粘土ゲームの粘土はユーザに用意してもらいましょう。
24. 風船をつくる化合物。
25. にせタトゥー
26. にせジュエリー。

はい。以上でございます。前掲のEU謹製解説文書にドキュメントのサンプルが用意されていますが、基本的にフォーマットは規定されてません。思いの丈を英語で書きましょう。それではがんばってください。




# by Taiju_SAWADA | 2017-08-03 01:09 | 雑題

日本でアバロンヒルのゲームが店に並んだのはいつからかしら:中間報告(追記あり)

(追記: 20161223)

このサイトは主としてドイツゲーム以降のファミリーストラテジーボードゲームを追いかけるサイトなのですが、このファミリーストラテジーには源流がいくつかあって、そのうちの一つとして、アバロンヒル社が始めたボード・ウォーゲームがあります。どのような意味で源流になっているかというと、商業的に次々と出版されるゲームを取っ替え引っ替え遊んではゲーム自体を鑑賞するホビー、としてのゲーム趣味、あるいはホビイストとしてのゲーマーというのは、ここに起源を求めることができるわけです。

そういえば、以前moon Gamerで「レイメイ期のウォーゲーム (http://moon.livedoor.biz/archives/52401074.html )」という記事がありました。大雑把に要約すると「1972年に、ホビージャパン誌界隈を中心として、プラモデル等を用いたミニチュア・ウォーゲームのブームがあった」という内容です。そこでは(日本においても)ミニチュア・ウォーゲームの受容がボード・ウォーゲームの受容よりも先行していたことが示唆されているわけですが、そうすると気になるのが、それでは日本にボード・ウォーゲームが入ってきたのはいつ頃だったのか、という点です。

実のところ、単に「入ってきた」=日本国内にボード・ウォーゲームが存在していた、というだけでよければ、既に1960年代に存在していたことは周知の事実になっています。というのは、今でも続いている著名なボード・ウォーゲーム雑誌である「Strategy & Tactics」は、60年代、日本在住のアメリカ人(確か米軍関連の人だったはず)が編集していた時期があるんですね(※)。とはいえ今回の話は「日本における受容」の文脈での話ですから、これをもって「入ってきた」とは言えないでしょう。こちらの主要な関心は、いつ誰が日本で初めて商業的にボード・ウォーゲームを売り出したか、という点にあります。

(※【追記】 @alpharalpha_jjさんが、上記の点について「S&Tは67年1月に、東京で勤務していた米空軍のクリス・ワグナー軍曹が創刊した」と、証跡付きで正確な情報をコメントされています。 https://twitter.com/alpharalpha_jj/status/809429789694005248 および https://twitter.com/alpharalpha_jj/status/809434782534758401 )

諸々の雑誌等で見る限り、70年代当時の主要なプレイヤーとしては以下の出版社やショップがあったようです。
・ホビージャパン (お馴染みの例の会社。アバロンヒル社のゲームを輸入していました)
・モデルエース (久が原にあったホビーショップ)
・木屋通商 (輸入商社で、アバロンヒル社のゲームを輸入していました。後に、同社のコンピューターゲームの販売を手がけるようになります)
・タイムマイザー (輸入商社【※次の追記を参照】。「ホビーネットワーク」のブランド名で、ミニチュア・ウォーゲームのルール販売やボード・ウォーゲームの輸入を実施)
・えんどう (笹塚のホビーショップ【※次の追記を参照】。現在は通販専門店「ホビーセンターえんどう」。SPI社のゲームの輸入販売等を行ってた模様)
・キディランド (原宿と梅田に旗艦店のある玩具チェーン店。一時期は「日本で一番ウォーゲームを売る店」だったとのこと)

(※【追記】実際にタイムマイザーにいらしたという @hyuga55032216 さんから、タイムマイザーはホビーセンターえんどうの社長が設立した会社である、とコメントをいただきました。他に「ミニチュアゲームのUさん、カデーに属していたTさん、インディアンオーシャンアドベンチャーを訳されたAさん後にコマンドマガジンの編集長」が所属されていたとのこと。 https://twitter.com/hyuga55032216/status/809593740662685696 タイムマイザーは、後にツクダホビーからゲームを出版する岡田厚利さんも所属されていたゲームクラブ"Atelier"のデザインによるミニチュアウォーゲームルールブックを販売したりもしています)

(【追記】また、後藤信二さんから、積極的にシミュレーションゲームを取り扱っていたショップとして、他に蒲田「ベンケイ社」がある、とコメントをいただいています。「モデルエース、エンドウ、ベンケイは、同人系のゲームも扱っていて、そういうの作ってた人たちがバンダイやツクダのデザイナーになりました」とのこと。 https://twitter.com/gto246/status/809560537012965376

これらのプレイヤーのうち、タイムマイザーと木屋通商については、ほとんど何の情報もありません。えんどうについても何の情報もありませんが、こちらはまだ店が通販専門店として現存しているので、伺ってみるという選択肢は取れそうです。一方、最も簡単に情報が手に入るのは言うまでもなくホビージャパンで、何せ毎月雑誌を出していて、国会図書館に納められています。田村寛さんの調査によれば (http://legalalien.sakura.ne.jp/wiki/index.php?卓上ウォーゲーム/「ホビージャパン」卓上ウォーゲーム記事一覧 )、ホビージャパンがアバロンヒル社(以下AH)のゲームの輸入販売を予告する広告を初めて出したのが「ホビージャパン」誌の75年4月号です。わたくしもヤフオクで買って確かめたところ、確かに1頁使って「6月全国一斉発刊予定」と書いてあります(取扱タイトルはTactics II、Gettysburg、KRIEGSPIEL、D-DAY, PanzerBlitzなど)。ということで、ホビージャパンについてはこれでよいでしょう。

次に情報が手に入りやすいのはモデルエースなんですが…。まずは「シミュレイター」誌2号(83年1月)に掲載されている、モデルエース店長である矢木沼佐一郎さんのインタビューを見てみましょう。

10年くらい前かな、東京のキディランドで天井からぶら下がっているAH社の『ドイツ・アフリカ軍団』が目に入って、「うん、これは面白そうだ」と感じたのです。
その時はそれっきりだったのですが、それと時を同じくして、経済関係専門誌にAH社のゲームが、ビジネス新入社員育成教育用として紹介されているのを知りました。それですぐにその輸入商社に出掛けていったのですが、(中略)そのゲームの中からいわゆるウォーゲームといわれるものの3店『フランス1940』『クライグシュピーゲル(※原文ママ)』『パンツァーブリッツ』をほんのすこし見本仕入したわけです。ですから、おそらくこれが模型店の店頭にならんだ日本で最初のウォーゲームのはずです。
以後、AH社の内のウォーゲーム関係を主体に扱う代理店、ホビージャパン等があらわれ、流通機構がスムーズになったので、「ホビージャパン」1972年6月号に初めてウォーゲームの広告をのせたわけです。


というわけで、モデルエースがAHのゲームを扱い始めたのは1972年6月です。という風にはいかない事情があってですね。というのは、ヤフオクには出てなかったんで国会図書館行ってホビージャパン72年6月号を確認したんですが、モデルエースの広告、どこにも載ってないんです。ヤフオクで買えた中では、74年9月号にモデルエースの広告は載っていますが、ゲームの広告ではありません。ゲームの広告が載っているのは74年11月号(10月号は売ってなかったです。もしかしたら10月号にもあるかも)。その広告の文面は以下のようになってます。

アバロンヒルゲームは極めて高度な知識と頭脳を要するゲームです。その高度なプレーにより、戦略的訓練を培うために、アメリカのウェストポイント士官学校でも実際に使われていたり、アメリカ各地の軍人クラブでも広く利用されています。なおゲーム説明は英文です。
(A Bは日本語説明書を作る予定)


引用文中のAはパンツァーブリッツ、Bはフランス1940です。もうひとつCというのが広告に載っててこれがKRIEGSPIEL(広告では「クリーグスピェール」)。広告ではこのCのクリークシュピールが入門用という扱いになってるんですが、入門用のゲームには日本語説明書を作らないというのはどういう目論見なんでしょうか。いずれにせよこの段階ではまだ日本語訳がなかったわけですね。翌年75年1月号の広告になると、和訳ルールが販売されていることが確認できます。

74年11月号で注目すべきことはもう一つあります。モデルエース以外にも、ウォーゲームの広告を載せている店が2つあるんです。ひとつはマルケイ(千葉のホビーショップ)で、取り扱いゲームは「KRIEGSPIEL」「PanzerBlitz」「France 1940」。和訳なし。そしてもうひとつがポストホビー。言うまでもなくホビージャパン社の店です。そして取り扱いゲームが…「KRIEGSPIEL」「PanzerBlitz」「France 1940」。一緒じゃん! 更に言うと、この2つのどちらも、74年9月号の段階では、広告の中でアバロンヒルの話は一切していません。つまりまあ、先ほどのインタビューの内容と突き合わせて考えると、みんな同じ商社から仕入れていたんじゃないか、と考えられるわけです。この商社の名前がわかればいいんですが(それが木屋通商だったりタイムマイザーだったりしたら面白いんですが)、残念ながら記載はなく、手がかりは「経済関係専門誌に記事が載ってた」ということだけです。アバロンヒルの当時のゲームで新人社員研修に使えそうなゲームというと、おそらく「Business Strategy」(1973)と思われるので、73年か74年(タイミングから考えるとおそらく74年)の記事ではないかと思われます。これについては後で調査して、奇跡的に何か解ったら報告します。

そして最後にキディランド。キディランドについては、以前ボードゲーム読書会で高梨俊一さん(バンダイ「スペースコブラ」、アドテクノス「レッドサン・ブラッククロス」等の作者【後者は共作】で、パラノイアの校閲をお願いしています)にインタビューした際(私信:すみません今年中にテープ起こしします)、「1974年の早い時期にキディランドでウォーゲームが並んでいた。1973年のクリスマスシーズンからの取り扱いではないか」とコメントされていて、たしかに前述のモデルエース店長の発言とも整合します。

なお、高梨さんは74年の春にパンツァーブリッツ、夏にKRIEGSPIELをおそらくポストホビーで【高梨さんから訂正:キディランドでとのこと】購入していて、秋に【同年末か翌年初にポストホビーで「ルフトバッフェ」を購入し、】「他のゲームは無いか」とポストホビーの人【ちなみに錦糸町店とのこと】に尋ねたところ、モデルエースを紹介され、【75年に行ってみると】そこにはSPIの作品が各作品1部ずつ並んでいた、とも仰っています(更に、このSPIの作品を仕入れさせたのは、「当時イエナ書店でミリタリ関連書を扱っていた(※)」井出隆弥さんだった、とも【仕入れさせたというよりは委託というか持ち込み販売的なものだったようですが、契約上の構造は不明】)。雑誌に載せられるほど量を仕入れられるのは前述3作品だけとしても、店頭で1部ずつサンプル的に入れて売る、というのは個々にやっていたものと思われます。あるいは前述3作品にしても、パイロット的に店舗で数ヶ月扱ってから雑誌に広告を出した可能性が高いですが。

(※追記。前掲moon Gamerの記事では、「新宿でミリタリーフィギュアや軍事関係の書籍を販売するショップを経営なさっていた」と紹介されています。このショップは「日本史料研究会」で、70年代後半のホビージャパン誌に広告を出しています。日本史史料研究会とは無関係ではないかと思われます。DOBUROKU-TAOさんによる記事[http://bonkura-otaku-life.seesaa.net/s/article/390863511.html]を見ると、井出さんが1971年の時点で日本史料研究会に在籍していたことはほぼ間違いなく、一方で井出さんがイエナで仕事をされていたという証言も複数あります。移籍されたのか委託業務として行われていたのか…※※)

(※※【さらに追記】先ほどの @hyuga55032216 からこの件についてもコメントをいただきました。おそらく、イエナで勤務していた井出さんは並行してサークル「日本史料研究会」を主宰していて、この日本史料研究会が、1975年頃にモデルエース店舗を部分的に間借りする形でSPIのS&T誌50号[Battle For Germany]等を販売開始、その後70年代後半に西新宿でショップを開店、という流れと思われます。ショップ開店後イエナとの関係がどうなったのかはまだわかりません)

なお、この件について、キディランドに問い合わせを行ってみました。梅田店にいた方のご記憶だと76年頃から並べだしたとのことでしたが、これは梅田店での取扱が始まった時期であるものと思われます。当時のキディランドはアメリカやヨーロッパに直で買い付けに行っていたようで、またミリタリー物のプラモデル等も豊富に取り扱っていたとのことなので(72年夏にホビージャパンが主催したミニチュア・ウォーゲームのデモンストレーション会は、キディランドで行われています)、バイヤーが買い付けに行った先のアメリカで、興隆するAH社ウォーゲームを見て仕入れてみた、ということなんじゃないのかな、と推測しています。(これも高梨さんによれば、当時の原宿キディランドは1フロアが輸入玩具専用フロアで、その更に上のフロアにAHのゲームのコーナーがあった、とのこと)

ということで、以上中間報告でございました。木屋通商とかタイムマイザーとかどうやったら情報拾えるんでしょーか。

※ぜんぜん関係ない余談ですが、ボードウォーゲームの専門誌というのが80年代前半にいくつか出ておりまして、代表的なものが「タクテクス(ホビージャパン)」「シミュレイター(レックカンパニー→翔企画)」「オペレーション(ツクダホビー)」の3つです。これらのうち、本としての作りがしっかりしているのはタクテクスですが、当時の雰囲気を知る資料として役に立つのは(レックカンパニー時代の)シミュレイターですね。普通は活字化されると人格が漂白されるものですが、初期シミュレイターには漂白前の面倒なプレイヤー達の面倒な言説がそのまま載っています。

# by Taiju_SAWADA | 2016-12-16 00:34 | 雑題

ユール「ハーフリアル」邦訳書の発売に寄せて

イェスパー・ユール「ハーフリアル ―虚実のあいだのビデオゲーム」が、ニューゲームズオーダー社から9月末に発売されます(PDF版は先行で発売済)。わたくしはこの翻訳本の企画者として諸々の作業に関わっておりまして、なんでこの本の翻訳を企画したのか、ということについて少し書かせていただきたいと思います。

以前「捏造ドイツボードゲーム現代史」というプレゼンを行った時にも触れたのですが、そもそもわたくしには個人的に、ゲームについて喋りたいという願望があります。現にゲームというものは存在していて、更に言えば面白いゲームと詰まらないゲームが存在していて、面白いゲームには面白いゲームにおける、詰まらないゲームには詰まらないゲームにおける、なにがしかの傾向もある。そうであるのにもかかわらず、喋るための十分な言葉は用意されていません。日本語www界隈には「小学生並の感想」というスラングがありますが、ゲームについて喋る時には小学生並の語彙しか存在しないので、小学生並の感想ではない事を喋ろうと思ったら、毎回自分で言葉を一から作り上げていかないといけないわけです。もちろん、中学生以上の語彙が用意されている他分野から言葉を借りてくることはできますが、その場合には、借りた言葉がなぜ適用可能かということについて、根拠の説明を毎回自分で行わなければいけません。

ボードゲームの場合はビデオゲームと比べてさらなる困難があり、我々には言葉が無いだけでなく個々の作品を位置づけるための歴史もまともに存在しないのですが、それについては「捏造ドイツボードゲーム現代史」で既に喋ったので置いておくとして、今回は言葉の話です。先ほどは小学生並の語彙しか存在しないと書きましたが、実際のところ現代においては、「あるものがビデオゲームであるとはどういうことなのか。どういう場合にビデオゲームは楽しいものになるのか。ゲームのルールはどのような仕方で機能するのか、またルールはどのようにしてプレイヤーに楽しみを与えるのか。どのようにして、そしてなぜ、プレイヤーはゲームの世界を想像するのか」という動機に基いて、ゲームについて調べ、よその分野から調達した語彙をゲーム用に調整し、また自らも概念を考え出して、とゲームについて考えるための様々なパーツを生産する仕事に従事する「ゲーム研究者」と呼ばれる人々が何人も存在しています。

そして実際にゲーム研究者の方々の仕事は、我々のごとき普通にゲームを考えたい人々が手頃に使用できそうな成果が生まれる程度まで進んでいます。進んでいるんですが、ここで問題になるのが例のバベルの塔です。突然ですがここである一人のついったー民の荒れた呟きをご覧ください。

「ジェスパージュール(※)の主著も未訳だしサットンスミスも軒並み未訳。ジュールは最近の人だから仕方ないがサットンスミスの未訳って絶望的なんじゃないか。ルールズオブプレイの和訳は奇跡と言えるかもしれない」
「Sutton-Smithすら邦訳のない日本のゲーム屋まじで仕事放棄しすぎだと思うんですけど」
「同人ボードゲーム製作をここ数年止めてるのは優先度の都合です。あのゲームも未訳、ジェスパージュールもサットンスミスも未訳、純草場オーラルヒストリーも手付かず(これはいたるさんがやってくれるらしい)、増川宏一も松田道弘も安田均も手付かず(SNEの誰かやってよ)、でゲーム自作ってもねえ」
(※イェスパー・ユールの英語読み)

誰も! 翻訳を出さないから! 英語で読むしか無い! いや読むけど、読むけど! 俺が欲しいのは「俺が手頃に使用できそうな成果」なんであって!

ただわたくしも、このウェブサイト始めたころと違っていい加減おっさんになったので(何せ十五年経ってます)、こういうのは待ってても誰も何もしないものなのだ、ということは解っています。現状の出版状況と一般的な出版社の社員さんのコストを考えれば、普通の商業出版社が出して費用を回収できる可能性はあまり高くないですし。また現在の研究者ワールドにおいて翻訳は直接には業績ポイントにはならない上にゲーム研究だと学術的な出版補助のゲットも厳しそうなんで、学術出版社から出てくることもあまり期待できないですし。上の荒れたツイートとして書いた通り、本来ならゲーム業界が責務として翻訳を出すべきだとは思いますが…まあ現状を鑑みれば妄想以上のものではないですよねそれは。

そういうわけで、自分でやることにしました。

先ほど引用した「あるものがビデオゲームであるとはどういうことなのか。どういう場合にビデオゲームは楽しいものになるのか。ゲームのルールはどのような仕方で機能するのか、またルールはどのようにしてプレイヤーに楽しみを与えるのか。どのようにして、そしてなぜ、プレイヤーはゲームの世界を想像するのか」というのはこのユールの本の冒頭に書かれた文で、この通りの内容になっています。加えて、ビデオゲーム「ではない」古典的なゲームの定義に関する議論と、それを踏まえてビデオゲームがどの点においてユニークなのか、という議論が含まれており、ボードゲームプレイヤーにとっては、展開されるビデオゲームの議論から、ではボードゲーム(古典的なゲーム)というのはどのようなものなのか、ということが逆に照らし出されるようにもなっています。ゲームについて考える・喋るための語彙をつくるベース、という目的において、内容の面でも語り口の簡潔なわかりやすさという意味でも、最も相応しい本のひとつと言えるはずです。無論その語彙は、ゲームを作る上でも大いに必要になるものでしょう(それが「定義を壊すために定義を知っておく必要がある」という使い方なのだとしても)。わたくしはいつでも読みたいときに日本語で読めるようになって大変満足していますので、皆さんも読んで満足していただきたいと思います。



【外部リンク】

読みやすい本ですが学術書である以上は学術的なものとして使える翻訳にしたいということで、翻訳はゲーム研究者の松永伸司さんにお願いしています。原文がそうであるように、誰でも問題なく読めるわかりやすさと学術書としての緻密さが両立された訳文になっています。本のより詳細な内容については、松永さんが紹介を書かれているのでそちらをご覧いただければと思います(http://9bit.99ing.net/Entry/25/)。

また、ボードゲームプレイヤーが読むイェスパー・ユールということで、草場純さんによる読解の録音が「ボードゲーム読書会@高田馬場」で公開されています(http://www.boardgamereaders.com/books/half-real 、現在は4章まで。9月末に最終章まで公開する予定です)。

加えて、購入する前にサンプルを見たいという方のために、ニューゲームズオーダー社のウェブサイトで1章のPDFがダウンロードできるようになっています(http://www.newgamesorder.jp/games/half-real)。
# by Taiju_SAWADA | 2016-09-20 00:20 | 感想・紹介

文化的資産として保存し、広く利用に供することに関する二題、或いは同人誌納本と小出版についてのメモ

今回ボードゲームのことは殆ど…現状では…関係ありません。本当は「関係ある!」って声高に主張したいですし、関係あるようにもしていきたいのでここで書くのですが、とりあえずはボードゲームではなく文書に関する話です。

【この文書はスタブです。あとから色々追加する可能性があります】


* 1 *

別にWebでなんか書いてればよくて、それ以上のことは要らないんじゃないか、というのはそうなんですが、ただWebに書いた文章というのは宿命的に消えていくわけです。いやほんとはそれは宿命ではないような気もするんですけど、ここ20年間の実績を見る限りでは実際に消えていっています。そこ行くと紙に刷った書籍というのは消えないんですね。これは紙という物理的存在の性質によるところも少しはありますが、それよりも、過去数千年に渡ってその時々の文明国が文明国たる証明として維持管理してきた「書籍残すシステム」の存在のほうが大きくて、なので紙に刷っても書籍ではないもの扱いされると途端に保存状況が悪くなるわけで、書籍という体が大事ですね、ということになります。

幸いにして日本も一応いまのところ文明国なので(でも公文書すぐ捨てちゃうし準文明国くらいかなあ)、書籍残すシステムが整備されています。ですので、残すべき文章を作ったら、まずは紙の書籍を作ってこのシステムに載せよう、という話になります。何をもって「書籍」とするかという点については色々な定義がありますが、今回の文脈で言えば、書籍残すシステムが書籍と認めればそれは書籍です。では、日本の書籍残すシステムの要でありますナショナル・ダイエット・ライブラリ、国立国会図書館による定義を見てみましょう。


http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/deposit/deposit.html
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/deposit/pdf/deposit_request_pvt.pdf

【引用】
Q.
どんなものを納めなければならないのですか?
A.
原則として、頒布を目的として発行された全ての出版物です。
図書、雑誌・新聞だけでなく、CD、DVD、ブルーレイ、レコード、楽譜、地図なども対象となります。
また、自費出版でも、相当の部数を作成し配布されているものは納本の対象となります。
ただし、ホチキス留めなど簡易綴じのもの、頒布を目的としないものなどは、納本の対象とはなりません。
【引用終】

この「相当の部数」というものの定義が曖昧なんですが、文化庁の定義では50部の頒布をもって「発行」とする、という定義があり(※)、一方で国立国会図書館に電話で聞いたら「100部以上」と回答があったという未確認の噂もあって(※※)、あまり定まったものはありません。ですがまあ、無線綴じなり上製本なり、本またはブックレットみたいな体で100部刷れば、書籍とみなされると考えてよいでしょう。ISBNが付いているかどうか、というような話は、ここでは関係ありません。

※下記文書の25頁参照。 http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/toroku_seido/pdf/tebiki.pdf
※※ 噂の出処は下記を参照。但しあくまでも噂の域を出ない。 http://srad.jp/comment/2984168

従って、オフセットで100部刷った同人誌は、国会図書館への納本の対象である、ということになります。先方は「保管に適した環境の書庫で、可能な限り永く保存し、利用に供します」と仰ってますので、お手元に100部以上刷った同人誌のある方は、是非とも国会図書館へ2冊納本しましょう。宛先は下記の通りです。いきなり何の前触れも送り状もなく現物をどんと送ってしまっても問題ありません。

〒100-8924 東京都千代田区永田町1-10-1 国立国会図書館 収集書誌部 国内資料課 収集第一係

http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/deposit/images/deposit_02.gif



* 2 *

ということでオフセットで同人誌を100部刷って国会図書館に納本するだけでも充分といえば充分なんですが、それだけでは足りないシチュエーションというのもあったりします。やりたいのが翻訳出版であって、原著者側がこちらに対して会社組織であったり商業出版者であったりすることを求めてきそうな場合とか(しかし立ち止まって考えると会社というのは制度から言えば個人の責任を限定する方向に働くものなので、相手に対して会社組織であることを求めるというのはちょっと不思議な感じもします)。分野によっては、商業出版されることによって社会的に存在が認められた文章として扱われる、ということもあります。そうでないとしても、ISBNを取得して各種データベースに登録することで、当面の社会的な認知と、年を経た後でなお参照されうる可能性の向上もそれなりには期待できるでしょう。あとまあ、これは文書の内容にもよりますが、売る場所が広がる場合もあります(例えばコミックマーケットなど「法人が発行/制作したもの」の販売に制限がある場もあるので、場合によっては狭くもなります)。

つまり、なるべく手間をかけず商業出版者になることで、商業出版のシステムをつまみ食いする、ということが必要になったり、必要とは言わないまでもメリットが大きかったりする場合があります。ということで、手っ取り早くそういうものになるために便利な文献等をいくつか紹介したいと思います。

まず最も重要なのは、ISBN(厳密には、ISBNと書籍JANコード)を取ることです。「書籍を発行するとき、ISBNを付けなくてはならないという法令やルールはありません。ご自身が読者に直接販売・頒布する場合は、コード番号は必ずしも必要とされないでしょう。しかし、その書籍を書店やネット書店等で市販しようとすれば、その取引先からISBNコードを付けることを求められるでしょう。また、図書館を始め書誌情報を作成する方々にとって、ISBNコードは書籍を識別するためのコード番号として重視されてきています。」(日本図書コード管理センター「よくあるご質問」)
ということで、素早く申し込んでしまいましょう。申し込みのときに、ISBNと書籍JANコードあわせて3万円くらいのお金がかかります。なお、このコードの有効期限は3年で、更新時にもお金がかかります。

http://www.isbn-center.jp/regist/index.html

なお、ISBNのついた本には、ISBNと書籍JANコードの2つのバーコードをつけないといけないことになっています。バーコード作成用ソフトは市販でも色々ありますが、無料バーコード作成サイト(※)で作ったバーコードでも別段流通に影響はありません。

※例えば下記など。 http://rs-lab.net/jancode/

続いて、どうやって本を売るのか、ということになります。大雑把に言って「直売」「書店と直取引」「Amazon」「取次(=問屋)経由」の4つの経路がありますが、手続きだけなら最も楽なのはAmazonで売ることです。Amazonは「e託販売サービス」というのをやってて、年額9000円を払うことで、だれでもISBNが付いた本をAmazonに並べる権利を獲得できます(いまのところ取引条件は、原則として60%掛・送料こっち持ち・委託販売=売れなかったら返品されてくる、という条件になっています)。「e託販売サービス」で検索すればいくらでも情報が出てくると思います。とりあえず公式のページは以下にあります。

https://www.amazon.co.jp/b?node=4160761051&rw_useCurrentProtocol=1

書店との直取引、というのは、それこそ同人誌であればメロンブックスのような所が普通にやっているあれのことです(というか、さっきのAmazonのも「直取引」の一種です)。紀伊國屋書店や丸善ジュンク堂のような大書店チェーンは直取引の窓口を持っていることが多いので、やろうと思えばできますが、これをやり始めると本格的にマンパワーが必要になりますので、とりあえずAmazonのe託で売りつつ、取次との経路を準備する、というのがまあとりあえず無難な選択ではないかと思われます。

で、その取次なんですが、書籍取次の大手であるトーハンや日販は、新規の小出版社を取引先として見なしていません。小出版社を対象にした取次は、下記のようにいくつかあります。確認は取ってませんが、どこも出版社側が法人であることを前提にしているはずです…が、明らかに法人ではないだろう団体が取次と契約をしているのも事実です。
・トランスビュー
・地方小出版流通センター
・星雲社
・子どもの文化普及協会
・JRC
・ツバメ出版流通

これらのうち、出版社にとって最も分かりやすい条件を出しているのがトランスビューです。トランスビューが出している条件は、「まっ直ぐに本を売る(石橋毅史著、苦楽社)」にまとめられています(ウェブサイトには載っていません!)。何が分かりやすいかというと、他の取次の場合は「60%で出版社から仕入れて70%で書店に出す」みたいなモデルなので、一時的に倉庫に本を置いておくことに対するコストとかは取次側が持つことになり、つまり新規出版社との取引において若干のリスクが伴うことになるので、取引開始にあたって年ごとの出版計画みたいなものを書いて審査を受ける必要があったりするんですが、トランスビューの場合は「倉庫保管料が1冊につき月xx円、出庫の費用が1回yy円」というように、掛かるコストをそのまま出版社側に請求する形になっているので、トランスビュー側が持つリスクがごく限られており、なので出版計画とか無しで1タイトルから取引を結んでくれるんですね。とはいえ人文書の会社なのであまりにジャンルが違うと受けてくれないような気がしますが、仕組みから言えば最も広く門戸の開かれている取次だと言っていいでしょう。(なお、トランスビューは「取次」ではなく「取引代行」と形容してますが、これは理念的なものから来ていて、実務としてはまあ一緒です)

ついでオープンなのが地方・小出版流通センターですが、ここは「66%で出版社から仕入れて」モデルなので、年3タイトル程度の継続出版を求められます。取引開始希望のメールを送ると、FAXで(FAXです)案内書がやってきて、「会社概要・既刊図書、現在の販売経路と販売実績、今後2年間の出版予定(形態、価格、内容、著者等)」の提出を求められます(こっちもウェブサイトには載ってません!)。何しろ「現在の販売経路」を書かないといけないので、こちらを選びたい場合、まずはAmazonのe託から始めて…、ということにはなるでしょう。

トランスビューと地方小出版流通センターの違いは色々あるんですが、最大の違いは、トランスビューが委託が原則で書店には70%で卸しているのに対し、地方小は建前上は買切がメインで書店への掛率はもっと高い(注文経路によって値が変わるので具体的な値は示されていません)ということでしょう。「建前上は」というのは、地方小には特約書店というのが数十店くらいあって、これらの特約書店に限っては委託に近いかたちで販売され、そしておそらくこの数十店というのは小出版社の本でも売れる可能性のある大書店とほぼイコールなので結局そんな違わないんじゃないかということです。

契約が済んだらあとは本を作って売るだけで、本の作り方自体は別に同人誌と何も変わるところはありません(ただし、「短冊を入れる必要がある」「バーコードとISBN/書籍JANコードを載せる必要がある」「定価を載せる必要がある」「カバーは何かしらかけたほうが良い」という点のみ若干異なります)。営業活動というのは一応あるんですが、小出版社というのは書店営業みたいなことはほとんどやってないようです。メディアへのPRとか広告とか(書評を期待した)献本とかそれくらい。
【かつては暗黒通信団が「書籍制作と納品の仕方」というとても良い文書を載せていたんですが、非公開になってしまったみたいです】

あとは気構えとか諸々の話ですが、最近は「ひとり出版社」に類する本が数多く出ており、参考になるものも数多くあります。折角なのでここでいくつか紹介しておきます。



〈まっ直ぐに本を売る〉(石橋毅史、苦楽社)
取次としてのトランスビューの情報を得るのに最適な本であると同時に、出版社としてのトランスビューの思想もわかりやすく書いてあります。

〈ひとり出版社「岩田書院」の舞台裏〉(岩田博、1巻目は無明舎出版、2巻目以降は岩田書院)
ひとりで学術出版社を回すことに関する具体的な活動が詰まっています。たぶんこのシリーズよりも一人出版社のイメージを喚起する本は無いと思います。

〈翻訳出版の実務〉(宮田昇、日本エディタースクール)
翻訳出版をするなら、という前提で必読。必要なことはこの本に全部書いてあります。

〈出版状況クロニクル〉(小田光雄、論創社)
一応書籍のほうを挙げましたが、ウェブログの連載のほうがリアルタイムな感じがあっていいかも。日本の大規模商業出版流通に対して何の期待も持たなくなります。

〈計画と無計画のあいだ〉(三島邦弘、河出書房新社)
必読というほどではないですが、書店との直取引を行う出版社がどういうことをやっているのか、というイメージはつかみやすい本です。

〈日本でいちばん小さな出版社〉(佃由美子、晶文社)
本を作って流通させることのばたばたした感じはこの本が良いかなー、と。

〈あしたから出版社〉(島田潤一郎、晶文社)
ひとり出版社の営業活動が書かれているのは珍しいんじゃないでしょうか(っていうか書店営業やるひとり出版社が珍しい)。


あとはウェブサイトで、

〈本を出すまで〉(清田麻衣子、「マガジン航」連載)http://magazine-k.jp/category/series/hon-wo-dasu-made/
徒手空拳でおっかなびっくりやってるところが身近な感じがしていいです。マガジン航は他にも優れた記事が複数あります。

〈京都に出版社をつくる(には)〉(ホホホ座、「DOT Place」連載)http://dotplace.jp/archives/category/interview/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E3%81%AB%E5%87%BA%E7%89%88%E7%A4%BE%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8B%EF%BC%88%E3%81%AB%E3%81%AF%EF%BC%89
現状の崩壊した大規模商業出版流通システムと、その中でインディペンデントな出版をやるということについて、語られています。

日本著者販促センター http://www.1book.co.jp/
書店向けFAX営業の業者なんですが、コラムで色々と参考になる情報を載せたり引用したりしてます。
# by Taiju_SAWADA | 2016-09-12 23:44 | 雑題

7つの習慣ボードゲーム プレビュー

「7つの習慣ボードゲーム 成功の鍵」というゲームを買ってきてルールを読みました。ふつうは遊んでいないゲームのプレビューはしないことにしているのですが、ちょっとこのゲームについては例外ということで、この段階で簡単なプレビューを急ぎ足でしたいと思います。

どういう意味で例外なのか、なんですが、まずこのゲームはウェブサイト等でルールが公開されていません。また、値段設定がかなり高め(二万円+税)なので、自分で買って読んでね、と言うのに無理があります。見た感じではルールの詳細に触れたレビューも少ないようです。まあこれらは本当はどうでもよくて、わたくしにとって重要なのは、このゲームがSid Sackson作「アイム・ザ・ボス (I'm the Boss! / Kohle, Kies & Knete)」の強い影響を受けている、悪意のある言い方をすれば所謂ぱくりがある、という話を耳にしたということです。そのぱくりというのがシステムの軽い流用程度のものなのか、それとも完全な盗作なのか。これは確かめてみる必要があります。というのはわたくし、「アイム・ザ・ボス」の日本語版出版に関わっておりまして、具体的にはルール和訳(初稿のみ)と一部ボード・カードのエディトリアルデザインをやってるのです。

そういうわけでございまして、次段落以降、アイムザボスとのルール比較という形で「7つの習慣」のルールを簡単に見ていきます。正直なところ筆致に稚拙な悪意が混じっているのは否定しがたいのですが、上記のような事情なのでご容赦いただきたく。(稚拙なのは単に時間なくて急いで書いているというこっち側の事情もあります)

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アイムザボスでは、プロジェクトに割って入ったり邪魔したりするために使う手札が重要な役割を果たしますが、7つの習慣には、その意味での手札はありません。あるのはプレイヤーの手元に置くビジネスマンタイルだけです。つまり、プロジェクトの交渉において、例の醜い主導権争いがなくなり、条件闘争のみになります。

【※これが最も決定的な違いと言えるでしょう。個人的にはこれでこのゲームへの興味が完全に萎えましたが、このゲームの本来の目的である講習的なアレを考えればアイムザボスみたいな意地汚いゲームが受け入れられるはずがないので、その意味では妥当な変更であろうと思います。どうしても面白くなきゃいけないってこともないでしょうし。あとまあこの段階で違うゲームになってるので提訴的なやつも無くなると言えるでしょう(そもそもゲームに著作権は…という話をおくとしても)。つまるところドミニオンが劣化デッキビルドを訴える権利も必要もどこにもないわけです。】

そのプレイヤーの手元に置くビジネスマンタイルですが、アイムザボスのように1種類につき1枚ずつしかないのではなく、いっぱいあります。ゲーム開始時には1枚だけしかありませんが、後から金で買えます。また、能力値の概念があり、難しいプロジェクトは能力値が高いビジネスマンしか参加できません。当然、高い能力のビジネスマンは購入費が高くなります。なお、所有ビジネスマンの能力値合計は勝利条件に絡みます。

7つの習慣には勝利点チップというのがあり、プロジェクトを成功させるとお金だけでなく勝利点チップももらえます。当然、勝利点チップも交渉対象になります。お金はビジネスマンタイルを買うのに必要なんで重要ですが、最終的な勝利条件に絡むのは勝利点チップのほうです。この変更はたぶん悪くないんじゃないでしょうか。

アイムザボスでは手番プレイヤーは「プロジェクト」か「手札補充」の2択から選択しますが、このゲームではその部分での選択権は基本的にありません。サイコロを振って出た目の指示に従います。出た目がプロジェクトならプロジェクト(プロジェクトのマスに止まったらプロジェクトの難度は自分で選択できます)、イベントならイベント、雇用ならビジネスマンタイルの購入、という感じです。あと「勝利点カードをもらう」というレアなマスがあります。

ええと、勝利点チップとは別に「勝利点カード」というものがあります。このゲームは何種類かの勝利条件があって、それを全部満たさないと勝利とはみなされません。で、勝利点チップと勝利点カードは完全に別の条件です。勝利点カードは4色あって、これを全て揃える必要があります。勝利点カードをもらうマスにとまったら、自分と誰か1人他プレイヤーを指名して、その2人が1枚ずつ任意の(ではなく山から3枚引いて好きなもの)色のカードを貰います。ちょっとしたネガティブフィードバック装置と考えればよいでしょう。

イベントは昔懐かしいこてこてなやつです。なお、悪いイベントを防ぐためのシールドも用意されており、特定のマスでお金を払うと買えます。

あと何か細かい要素がいくつかあります。

ちょっとおもしろいのは勝利条件で、このゲームは必ずしも勝者を一人決めるものではありません。ゲームは一定ターン数経過で終了し、(明確には書いていないんですが)終了時点で勝利条件を全て満たしているプレイヤーは全員勝利、満たしていないプレイヤーは全員敗北となります。ただし、勝利したプレイヤーの中でも、勝利条件の満たし方で優劣があります。プレイヤーはそれぞれミッションカードというのを1枚だけ渡されてゲームを開始し、そこに書かれたミッションを達成するのが勝利条件の1つになっています。このミッションは1枚1枚違うもので、難易度にばらつきがあり、難易度の高いミッションを達成したほうが優れた勝利だ、というわけです。そして、このミッションカードは特定のマスに止まると交換できます。難度の設定をある程度プレイヤー側で調整できるわけですね。普通の(1人勝ちまたは順位決めの)ボードゲームでは採用できないルールですが、これはこの種のゲームとしては気の利いたルールだと思います。

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と、こんな所です。勝利条件には見るべきところがありますが、その点を除けば、重要なところがスポイルされ、かわりに何か変な要素がいろいろ突っ込まれたアイム・ザ・ボス、というあたりの評価になります。既に書いた通り、その変更にはそれなりに尤もな理由があるんですが、それならアイム・ザ・ボスじゃなくてもよくない? という疑問はどうしたってあります。ただしこれはあくまでもルールのみ読んだ段階でのプレビューであり、遊んだ後には評価の変更を行う可能性が大いにある、とは申し添えておきます(付き合って遊んでくれる人がいればね…)。

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※それから業務連絡。このゲームのデザイナーであるNaoki Matsunagaさんは二度とわたくしの前に顔を出さないでいただけますようお願いいたします。
# by Taiju_SAWADA | 2016-04-14 22:58 | 感想・紹介

ブルームサービスに魔法がかかっていない理由

えー、唐突ですが、ちょっと軽く「魔法にかかったみたい(Wie verhext! by A.Pelikan / Alea 2008)」と「ブルームサービス (broom Service by A.Pelikan and A.Pfister / Alea 2015)」の比較をやってみたいと思います。周知のごとく(というのは「こんなサイトを見ている人にとっては」という意味で、何かの拍子で開いてみただけの人には当てはまりません)「ブルームサービス」は「魔法にかかったみたい」の後継作で、「魔法にかかったみたい」が採用していた独創的なシステムをほぼそのまま引き継いで別のゲームを作っているわけですが、その別のゲームの載せ方がどうにもよろしくないように思えるわけです。ということで、魔法にかかったみたいがどんなゲームだったか、ブルームサービスはどんなゲームか、何が引き継がれていて何が落ちているのか、何を付け加えようとしたのか、というようなことをざっと見ていきたいなと。

まずは「魔法にかかったみたい (Wie verhext!)」のおさらいから。

何種類かあるリソースを集め、そのリソースを払って勝利点アイテムを早い者勝ちで購入するゲームです。
リソースを集めるアクション、変換するアクション、リソースを払って勝利点アイテムを購入するアクション、特殊アクションが全てカードの形で表現されており、各ラウンド開始時に各プレイヤーとも秘密裏に、全部で12種類あるアクションカードから5枚だけ選び、これを手札に持ってラウンド開始。
スタートプレイヤーが手札から1枚選んで出し、そのアクションを実行したい旨を告げます。1枚のカードには「リスキーな強いアクション」と「確実な弱いアクション」の2つが書かれているのですが、スタートプレイヤーは必ず「リスキーな強いアクション」を行いたいと宣言しなければいけません。そうしたら、スタートプレイヤーは他のプレイヤーに対して時計回りに順々に、同じカードを持っているか聞いていきます。同じカードを持っているプレイヤーは直ちにこれを出し、そのカードのリスキーな強いアクションを行いたいと宣言するか、確実な弱いアクションを今すぐ実行するか、選びます。全員に聞き終わったら、最後に「リスキーな強いアクションを行う」と宣言したプレイヤー(だけ)が、これを実行し、次のスタートプレイヤーになります。
全員の手札が無くなったらラウンド終了、また手札を選びなおして新しいラウンドを始めます。一定数の勝利点アイテムが売り切れたらゲーム終了、勝利点の一番多い人の勝ち。

さて、もちろんこれはバッティングに関するゲームです。12枚の中から選んだ5枚のアクション、他の誰とも被りがなければノーリスクで強い方のアクションが選べる一方、誰かと被ったら、その中で強いアクションを行えるのは一人だけ、またリスキーな賭に出て失敗すれば何もできないのであって、「基本的には」被らないアクションを選びたいということになります。なりますが、「基本的には」という留保が必要になる理由もあります。というのは、普通のバッティングゲーム(全員が一斉に数字カードを出しあうやつ)では勝負を一旦降りようと思えば楽に降りられるのが常ですが、このゲームでは選んだカードは同じタイミングで出さないといけないので、5人でプレイしている限り、バッティング自体からはそう逃れられない。そしてもう一つ、自分が最後の一人になれるのであれば、むしろバッティングは好ましいことだと言えます。他のプレイヤーは一回分の「強いアクション」を取る権利を無駄にして、自分は強いアクションを実施できるわけですから。ということで、プレイヤーが気にしなければならないのは「他の誰かが同じカードを選んでいないか(普通のこの手のゲームなら、それに加えて他の誰かがこちらを出し抜くカードを選んでいないか)」ではなく、「【誰が】同じカードを選んでいそうか」だということになります。「誰かが」ではなく「誰が」。この段階で既に、チャレンジの内容がひとつ具体的になっています。

リスキーな強いアクションを宣言して成功したら、次の一巡ではスタートプレイヤーになります。スタートプレイヤーは強制的にリスキーな強いアクションを選ばされ、そして後ろにはプレイヤーがいっぱい控えていますから、普通に考えればかなり高い確率で失敗します。ただし、後ろのプレイヤーが一人もリスキーなほうを選ばないということは充分にあり得るので、推理が正確にできているのであれば、無謀な賭けというほどではありません。つまり、このラウンドで成功しようと思ったら方法は2つあり、成功が必須ではないようなアクションをうまく織り交ぜて無理のない計画を作ること、そしてもう一つは他プレイヤーの手札と計画を推理したうえでのギャンブルです。条件がフラットであればもちろん無理のない計画を立てるべきですが、これはバッティングゲームである以上無理のない計画は100%の安全を全く意味しないので、計画の狂い方に応じて適宜軌道修正が必要になります。そして差が開いている場合にはギャンブルが必須になり、このギャンブルの成否は推理の精度に大きく左右されます。

推理です。実のところこのゲームは、バッティングゲームではありつつも、いわゆる心理戦のゲームではあまりありません。心理戦というのは「相手がいま何をしようとしているか」に基づく遊びであって、「相手がいま何をしたか」になると心理戦度合いが一段階下がります。そしてこれが「相手がちょっと前に何をしたか」になり、そしてそのちょっと前から現在までの間に手がかりとなるようなヒントがいくつも落ちているとなると、心理戦というよりは推理といったほうが相応しいでしょう。もちろん、徹底してデータとロジックで進んでいくいわゆる推理ゲームではありませんし、またこのゲームでもほとんどノーヒントで2択のギャンブルが発生するような場面もあり(ラウンド第一巡のラス前手番、重要なカードでリスキーアクションか安全牌か選ぶような状況など)、このような場面で行われていることは心理戦に近いとは言えます。

このゲームが心理戦のゲームではないにも関わらず、それでもプレイ感覚としては依然としてある種の心理戦のように思える理由は、プレイの流れが心理戦のそれと似ていること、それによって心の動き方が心理戦のそれに似たものになるためでしょう。アクションを選ぶ→そのアクションの成功を祈る→残酷な結果が明らかにされる。この流れがとても短いスパンで次々にやってくることによる眩暈が、典型的な心理戦のゲームと似ているんです。(関係ない話ですが、この面では「髑髏と薔薇」もこれに近いことをやっています)

心理戦のもっとも重要なポイントであるところの眩暈を押さえつつ、心理戦にありがちな計画性の欠如からは逃れており、ミクロな個々の局面では一定の根拠に基づく推理(と時にアクセントとしてのギャンブル)、中距離では1〜2ラウンド単位での行動計画策定という、丁度良い具合に考えさせてくれる内容を持っており、しかしそれは静的な戦略研究への要請には繋がらない。「魔法にかかったみたい」は、とりあえずそういうゲームです。

それでは「ブルームサービス」はどういうゲームなのか。

これは土地を移動しながら、各地でリソースを捧げることで勝利点を獲得するゲームです。
基本システムは「魔法にかかったみたい」と同様ですが、アクションの種類が概ね「移動」「リソース取得」「勝利点の獲得」の三種類となります。移動の存在が主要な差異ですね。土地のそれぞれには色がついており、「隣接する黄色の土地に行く」アクション、というようなものが(色ごとに1枚ずつ合計4枚)用意されています。

この移動のシステムが、ブルームサービスを元の作品と大きく違うものにしている原因です。「魔法にかかったみたい」では、得点の高いアイテムは必要なリソースの量が多く、また得点の低いアイテムが取られた後でしか出てこない、ということになっていました。ブルームサービスでは、得られる勝利点にかかわらず、捧げるべきリソースの量は1個で固定です(微妙な例外がありますが、これは本当に例外なので、説明を省きます)。その代わり、得点の高い土地(アイテムの捧げ先)はスタート地点から遠い所にあり、大量の回数の移動を成功させないと届きません。

つまり、ともかく大量の移動アクションを成功させないといけないということになります。なるんですが、ここで問題になるのが移動先の色のルールです。例えば2歩先の緑の土地に行きたいとなったら、まず最初に「隣接する黄色の土地に行く」続いて「隣接する緑の土地に行く」を成功させないといけません。順番はとても重要です。逆に出したら一歩も動けません。普通のゲームなら逆に出すなどということは有り得ませんが、このゲームは「魔法にかかったみたい」と同じシステムを採用していますから、スタートプレイヤーが「緑の土地に行く」を先に出してしまったら、もう遠出できないことはそれで確定です。さらに言えば、ここは元のゲームと異なるところで、ブルームサービスではスタートプレイヤーも「確実な弱いアクションを今すぐ実行」を選択でき、そして弱いアクションでも移動はノーペナルティでできるので、端的に言えばブルームサービスは「誰かがスタートプレイヤーとしてこちらに不都合なカードを出してくる前に、スタートプレイヤーの権利を確保して弱いアクションで確実に移動する」ゲームだということになります。

この目的のもとでは、最初のカード選択は、「キーになる移動カードを選ぶ(2歩移動するリスクを犯すか否かの意思決定があります)」「スタートプレイヤーの権利を確保するために、誰かとバッティングしそうなカードを選ぶ(リソース補充などのアクションが行えればなお可)」という基準で行うことになります。さらに言えば、スタートプレイヤーの権利を確保するためのバッティング用カードは、自分が2番手であるような巡目でヒットしてもあまり意味がなく、理想的にはラス番で回ってきてほしいわけですが、ここをうまく制御することは極めて難しく、自分が第一巡のラス番だというのでないかぎり、かなり運任せに近くなります。2番手または3番手であるような巡目でそのようなバッティング用カードがヒットした場合、これはリソースではなくスタートプレイヤーを取りに行っている以上、リスキーな強いアクションを宣言する以外の選択肢が無いので、後ろを推理してどうこう、という事もありません。もう少し仔細がありますが、要はブルームサービスでは、リスキーな強いアクションを選ぶべき時と弱いアクションを確実に実施すべき時の差が極めて明確で、相手の手札次第で行動を変えるべき局面がとても少ないので、ブルームサービスには存在していた推論のミクロな遊びは丸ごと失われることになります。

これは移動をメインにした、ある種ピック&デリバーの亜種とも言えるゲームであるわけですから、失われたミクロな推理を補うためにルート選択における優劣が存在すべきなんですが、このゲームの基本マップでは、まず目指すべきルートと保険としてとっておくべきルートの選択肢がこれもまたあまりにも明確で、違いといえば保険をどれくらい大きく載せておくかしかありません(※)。
(※)上級マップでは、この意味での遊びどころがいくらかはあります。上級といっても面倒なルールがそれほど大きく増えるわけではありませんので、ブルームサービスをこれから遊ばれるという方には、最初から上級マップで遊ぶことを強くお勧めします。ただ、遊びどころがあるとはいっても、何しろ流れに大きく振り回されるゲームだということは予め了解しておくべきでしょう。流れに振り回されたまま、もう逆転は不可能になっていた、みたいなことは基本マップ・上級マップを問わず、よくあります。どうせ流れに振り回されるなら最終ラウンドでの大逆転みたいな線も一応用意しておいてくれよ、と思うのは人情ですが、ブルームサービスはラウンドごとの地道な移動を何回成功させたかで勝敗が決まるゲームなので、そういう機能は用意されていません。マクロレベルでの優劣を問わない「魔法にかかったみたい」では、最終ラウンドに大きい勝利点アイテムを立て続けに攫って大逆転、ということを可能にするための諸々も準備されていたのですが。

ラウンドごとに計画を行う楽しさは(計画の内容が大きく異なるとはいえ)引き継がれていますし、それは充分に楽しいことではありますから、少なくとも上級マップで遊んでいる限り、単体で見て全く評価できないゲーム、ということは無いでしょう。しかしやはり、元のゲームと較べてしまうと、噛みあわせが悪いルールの上に載せ替えたせいで、本来このシステムが持っていたはずの独創性がスポイルされ(何せカードを出した後にリスクを取るか取らないか悩む時間が殆ど無いわけですよ)、あまり移動できない変な移動ゲーム、というところに落ち着いてしまっています。元のゲームに比べてあまりプレイヤーに多くを要求してこず気楽に遊べる、というメリットは一応見いだせますが、しかしゼロ年代を代表する名カードゲームを押しのけてまで出す必要があったゲームなのか、正直に申し上げて憤りに近いものを感じております。

# 近々出版が予定されているというブルームサービス・カードゲームが魔法にかかったみたいの完全な復刻なのであれば、とりあえず水に流すことはできますが、どうなんでしょうね
# by Taiju_SAWADA | 2016-03-03 23:50 | うわごと

ハイパーゲーム理論を用いた誤認識解消のための仲裁メカニズムの分析

むかし書いた修論が出てきた うれしい
http://twitdoc.com/53ZU
# by Taiju_SAWADA | 2015-12-17 23:50 | 雑題